捜査線上の夕映え　有栖川有栖

あらすじ

コロナ禍、とあるマンションで起こった殺人事件。最初は、通常と同じような殺人事件に思われた。容疑者は３名、しかし全員にアリバイが成立し、捜査は予想外に難航していた。
緊急事態宣言が出ていて久しくフィールドワークを行っていなかった火村英生の元に大阪府警から捜査助言の依頼が来る。

ここからネタバレ含む感想

作家アリスシリーズ、久しぶりの長編小説です。
今回の事件は、あまり特徴のない殺人事件のようで、捜査が難航していたため火村にヘルプが入るという事件です。事件の設定はリアルタイムのコロナ禍、緊急事態宣言が明けてようやく人々が少しずつ動き出しているそんな時期の事件なのでとてもリアル感があります。
事件の容疑者は3人、容疑者の恋人、その恋人の友人、容疑者に借金のある友人ですが、全員アリバイが成立し犯行は不可能です。長編小説なのに事件は普通（この表現はよくないかもしれませんが、一番しっくり説明できるので敢えて使っています。）なのに…。というところがいつもと違う事件ですが中盤くらいまで関係者に話を聞き少しずつ事件の状況を確認していく火村と有栖ですがなかなか全容がつかめない…という状況になります。しかし、あることから推理を働かせて火村は、有栖と二人で被害者の恋人の友人の出身地である瀬戸内海の島へ向かいます。そこから、新しい事実が判明するために一気に事件解決に向かいます。
最初、かなり二人のことを怪しく思っていた女性署長が最後どんなコメントをしたのか気になりました。
久しぶりの長編でとても面白く読めました。コロナ禍をリアルに描いてあるところもよかったです。何年後かに読み返すのも楽しみです。