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本の紹介メモ『たった独りの引き揚げ隊 10歳の少年、満州1000キロを征く』

本紹介会用のメモ

本の紹介

・本のタイトル
『たった独りの引き揚げ隊 10歳の少年、満州1000キロを征く』

・ 著者名
 石村博子 (ノンフィクション作家『ハルビン新宿物語』etc)

・出版日
 2009 (文庫2012)

・なぜ手に取ったか
- 詳しく覚えていない。満洲には常々興味があるからだと思う。2016年頃。
キーワード:ねじまき鳥クロニクル、祖父がシベリア抑留兵、京都のロシア料理屋でバイト、加藤登紀子、佐藤優。

・普段やってること
- 無職。転職中。Webエンジニア。Webサービス系に派遣で4年弱。
- 大学時代は大学図書館で4年間アルバイト。蔵書に囲まれていた。

・あらすじ
 1945年8月9日。満洲国北西部ハイラルに住む少年ビクトル古賀はコサック出身の母とソビエト侵攻の混乱の最中に離ればなれになってしまった。

 ハルビンで引揚列車に乗り込むものの人種差別を受け列車から下ろされてしまう。1人荒野に残されたビクトルは遥かルーツの日本を目指し、中国東北部の荒野を徒歩で縦断する。

 のちに、自由主義国の人間として初めて「ソ連邦功労スポーツマスター」の称号を与えられるサンボ(ロシア国技)レジェンドの少年時代の物語。

・何を学び何を得たか
- 消えていく文化の偉大さ。(祖父がコサック将軍。数百年続いた遊牧民コサック、最後の姿。)

- 人間(子ども)の可能性の偉大さ。(10歳の子どもが戦争中の荒野を徒歩で帰還し生存(!)。彼は日本式近代教育とコサック教育を受けていた。生存の根拠となった遊牧民的サバイバル術を身につけていた)

- 植民地時代の満洲の面白さ。バラエティ豊か。(ベンチャー起業家のような父。様々な民族・言語・文化が混じり合う当時の満洲。)

- 社会が大きく変化する時の生き残る術。(慌てず騒がずしかし楽しみながら根拠を持って自立する)

・地域概要

満州国(まんしゅうこく、旧字体:滿洲國、拼音: Mǎnzhōu Guó)は、1932年(大同元年)から1945年(康徳12年)の間、満州(現在の中国東北部)に存在した日本の傀儡国家。[引用 wikipedia]

- 少年ビクトルが母クセーニアと暮らしていたのは北西の軍都ハイラル。

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・引用

印象的な言葉

「日本人ってとても弱い民族ですよ。打たれ弱い、自由に弱い、独りに弱い。誰かが助けてくれるのを待っていて、そのあげく気落ちしてパニックになる。」(混乱の中、引揚列車から子ども1人荒野で下ろされ自力で生き延びたハーフの古賀氏の言葉)

・関連作品
- 『虹色のトロツキー』(安彦良和):漫画 満洲国の雰囲気がわかる 

- 『乙嫁語り』(森薫):漫画 中央アジア遊牧民の身体能力高い系嫁がわかる

- 『ジョーカーゲーム』第6話 「アジア・エクスプレス」(JOKER GAME ANIMATION PROJECT):アニメ 満洲国の特急あじあの雰囲気がわかる

- 『ねじまき鳥クロニクル』(村上春樹):小説 大陸と日本人のトラウマ的な関係を複雑で繊細な物語構造の中で昇華しようとする傑作

- 『ハルビンの詩がきこえる』(加藤淑子, 加藤登紀子):ノンフィクション 満洲国の雰囲気や引き揚げ時の雰囲気がわかる

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