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付属資料8 法定メディエーション情報および評価会議(MIAM) 「私はどうなるの?」両親離別後の家族への支援を見詰め直す

私はどうなるの?
両親別離後の家族への支援を見詰め直す
家族問題解決グループの報告書
(私法作業部会のサブグループ)
2020年11月12日

1  私法作業部会(PrLWG)は、法定MIAMに関する幾つかの具体的なポイントに対処するよう要請しましたが、これらは以下の通りです。現行法では、法定MIAMは認定家事メディエイターが実施し、メディエーションへの適性(他の紛争解決(DR)プロセスの検討とともに)を法定MIAMで評価することが前提となっています。

2  法定MIAMを実施するための技量や能力は、家事メディエーション評議会(FMC)基準フレームワークで定められています。

A.費用

3  法的代理権のない親にとって最も安価な選択肢は、専門家の助けを借りて問題の解決を試みるより、現状においては寧ろ裁判所への申請を出すことです。メディエーション社会は、この阻害要因に対処するために司法省と協力するよう求められています。家事メディエーション評議会は、親が裁判プロセスより、寧ろメディエーションや他のDRプロセスを選択する事件の数を大幅に増やすことを目的とした包括的な提案を司法省に提出しました。FMCはその提案の中で次のように述べています。
 潜在的な訴訟当事者が自ら持続可能な結果に到達できるよう支援する目的は、以下の3つの基本的なステップによって達成できると、私たちは考えています。
  A.メディエーション情報および評価会議(MIAM)を全ての申請者と被告に提供する時点で無料にして、被告側が(直面したくないかもしれない問題に対処するために)会議費用を払わなければならないという抵抗を回避する。
  B.ゲートキーピング過程における警戒を維持し、免除されない限り、申請者が申請を行う前にMIAMに出席するという法定要件を確実に実装する。
  C.当事者が訴訟プロセスに固執しすぎる前に、家事メディエーションや他のDR選択肢に関する情報の即時提供を容易にする、リモートアクセス可能な「義務化した家事メディエーションスキーム」を提供する。

4  司法省はこの提案を検討しており、私たちはこれを支持します。

5  MIAMを無料で提供しても、メディエーションやそれに続くその他のプロセスが無料になるわけではありません(法律扶助の資格がある場合を除きます)。しかし、親はより良い情報を得ることができるでしょう。親は、自分たちで問題を解決するという裁判所の期待、そうすることで子どもにもたらされる利益、裁判のタイムスケール、メディエーションや他のプロセスがどのように機能するかについて、より多くを知ることになります。そうすることで、十分な情報を得た上で決断することができるようになり、裁判外で問題を解決するためにお金を払うということが、現在のMIAMの最初の要求のような妨害物にはならないかもしれません。

6  また、私たちはMIAMを裁判所への申請前に無料で提供し、それ以降は有料とすることも検討しました。その目的は、裁判の当事者になるつもりでいる全ての者に対して、裁判を起こす前に必ずMIAMに参加するよう促すことです。もしMIAMに参加しなかった場合、判事は、1989年児童法第11条Aに基づく活動指示として、MIAMに参加するよう指示することが期待されます。しかし、これには問題があります。なぜなら、親に費用の負担を要求する活動指示をすることに司法上の抵抗があるからです。私たちのグループの裁判官は、最も簡単な方法は、MIAMを全面的に無料にすることだと考えていました。

7  更に、
   7.1   私たちは、MIAMに参加したことがある場合、裁判費用の減額を検討しました。これは複雑な問題をはらんでいるように思われます。また、MIAMの免除を合法的に主張する人は、裁判費用も減額されるはずで、これは、裁判費用の減額を受けるために免除に持ち込む動機を親に与えることになり、減額は逆効果になりかねません。また、MIAMに参加せずとも、高い裁判費用を払いさえすれば、単にMIAMの免除なしで裁判所への申請ができることを示唆しています。一方、新たな「一緒に働く」スキームでは、免除を受けない人は全員MIAMに出席しなければなりません。

   7.2   代替案として、以下を勧告します。

     7.2.1  メディエーションが進み、合意に至った場合の裁判費用の払い戻しの検討(その後、同意命令の形で進めるかどうかは不明)。
     7.2.2  民事裁判と同様に、MIAMやメディエーションへの出席の有無を考慮した段階的な料金のプロセスを検討する。
     7.2.3  少額訴訟での慣行を反映して、料金は、係争時、配分時、審問時の3つに段階分けしていると理解しています。審問の7日前までに訴訟が決着した場合、当事者は返金を受け取れるため、裁判外で合意する経済的インセンティブが生まれます。

B.もう一方の親(被告)の関与

8  法廷外で問題を解決するための選択肢の検討に被告を参加させる最も簡単な方法は、裁判所が訴訟手続きを延期し、被告にMIAMへの出席を指示する、より強力なアプローチを取ることです。これは、申請者がMIAMに出席せず、裁判に代わるものとしてメディエーションまたは他のプロセスを検討しない正当な理由があったことを裁判所に示すことができなかった場合にも適用されねばなりません。

9  事務弁護士、裁判所職員、裁判官の全てが、両方の親がMIAMに出席することを期待されていることを理解することが不可欠です。私たちは、ダンシー名誉裁判官が提供する、司法のためのトレーニングの推奨事項を示した付属資料7のセクションCを参照しています。

10  申立人と被告人の双方がMIAMに出席することが期待されていて、この期待を全ての裁判官が積極的に奨励するという指針を、家庭部部長が発表することを私たちは歓迎するでしょう。一方の親が正当な理由なく欠席した場合、裁判官は休廷を宣言し、制裁金を課す可能性を含めて出席を指示すべきです。

11  別のC200フォームに関しては、多くの理由から被告人が別のC200フォームを記入することは、混乱を招くというのがコンセンサスでした。申立人と被告人の間で法律用語が異なるようでは、役に立ちません。実際、二人とも子の親であり、どちらの地位が高いとか低いとかはありません。

12  その代わり、グループの法律家、調停者、司法関係者メンバー全員が、MIAMのC100申請フォームに関するページを削除し、子どもと金銭の両事件において、申立人と被告人が全てのMIAMついて、独立したMIAM申請フォームを使用することに同意しました。紛争を解決するための代替手段を検討する義務は、子どもの事件と金銭の事件に等しく適用されます。葛藤のある金銭事件は、親同士の関係に、結果として、その家族の全ての子どもに回復不能な損害を与える可能性があります。申立人である親がフォームに記入するのか被告人となる親がフォームに記入するかに拘らず、全ての家族案件に1つの法定MIAMフォームを使用することが最もシンプルであると思われます。草案が作成されていて、FMCによって承認されました(付属資料9参照)。

13  データおよび各地域の家事司法委員会FJBがモニターするKPI指標についての指摘がありました。これらの指標は、裁判が終了するまでの時間に連動しており、逆に、裁判外で解決するために裁判を休廷する意欲をそぐものであると理解しています。KPI目標を達成しなければならないというプレッシャーから、他の解決方法を試みる間、訴訟を一時中断しなければならないのであれば、問題を法廷外で解決することの重要性が薄れてしまうでしょう。私たちは、それが適切な場合には、DRプロセスの試みを促進するためにKPI要因を見直すことを勧告します。

C.多くの裁判所が、法令およびFPRRに規定されたMIAMの要件を執行していないこと

14  裁判の様々な段階において、裁判所職員や司法関係者によるMIAM要件の適用に一貫性がないことが、MIAM制度の有効性を損なっています。このような事態を是正するための私たちの提案は、付属資料7セクションCに記載されているように、全てのレベルの裁判官にトレーニングを提供することです。

D.基準

15  家事メディエーション評議会は、家事メディエーション基準委員会FMSBに対し、法定MIAMの実務と手続きの徹底的な見直しを行い、基準を作成するよう要請しています。この作業は現在進行中であり2020年末までに完了することが期待されています。早期情報および評価会議が導入された場合、FMSBは、その実施に関するメディエーション基準が法定MIAMのものと異なる場合、どのように異なるかを検討する必要があります。

E.能力

16  公認事務弁護士は、意思能力を欠く人々について特定の懸念を示し、法定MIAMへの出席を免除すべきであると提案しました。能力に関するMIAMの免除規定を設けることの難しさは、誰がどの時点で能力を評価するかという問題が生じることです。MIAMはメディエーションとは別物であり、どのメディエイターも実施するMIAM評価の一環として、能力評価を含むでしょう。FMSBは、法定MIAMに関する基準を導入し、参加者のメディエーション参加能力を評価することの重要性を明らかにする予定です。これは、脆弱な潜在的参加者を保護することにつながるでしょう。参加者の能力は、明らかに非常に複雑な評価であり、メディエイターが行わねばならない他の全ての審査と重なります。

17  能力がない人は、自分自身でメディエーションを行うことはできませんが、法的代理人、共同法(資金が許せば)、または法的代理人とハイブリッドモデルのメディエーションや仲裁などの他のプロセスの組み合わせなど、彼らがサポートを受ける他のプロセスが必要になるでしょう。これらの選択肢は、MIAMにおいて、依頼者(および支援者として参加する者)と協議されるでしょう。メディエーションへの適性評価はMIAMで行われますが、他のプロセスを紹介された場合、後続の専門家は、そのプロセスに関する能力について独自の評価をする必要があります。

F.MIAMを実施できるメディエイターの人数

18  私たちは、現時点で十分な能力があると判断しています。COVID19以降、多くの認定メディエイターがオンライン評価会議やメディエーションを行い実務に適応してきました。FMCのウェブサイトでは、オンライン・メディエーションを提供しているメディエイターの検索機能が利用可能になったので、国内のどの地域でもオンラインMIAMに参加できるようになるでしょう。

19  更に、
   19.1  多くのメディエイターは常勤で働いておらず、より多くの仕事を引き受けることを望んでいるかもしれません。
   19.2  認定に向けて活動するメディエイターの多くが、仕事不足で認定が遅れている。
   19.3  認定されたメディエイターの中には、仕事がないために再認定が困難な人も少なくありません。
   19.4  訓練を受け、資格を持っているが、現在は活動していない調停委員のために、更新トレーニングを提供することができます。

20  法的扶助機関LAAはこれまで、全ての人がメディエイターにアクセスできるようにするために、全国で十分な契約が結ばれるように尽力してきました。

G.C100申請フォームのMIAMに関する項目は書き直した方がいいのか?

21  私たちは、C100申請フォームのメディエイターのページを書き直すかどうかを検討しました。異なる見解が共有されました。即ち、一方では、メディエイターのページでフォームに送信した情報が結果として相手に武器を提供することにならないようにすべきであると強調し、他方では、フォームが、メディエーションで遭遇する様々なシナリオに対処するには現状では不十分であるという見解を強調しています。(現在のフォームの言い回しでは、メディエイターが署名する際に、状況が標準的な選択肢のどれにも当てはまらないため、明らかに間違っている項目にチェックを入れなければならないことがよくあります)。メディエイターに不正確なものにチェックを入れるよう促すフォームは明らかに間違っているため、書き直す必要があるとの見解が示されました。(この例は、申立人が裁判所のタイムテーブルを動かしたいけれども、それでもメディエーションを行い、できればメディエーションで解決したいと希望している場合です。申立人はメディエイターにフォームに署名するよう依頼するかもしれませんし、メディエイターは、実際にはメディエーションを進めるつもりなのに「メディエーションは進めない」というボックスにチェックを入れる必要があります)。

22  MIAMの書類は、(子どもの事件でも金銭の事件でも)裁判の申立てとは切り離され、代わりに、裁判外の選択肢を検討するために誰もが使える単一の標準フォームとして提示されれば、誰にとってもより分かり易くなるだろうというのが一般的な意見でした177。

23  私たちは、現在使用されているフォームを簡素化することを目的として、子どもの事件の申立てと金銭事件の申立ての両方に使用できる独立したフォーム(付属資料9に添付)を作成することを初めて試みました。これには、最初のPrLWG報告書(PrLWG報告書、付属資料7)に添付された「親とその他の当事者への情報」の改訂版と、調停者が署名するためのページを書き直したものが含まれています。

24  更に、私たちは「免除」という言葉を「特定の状況」という言葉に置き換えて、(a)法定MIAMを必要としない特定の状況があることを強調し、(b)マイナスの活動を避けるために免除を見つけようとする概念から脱却することを提案します。私たちは、そのリストの長さと複雑さに対する多くの批判に留意しながら、リストを見直しました。

25  電子化の動きが進む中、司法省がどのようなオンラインプロセスにも適合する独自のバージョンを作成する必要があることは承知しています。私たちは、ここで提供したバージョンが司法省向けの作業部会案を形成できることを願っていますし、私たち、またはFMC作業部会は、勿論、オンラインMIAM制度が依頼主、メディエイターおよび裁判所のニーズに最も適した方法についての今後の議論に関与することを望んでいます。

26  新しいフォームがオンラインで利用できるようになったら、認定者だけがMIAMを実施できるよう、強力な監視装置を制度として確保しなければなりません。現在の制度では、親がメディエイターのURN番号を調べ、その詳細を書式に記入することで、MIAMを実施せずに、悪用される可能性があるからです。オンラインシステムが意図したとおりに機能することを確認するために、試験運用と協議が必要です。

27  私たちは、家庭内虐待がある場合は引き続きMIAMへの参加を免除するべきかどうかを検討しました。MIAMは家庭内虐待の被害者にとって非常に有用である(スクリーニング、他の経路の理解、適切な支援への指針を提示する上で)と考える人がいるものの、MIAMという名称はメディエーションが期待されているという混乱したメッセージを与えるでしょう。家庭内虐待はMIAMの免責事項(というより特殊な状況)として残すべきだというのが、私たちの一般的な意見でした。もし、私たちが推奨する「早期情報および評価会議」が採用されれば、早い段階で家庭内虐待を発見し、適切な方向の指針を提示するのに役立つ会議になるかもしれません。

H.裁判所とのやり取り

28  大部分の裁判所は、メディエーションについて殆ど理解や認識を持っていません。裁判所との交流が増加すると、メディエーションとは何か、どのような時期にメディエーションが適切か、裁判所のスタッフ、カフカスおよび司法関係者の間で認識が促進されるため、交流を奨励すべきです。

29  資金提供されたオンライン当番メディエイター制度は、MIAMに対処することが可能で、またメディエイターが「仮想的に」存在し、メディエーションの適合性とメディエーションが裁判制度内の人々をいかに支援できるかについて、必要に応じて他の専門家、王立裁判所・審判所サービスHMCTSスタッフ、司法当局とその他の人々と連絡を取りあえるようにすることができます。この一般的な交流は、完全に機密を保持しなければならない依頼人の事件に関する交流とは区別されます。

I.MIAM提供者の変更?

30  私たちのグループは、別離家族へのサービスを改善し、不必要に裁判に訴える人数を減らすために、今後予定されている長期的な改革を待って、短期的に実施可能な勧告をすることを使命としています。現在の法律では、MIAMはFMCの認定を受けたメディエイターによって行われることになっており、メディエーションへの適性はMIAMで評価されると考えられています。公認家事メディエイターからMIAM提供者を変更するには、法改正が必要になりますが、この法改正は私たちの権限の範囲外であり、家事司法改革実施グループが検討されるべき問題です。

31  それ以外にも、私たちは、「リゾリューション」が提案したAIM(助言と情報会議)を検討しましたが、これはまだ初期段階であり、詳細は決まっていないと理解しています。AIMスキームは、メディエイター、事務弁護士、仲裁人など全ての家族専門家が、現在のFMC認定プロバイダーに代わる何らかの形のトレーニング、基準、認定を受けて実施することができることを提案しています。

32  私たちは、メディエイターがメディエーション以外の問題解決プロセスを十分に促進していないのではないかという法律分野の懸念を認識しています。私たちは、MIAMの実施基準を設定する任務を負っているFMSBの作業部会が、認定メディエイターが、仲裁人、共同実践者、家族コンサルタント、児童心理学者などの地域の提供者と強く連携し、問題解決のために利用できるあらゆる選択肢を理解、検討するという要件を基準に含めることを信じています。法律は、親がメディエーションを検討することを奨励するように設計されていますが、問題解決のための他のプロセスも適宜情報を提供しています。

33  しかし、MIAMは以下のような法的紛争の解決ではない、様々な問題を解決する機会でもあります。
  ・実施すべき家庭内虐待のスクリーニング。
  ・子どもの声を聞くための選択肢、協力的な子育てが子どもにもたらす長期的なメリット、親の葛藤がもたらす子どもへの危害のリスクなど、子どもに焦点を当てた不可欠な要素の導入。子育ての選択肢が議論され、問題視している争点は親の立場から、現在そして残りの子供時代以降も継続する子どもの利益へと、今までとは別の視点で見直されることになるでしょう。
  ・人間関係の破綻がもたらす感情的な影響、そして、親が感情的な混乱に対処するためにどのような支援が必要か、メディエーションやその他のプロセスに参加する準備ができているか、また、その他の支援やプロセスはどのようなものが有用であるかに関する議論。
  ・能力的な問題、メンタルヘルスの問題、身体的な脆弱性など、考慮すべき他の脆弱性の有無。
  ・適切な場合には、「一緒に働く」という概念の穏やかな導入。但し、それにはどうしても時間がかかり、専門家の支援が必要な場合があるという認識。
 この会議では、メディエーションの評価は勿論のこと、家族を助ける可能性のある選択肢について幅広く話し合います。

34  私たちは、裁判を起こす必要性を最小限に抑えるというような、和解のための選択肢を依頼者に導くという極めて重要な役割を弁護士が有していることを認識しています。私たちは、「家族専門家」のセクションで、家族専門家が互いに協力してよりよく働くことの重要性について言及しましたが、弁護士とMIAM提供者は互いに学ぶことができる可能性があると思います。弁護士が依頼者に直接手渡すしかないような選択肢を取らないように、MAIM提供者がメディエーションへの切れ目のない橋渡しをするようなことがあってはならないのです。従って、裁判をする前の領域で働く全ての専門家の心構えは、常に、勤勉さと創造性をもって、最も適切な方法を模索し、別離家族が子どものために最善の結果を達成できるような和解の選択肢と道筋を検討することです。

35  私たちは、MIAM提供者を変更する案について、更に次のような意見を持っています。

   35.1  ここで関係してくるのが、MIAMへの歴史です。家事事件における事務弁護士へのアクセスは誰もが知っていることですが、メディエイターへのアクセスはあまり理解されていませんでした。MIAMプロトコルは、裁判外の選択肢について、訴訟を起こそうとする人たちへの認知度を高めるために最初に生まれました。事務弁護士の役割については既に知られていたため、その認知度を高める必要はありませんでした。
   35.2  弁護士は、MIAM提供者とは対照的に、依頼者とのキュレーション(情報収集・整理・要約・共有)、舵取り、優先順序付けの役割をより強く、より長く担っています。その役割の中で、彼らは仲裁や共同法などの様々な弁護士主導の和解方法を通じて、依頼者を理解することになります。
   35.3  依頼者が既に弁護士に依頼している場合、問題解決のための選択肢は既に議論されているはずであり、AIMによって問題が更に進展することはないでしょう。事務弁護士の既存のプロトコルによって、依頼者とあらゆる形態のDRを検討することを既に義務付けられています。
   35.4  AIMの概念の明確な懸念は、これが「助言および情報会議」であるという考えです。助言を与えることは、正式な法的サービスの提供であり、事務弁護士は別の依頼者と関わることができません。そのため、依頼者たちは別々の事務弁護士から別々に助言を受けるという、断絶したプロセスが設定されます。私たちは、法律上の助言よりも寧ろ法律上の情報を得るために、依頼者たちが同じ家族の専門家に会うというシステムを歓迎します。そうすれば、二人の親の間で偏向的な立場が取られることなく、解決すべき問題をバランスよく概観することができるようになるでしょう。
   35.5  もし、双方の依頼者が「助言および情報会議」のために弁護士に会うことが許可されたとしたら、どちらかが弁護士に依頼することはなく、その後、弁護士はどちらかのための法廷弁護依頼を引き受けることはできないでしょう。弁護士の役割は、単発の仕事として「助言および情報会議」を開催することになり、その役割はそこで終わってしまうのです。そうなると、弁護士の限られた役割と依頼者の期待との間に潜在的な乖離を生じさせる可能性があります。弁護士との会議に参加するためにお金を払う際に、依頼者が継続的に法的助言を受けることができると考えるのは不自然ではなく、助言を受けることができない場合に依頼者は不満を持つかもしれません。
   35.6  弁護士が初回のAIMの後に次の親に連絡して、何が行われたかを伝え、その親に自分のAIM提供者を調達するよう勧めるなら、元のAIMと問題を解決するためのプロセスに一緒に関与する可能性との間のリンクはより弱くなります。

36  FMC基準フレームワークに求められる厳格な業務遂行能力と同様に、AIM提供者の役割が専門家の境界を曖昧にし、利益相反を引き起こすリスクから顧客の利益を確実に保護するための新しい基準の枠組みが必要でしょう。

37  メディエイターとしても活動する弁護士にとっては、メディエイターとしての資格で既にMIAMを実施することができるため、AIMの提案は殆ど影響を及ぼさないでしょう。

38  メディエイターでもない弁護士は、家庭内虐待をスクリーニングし、親同士の関係のニュアンスを評価して、その事件がメディエーションに適しているかどうかを判断するトレーニング訓練を受けていないでしょう。もしメディエーションを勧められるとしたら、依頼者はメディエーション前評価会議のためにメディエイターと関わる必要があるでしょう。メディエーションについての情報を提供できることと、メディエーションがその特定の事件に適しているかどうかを評価することは別物です。AIMがメディエーションの検討に発展した場合、AIMを実施する人は、それが適しているかどうかを評価するために必要なスキルを有していなければなりません。

39  法定MIAMは、両親間の問題を解決するための裁判以外の選択肢を理解し、選択するための重要な機会を提供します。これにより、家族は最も適切で有益な道筋について十分な情報を得た上で決断することができ、その後の重要な作業の舞台を整えることができるのです。家族には、特定のニーズの範囲に合わせて、統合された方法で家族をサポートすることで互いに補完し合う、事務弁護士、メディエイター、カウンセラー、その他の家族専門家など、役に立つ様々な専門的スキルの中から最善のものを必要としています。

(了)


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