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大阪のアートの血が騒ぐ/一日一微発見282

朝一番で、オープンしたばかりの大阪中之島美術館へ行った。ちょっと散歩したかったので、淀屋橋から川沿いに行った。
このあたりは、20年ぐらい前からよくウロウロしていた。それはgrafが拠点とする店があってよく行ったし(もうgrafは引っ越してしまったが)、その後、国立国際美術館が万博公園から引っ越してきたせいもある。
そしてそして今度は、大阪中之島美術館の出現である。黒い四角い不思議な佇まいの「現代美術館」が完成した。

僕は血も身体も大阪人である。父方の本拠地は神戸の甲東園だが、母方は阿倍野で、親戚はほとんどが大阪であった。
しかし僕が高校の終わりぐらいに、生家はいろんな事情で一家離散となり、僕は親戚のいない京都へ脱出した。僕にとって大阪は愛憎の対象であって、ラテン的な思考と身体に生まれたのは感謝するが、ついぞ大阪なんぞには住みたくはない。
もし大阪で人生を過ごしたら、明らかに僕は僕ではなかった。漂流民で良かったと心の底から思っているのである(京都は京都で付き合い深いが、ここでも死ぬのはまっぴらである)。

しかしだからと言って僕がアートにめぐりあったのは、はっきりと大阪であり、そのことは実にプライドもあるし感謝の気持ちがある。

小学校の時の担任の先生は国語の教師だったが灰谷健次郎の友人で、具体美術協会が深く関係した児童誌『きりん』に関わっていたから子供のぼくらは詩や絵を通してアヴァンギャルド魂の薫陶を得た。

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