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<イチ♥プロ> 福祉職じゃなくても「ちまちま」と、私が出来ることを(前編)

イチゴが活動を通じて出会った中で「この人こそ…児童福祉のプロフェッショナルや!」とイチ推ししている方にインタビューしていく企画「イチゴのイチ♥推しプロフェッショナル」

2人目のイチプロは、地域の子どもをそっと見守る、おもちゃ作家・風見千恵子さん。

「何の資格もない、ただの主婦なんで…」と言いながら見せてくれたのは、色とりどりのフェルトやビーズが散りばめられた「おもちゃ」たち。人形にカラフルなお布団、お顔のついたマカロンやアイスクリーム… 全て彼女が手縫いしたものです。

「創ることが楽しみであり、癒しでもある」という彼女が、とある女の子のために始めた、世界に一つだけの「おもちゃ定期便」とは?
郵便ポストに「ぽとん♥」と届く、月に一度の贈り物。
皆それぞれ、子どもの為にできる何かがある!

風見さんと人形
おもちゃ作家 風見千恵子さん

地縁をつなぐ「おもちゃ定期便」

イチゴイニシアチブ(以下、イチゴ)
 イチ♥プロの企画では普段、お仕事として児童福祉に関わっている方にお話を聴くのですが、今回は少し違いますね。仕事としてではなく、個人でやっている取組についてお伺いしていきます。大田区にお住まいの風見千恵子さんです。

風見さん(以下、風見);よろしくお願いします。

イチゴ;この素敵なおもちゃたちは、全て風見さんの手作りなんですよね。
ビーズや布使いが豊かで、わぁっと心が沸き立ちます!
このおもちゃが紡いだ、とあるお子さんとのご縁があったそうですね。

風見;はい。当時、大田区のファミリー・サポート・センター事業(以下「ファミサポ」)に会員登録していて。ファミサポは、子育て家庭と、それを手伝いたい人を、区がマッチングしてくれる事業です。
私も自分の子育てがひと段落したので、これからは地域の子どものために何かやりたいと思い、登録しました。
保育士資格や教員免許がなくても、自分の子育て経験だけでできることや、同じ区内のお子さんとつながりができるのも、身近でいいなと。

ファミサポを通じて、あるご家庭からサポートのご依頼がありました。
そこで出会ったのがAちゃんです。
親御さんが対応できない時に、代わりに保育園にお迎えに行く形で関わることになりました。

お迎えのついでに保育園で絵本を読んだり、具合が悪いときは抱っこして帰ったり。そんなサポートを1年半続けました。

しかし、途中で私の母の体調不良のため、ファミサポをやめざるを得なくなってしまって。
せめて彼女が小学校に上がるまでは続けたいと思っていたんですが… 

それがずっと心残りだったので、毎月1回、お人形やおままごとセットなどを手作りして、Aちゃんのお家のポストに「ぽとん」とお届けするようになりました。これが「おもちゃ定期便」です。
例えば10月ならハロウィンなので、おばけのついたシュシュとか、季節にちなんだものを入れて。

おばけのシュシュとお手紙
ハロウィン🎃の季節には、おばけのシュシュ👻

イチゴ;おもちゃ定期便、いいですね!ポストにぽとん、も直接手渡されるのとは違った、ジェントリーな趣がある。毎月いろんな工夫があって飽きないし、オリジナルだから人とも被らない。
私が子どもの頃もほしかったなあ!

風見;Aちゃんは可愛い物が大好きで、私のおもちゃにも興味を持ってくれていたので、家事の合間にちくちく縫い、お手紙を添えてポストにぽとん、というのを毎月続けました。
おもちゃで遊ぶ様子を、ママが毎回携帯に送ってくれて。直接会えなくなっても、つながり続けられることが嬉しかった。

Aちゃんが小学校に上がる際には、自分にとっても節目なので、お祝いに通学用の手さげカバンと上履き入れを作ろう!と心に決めていました。
カバンの色は本人の希望でピンクと紫、名前入りのキーホルダーも付けて。

それだけはポストに投函ではなく、直接お渡しに行きました。
久々の再会で最初は照れていましたが、本人もママもすごく喜んでくれて。
3年生になった今でも使ってくれているみたいです。
その後はずっと、年賀状やお手紙のやりとりが続いています。

Aちゃんも平仮名を覚えて、お手紙を書いてくれるようになりました。「べんきょうはたいへんだけど、きゅうしょくはおいしいよ」とか。成長も感じられるし、文字を見ると愛おしさが増します。

イチゴ;保育園時代はおもちゃ、小学校に上がったら通学用カバンと、贈り物に成長を感じます。大事な節目を見守ってくれる大人が地域にいることが嬉しいし、頼もしい。ファミサポでの出会いから発展し、個と個の関係へ… 
まさにファミサポの事業目的である「地縁をつなぐ」を体現していますね!

私ができることを「ちまちま」と。

風見;趣味が高じて始めた取組ですが、今ではおもちゃ作家として、作品を販売するようにもなりました。ブランド名は「ちいさなおもちゃ屋さんChima☆Chimaです」

イチゴ;オリジナルの活動にまで発展しているなんて!
そういえば、今日のインタビューの場所である、大田区の子ども食堂「だんだん」さんにも、風見さんの作品がたくさん使われているんですよね。      椅子に敷いている座布団や、ベンチのキルティングとか…
だんだんさんは「元祖・子ども食堂」として有名で、岸田首相や野田聖子少子化担当相が視察にも来られました。その際、総理や野田大臣がおかけになったのが、風見さんの作った、この座布団!
レトロな布に「DAN DAN」のロゴが良い味出してる!
総理も野田大臣も「かわいいですね」と褒めていらっしゃったとか。

風見さんと近藤さん
総理もおかけになった、風見さんお手製の座布団❤️

風見;偶然でしたが、とても有難いことです。だんだんさんは、総理が視察に来られるくらい有名になっても、全くブレずに地域に根差した活動をされているのは本当にすごいなと。私もゆくゆくはこんな風に、大人も子どももくつろげる場所を作りたいです。そのために、できることを「ちまちま」やっていこうと。

イチゴ;風見さんは冒頭で「何の資格もない、ただの主婦なので」とおっしゃいましたが、おもちゃ作りという素晴らしい才能をお持ちですよ! それだって立派な専門性です。
技術だけでなく、それを誰かのために惜しみなく発揮できることが、本当に素敵!

後編へ続く>


風見さんの作品:① Instagram  ② Twitter ③ Facebook

写真撮影;kisimari

インタビュー場所;子ども食堂「気まぐれ八百屋 だんだん」

※インタビュー中はマスクを着用していましたが、写真撮影時のみマスクを外しています。 

ファミリー・サポート・センター事業

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