六番目の小夜子  恩田陸

この高校には、密かな言い伝えがある。「サヨコ」と呼ばれる人が存在する。サヨコは、3年に一度、文化祭で演目をする。そして、サヨコから次のサヨコに代々引き継がれていく…。
今年は、3年に一度のサヨコの現れる年、教室には赤いバラの入った花瓶が教卓の上に載っていた。
高校3年生になった雅子は、新しいクラスに来た転校生の津村沙世子をみてその美しさに見とれてしまう。体育の時間、雅子は沙世子が古い鍵を持っていることに気が付き、同じクラスの由紀夫に相談する。由紀夫は、同じクラスの秋にも話をしてもらうために雅子を連れて秋との待ち合わせ場所に向かう。


ここからネタバレ含む。(注意、今回は激しくネタバレ)




兄が三番目のサヨコ、姉が鍵の伝達だけをやるサヨコだった、秋はサヨコに強い興味を持ちます。由紀夫と雅子から沙世子の鍵の話を聞いた秋は沙世子がサヨコに何が関係があるのかと疑いますが当の沙世子を観察していても何もわかりません。実は、この年のサヨコは加藤という生徒でしたが、加藤は不思議な気配を感じた時に喘息とそれに伴う心臓発作を起こして入院してしまいます。今年のサヨコを断念した加藤は秋にサヨコ役を託します。
秋がサヨコとして行動する前に、サヨコがすでに学園祭に向けて行動を開始し、今年の脚本を学園祭実行委員長の設楽に届けます。脚本に沿って準備が続けられ学園祭での準備が進められます。
「今年は生徒全員参加の劇です」と告げられ生徒全員にセリフが配られぶつけ本番の劇が始まりますが、会場全体の緊張が高まったその時竜巻が起こり体育館を破壊します…。
学園祭後、秋はさらにサヨコについての調査を進めますが、最後は部室が火事で燃えて学園祭実行委員会に保管されているサヨコに関する資料も燃えてしまいます。

最初、タイトルから学園ホラーものか…と思い読み始めたのですが、ミステリーの展開になり、読了後も謎が残ります。
結局、
最初にこのサヨコを誕生させたのは誰か?
沙世子に手紙と鍵を送ったのは誰か?
学園祭の脚本を書いたのは誰か?
野犬たちは、誰の指示で動いていたのか?
火災の時に、屋上にいた人は誰か?
教師の黒川がすべての黒幕なのか?
新しいマニュアルを作って戻したのは誰か?
たくさんの疑問が残ります。特に、沙世子の行動は、送られてきた手紙と鍵からサヨコに興味を持ったから…では説明がつかないので本人の知らぬ間に動かされていたのか…なぜ、火事が起こすような行動を美香子に取らせるように仕組んだのか…。
冬の章の最後を読むと黒川がすべての黒幕のような雰囲気もありますが…。


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