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solitude

 軽い準備運動がてら、真実をでもいってやろうか。
 どんな時代でも歳上は、どん引きする若人には適わない、とでも。
 けれどもだ、君たちは無敵ではない。
 だがしかし、君たちは世間も怖いものも知らない。のかも知れない。 
 ついでに事実をいおうか。どん引きは君たちの特権などではなく、年寄りも乱用している。害ある私たちもかつては害ある若者たちと呼ばれた。あのときからいままで、ほんとうをいえば、ロックもパンクもハードコアも若者たちの特権などでは決してないのだが、こんなことをわざわざ口にするのは、歯向かうことくらいで一杯一杯の君たちが、君たちみずからが白状するように、たしかにこの世界では餓鬼であるから。

 君たちはしばしば傷つきやすいだろう、と思われなくもない。

 君たちの、いや、傷つきやすそうなおまえたちの、そして私たちにおいてはすでに懐かしくもあるあの危うさ、ロック、パンク、ハードコアに狂うあの危うさ、狂え狂ってしまえアンファン・テリブルという語感にさへ牙を剥き、なにを喪失したのかにすら無視を決め込みながら成熟など否定して狂い咲いてしまえ。
 だから、だからといって、
 歳上に媚びなど売らないよう肝に銘じること。そのかわり、失礼のないよう私もおなじように銘じよう(君たちが感化されやすいニーチェのモノマネ)。
 だから、だからは余計だが、
 俗世を見ろ、厳粛な綱渡りなどと書に記した例の作家もいまや去った。遅れてきたポスト構造主義者どもめなどとクソ生意気に、けれどもふるえそうなその声色で、叫ぶのはおまえたちの番なのだ。
 もっといってやろう教科書にあっかんべえのあのアインシュタインの名誉すら滅多切りに傷つけてしまえばいいのに、それなのに、おまえたちときたらまったく臆病者なのだからなにがハードコアだよカワイイとかいわれて反論してみろよほらほら。
 老害老害などと害を避けたがってばかりいる者どもがハードコアなどどのようにプレイするつもりなのさ。うん、そうだよどうせそれで儲けるのは大人だよ。

 自分の力の過信すら不可能でない現在のおまえたちが涙ぐましくもまことらしく放たれる花ざかりの公園の横の緑色のなか、私は私がうまれるまえから回転していたというレコードの黒に電気を流し、他人ごとのように枯れた舌にかくまで甘いモカ珈琲を味わいながら、待ちぼうけをしている。
 待ち疲れしてきた。
 おかわりしなきゃだめみたいだ。


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