連載「イチロー部屋のイッピン」17. 90年振りに破った歴史的偉業達成試合のチケット
2001年9月28日本拠地でのアスレチックス戦。私は三塁側の席で、イチローのヒットを祈って観ていた。
第3打席。ピッチャーはアスレチックスのE・ヒリウス、イチローの打ったハーフライナーのボールがセンター前に落ちる! すると大歓声が起こり観客が総立ちになった。
大型ビジョンを見ると、「ichiro SUZUKI With that hit, he Just set this Majer Leagus recerd for rookies hits in a seson(234). He surpassed Joe Jackson mark of 233 hits this in 1911」と映し出されていた。
イチローは、「俺は、ルーキーではない、そんなに騒ぐなよ」と言いたげな表情で立っている。モーゼスコーチがイチローの耳元で自分の帽子のつばにふれて観客に応えるように促した。ようやくイチローはヘルメットを高く上げ、はずかしそうに1回だけ応えた。
このヒットが、ジョー・ジャクソンの新人年間安打記録を90年振りに破る234安打だったことを知らなった。ジョー・ジャクソンは、1919年のワールドシリーズで起った八百長試合のブラックソックス事件で球界を追放された悲運の一人。「裸足のジョー」という愛称で呼ばれ、映画「フィールド・オブ・ドリーム」でも有名になった。
シューレス・ジョーはパワーヒッターで、イチローとタイプは違っていたと言われている。記録にも、記憶にも残るチケットは、「This Day in History… September 29,2001」というFLEER TRADITION ベースボールカードといっしょに飾っている。
イチロー研究家 村本健二