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日本美術の快楽(祝!細見美術館開館25周年展)/一日一微発見366

細見家は3代にわたる日本美術の大コレクターである。重要文化財指定17点をふくむ1000点を超すコレクションは、縄文から近世におよぶ。しかし重要なのは、そこに強烈にコレクターの美術に対する歓び(快楽)の哲学が一本太く貫かれているということだ。

僕は大阪高島屋でも展覧会には参上できなかったのだが、東京に巡回した日本橋高島屋での展示を知ることができた。
そこには、仏のこころの美術(初代古香庵)から二代目古香庵である細見実さんが集めた琳派と若冲などの名品がそろっていて、圧巻であった。

僕が言いたい(そして細見良行館長も言いたいであろう)ことは、美術とはただ鑑賞するだけのものだけでなく、人生をかけて(そして全財産をかけて)愉しむものであるということだ。

初代古香庵は、単身大阪に出てきて一代で財をなした傑物である。彼は泉州で毛織物を手がけたのだが、戦争での需要や関東大震災での需要という風のめぐりあわせにより財を手に入れる。

しかし、彼がすごかったのはその財を美術のコレクション、そして茶の湯に使ったということだ。生を彩るものとしてのアートのコレクションを行ったということだ。

なぜそのようなことを知っているのかというと、僕は今から25年前に、京都の岡崎公園の一等地に細見美術館が計画されていた時にアートディレクターの仲條正義さんの御縁もあり、細見吉行さんと知りあい、美術館のオープンや、そして日本美術を振興するための日本美術誌『古今』を編集長として二人三脚で仕事をしたからである。

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