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僕が事業を変化させた理由、それは社会への違和感だった。

はじめまして。
僕のプロフィールを見てくれてありがとうございます。

ここでは、創業360年の材木屋の九代目が、現代住宅や社会の矛盾に気づき、自分の仕事を家づくりを通じ変化させてきたことをお話しします。

何か共感してくれるものがあったら嬉しいです。

創業1657年 材木屋の九代目として生まれた

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▲戦争前の会社 それ以前の写真は東京大空襲で全て燃え尽きた。

僕の会社は1657年から続く、材木業の老舗でした。

1969年(昭和44年)僕は代々続く材木業の九代目として、そして親子三代、九人家族、三人姉弟の長男末っ子として生まれました。

幼いころは、大工さんが角材に鉋(かんな)をかけたり、鑿(のみ)で手刻みや、墨つぼで墨付けを行う横で、自分の小さな金槌をもって、大好きな木の工作をする子供でした。

鰹節をカンナで削るのは僕の大切な朝の仕事。

風呂は薪で焚いていて、体の芯まで温まる。

はじめて家に招いた友達には、父がヒノキのまな板をお土産に渡す。

いたずらをすると、林場(りんば:材木の倉庫)に縛り付けられる(笑)。
そんな暮らしの中で育ちました。

いつも木の香りに囲まれて育ち、木の話しを身近に聴き、今でも木の香りを嗅いだだけで、当時の記憶が瞬時に蘇ります。

300年以上も長く続いた材木業の歴史ですが、新建材や輸入材に押され、材木業は厳しい時代となっていきました。

親父からは

「これからは材木屋の時代ではない」

と言われ、僕は暖簾の継承に思い悩んだ青年期を送りましたが、一番好きな建築の道を志すことを決めました。

建築学科からゼネコンに就職し、いつか建設会社として暖簾を継承することを決意して10年が経ち、2002年、先代の引退とともに勤めていた会社を退職し、創業300年の代表となりました。

いきなり建設会社の看板をあげても、お客様はいらしてくださらないことは解っていたので、地域の建築の仕事は地域の不動産会社に集まると考えました。

そこでまずはハウスクリーニング業をはじめ、スーツを軽ワゴンに積んで、営業とクリーニングの日々を過ごしましたが、地域の皆様に建築士のハウスクリーニング屋さんとして、重宝がられ、すぐに内装工事、建築工事をいただけるようになりました。

お陰様で今は新築、リフォーム、不動産を買ってリノベーションをする方のお手伝いもしている、建築・不動産会社になりました。

**現代住宅における”とらえどころのない”違和感

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しかし、ゼネコン時代も、独立まもない時期も、一般の住宅をつくり続けるなかで、現代の住宅に、どこかあやふやで、とらえどころの無い「違和感」を感じておりました。

次第にそれは幼いころに触れていた”木の香り”のしない住まいだということに気付きました。

そうは言っても現代の住宅は、そういったものなのだと自分を納得させていたのですが、あるとき

「一部の野菜をつくる農家さんは、農協に出荷する野菜を食べない」

という話しを知り、とても驚きました。

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▲自ら創り手となることを体験するため千葉県市原市で野菜つくってます。

農薬を使った見栄えのいい野菜を出荷し、農薬を使わないすこし見栄えの悪いけれど、体に優しい野菜を家族と食べるということでした。

食品の世界を見渡しても、食品添加物を多用し、社員に食べるのを制限する会社もあるといいます。こうした社会に違和感と疑問を抱いたのでした。

では自分はどうなのか?この建設業界はどうなのか?真剣に考えました。

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本来、住宅の専門家である工務店の社長でも、安くてクレームになりづらい建材をお客様に提供し、自分は無垢の木の床や漆喰や珪藻土の居心地の良い、空気の美味しい住まいに住んでいる。

自然素材をうたった健康住宅系も、自然素材というだけで、本来もとめられる成分でないものも沢山あり、メーカーのうたい文句だけでお客様に提供している、そんな住まい作りがとても多いことに、過去の自分自身も含め、業界としてとても後ろめたい気持ちになりました。

食品添加物は、住まいに使う新建材と同じで、現代社会では無くてはならないものとなりました。真夏の暑い時期に、忙しくお昼を済ませたい時にはとても有り難いものです。

しかし、僕は身体への影響の可能性を知って選ぶのと、知らないで選ぶのは全く違うと思うのです。

住環境も同じで、新建材の身体への影響の可能性を、僕たち専門家が正しくお客様に伝え、知って頂いた上で、ご自身に選んで頂くことがとても大切なことだと僕は思うのです。

「僕が本当に欲しい」住まいを伝えたい3つのこと

こうした想いから、「僕が本当に欲しい」「僕の家に使いたい」「実際に使っている」素材をお客様に伝えよう。

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▲畳のイ草の産地 熊本県八代市の農家でイ草刈り取り作業やってます。

新建材のメリットとデメリット、自然素材のメリットとデメリットをきちんと伝えていこう。

プロとしてお客様が健康で幸せに暮らす為に大切な沢山のことをしっかりとお伝えし、限られたご予算でも、しっかりとご満足頂ける住まい作りをしていこうと決めたのです。


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▲南会津の広葉樹の森と木の美しさは僕の欲しい木材のひとつ。

その一つとして、僕は「本当に欲しい」と思う素材を探して、実際にこの足で全国各地を訪れ、創り手や携わる方々に触れ、素晴らしさや、それにかける想いを肌で感じ、本当の素晴らしさ、価値を伝えることで、よりご自身の住まい創りにご満足頂くことをとても大切にしています。

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 二つ目として、本当に美味しい空気を体感して頂く為に、化学物質や新建材を一切つかわずに、本物の素材だけでつくった「宿泊体感型モデルルーム 空まめの木」をOPENしました。

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▲化学物質を一切使わない宿泊体感型モデルルーム「空まめの木」

こちらのモデルルーム「空まめの木」は、住まい作りのご相談を頂く皆様の体感宿泊はもちろん、地域の方々のセミナーやワークショップにもご利用頂いたり、住環境が要因で引き起こされているアレルギーやアトピー疾患のある方々が体質改善を実感できる空間となっており、そうした方型にはとても喜んで頂いています。

そして三つ目として、本物の住環境を素材の観点から、プロも知らない本当の事を広く知って頂く為に「自然素材住宅で本物の『美味しい空気』の創り方」を執筆致しました。


※Kindle版は現在99円

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現代の住宅建材は、法律こそクリアしておりますが、様々な影響を及ぼす可能性を指摘されております。

自然素材をうたっているメーカーも多種多様であり、一般の方では、正しい判断が難しいのではないのでしょうか。

そうした住環境に影響をあたえる様々な素材を、新建材と自然素材のメリットとデメリットを含めて解りやすくご説明した上で、メンテナンスやお手入れなどの心配も含め、私たちプロが皆様の趣味嗜好やライフスタイル、そしてご予算に沿ったご提案をすることが、建設会社・工務店・設計事務所として、とても大切なことだと僕は思います。

創り手と住まい手の思いを繋げる


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僕は家づくりを通じて「創り手と住まい手の想いを繋げる」ことを、とても大切にしております。

祖先からの教えである「物には命がある」「創ったものには魂が宿る」ということは、昔の日本人はごくあたりまえに言っておりました。


ものづくりに魂が宿るのであれば、住まいは魂の集合体ではないでしょうか。

であるならば、一つ一つの素材の創り手はもちろん、職人さん一人一人が素晴らしい方であり、そうした仲間と顔の見える住まいづくりをすれば、お客様はより安心し、ご満足頂き、より幸せに暮らして頂けるのではないか。

そしてなによりご自身のお住まいを末永く愛してくださるのではないか。


私たちはそう考え、「お客様」「職人さん」「私たち」を、一本の縄を”あざなう”(綯う)ように、頂いたご縁を固く結ぶ「あざない式」を工事の始まりに行うこと。

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工事中のお住まいへのご案内を通じた職人さんとのふれあいや、工事完成の際にも様々な職人さんや、場合によっては地方に住まわれている素材の創り手の方々とふれあう機会を設けさせて頂くこと。

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▲自分で命を頂いた木で家を建てたら一生の宝のような家になる

住まいが完成したあとも、イベントやワークショップなど、絆が長く続くご縁をとても大切にしております。


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▲毎年開催している「田んぼ学校」で自らも創り手になる体験をする。

また、こうした活動を通じて、産地の創り手の方、職人さん一人一人が、誰の為にお仕事をさせて頂くのかということを、強く意識することによって、創り手のやり甲斐が高まり、結果としてよりよい住まい作りに繋がることとなりました。

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家はそこに住まう家族の人生すら左右してしまう大きな力をもっています。

間取りや色合い、素材やデザインなどはもちろんのこと、そこに関わる造り手の意識や思いすら、家に宿るのではないでしょうか。

僕は本当にお客様の幸せを願い、よりよい家を作りたいという思いをしっかりと持ったスタッフと仕事がしたいと思っています。

僕は、家をつくった方が本当に笑顔で心豊に幸せに暮らせる空間が出来てこそ、本来の家づくりが完成するのだと思うのです。


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そして最後に材木業から建設業になり、そして木をはじめとした本物の自然素材を得意とする建設・不動産会社となることが出来た今、祖先と同じ木の良さを伝える生業につけたことは、祖先や皆様に感謝の気持ちが尽きません。

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▲新月伐採・葉がらし・天然乾燥の産地でヒノキを植林

「プロダクトアウト」は売れない。

それはわかっているけど、僕は内なる衝動を止めることは出来ませんでした。

これからも僕は、自分の信じた住まい作りに真剣に取り組んでいきます。

最後まで読んでくれてありがとう。






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