ヒト・シュタイエルはアートの未来を警鐘する/一日一微発見253
最近読んだ本の中で1番エキサイティングだったものを挙げるとするならば、ドイツ在住の映像アーティストであるヒト・シュタイエルが2017/19年に発表した著作『デューティ・フリーアート課される物なき芸術』である。
タイトルは何やらいかめしいし、現代アートの「難解な本」だと大半の人は本屋で見ても敬遠してしまうかもしれない。
さらには、帯に次のようなコピーの文字が踊っている。
「デジタル・グローバリゼーション時代のアートの機能は何なのか? 現代美術、資本主義、政治、戦争、破壊されたインターネットの不平等な時代のアートと、その生産・流通・消費の変容を考察する。挑発的でクリティカルな、“カミング・ダーク・ エイジ”の芸術論」とさらに畳み掛けてくる。
ヒト・シュタイエルは、コンテンポラリーアートにおいて近年、最重要・注目すべきアーティストの1人だ。2017年には、美術界で影響のある雑誌『ART Review』誌が毎年発表する「トップ100」において、1位に選ばれた。
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