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シネマ『ロッキー』

この記事を読めば数分でこの映画がわかる。
わたしはこの映画で泣いた。

映画、ロッキーの一作目。ボクシングの映画である。
超低予算で撮影。街で集めたエキストラのギャラはチキン一本だったという。
2の話だが、なんといってもこの映画のみどころは、主人公のロッキー(シルベスタ・スタローン)がランニングしているシーンで、その後ろから大勢の小学生たちが走っている場面だ。
テーマソングと共に、ロッキーと小学生たちが走っているのである。

わたしは物凄くロッキーに共感した。

数年前のある日の出来事だ。
わたしは、ロボットを改造した。まんが倉庫というリサイクル店で購入した、よくわからないメーカーのよくわからないロボットの玩具だったので、わたしはもっとカッコよくしようと足にタイヤを付けたり頭にまつぼっくりを付けたりして改造したのだ。
カラフルなアイスの袋とかもアロンアルファで付けて、ティッシュの箱で専用の車も作った。
乗せて、ブーブーと遊んでいたら、近所の小学生が「遊ぼう」と家を訪ねて来た。
わたしは、大人なので労働の義務があるのからにして「今、ブーブーしてある意味大事な仕事をしている」と言ったのだが、小学生の手に暗い所で光るスーパーボールを持っているのに気付き労働を放棄した。
あれを公園の砂場の真ん中にある、かまくらみたいな穴の空いたドームの中で光らしたら絶対に面白い。
わたしは、玄関にジェッターファイヤー(わたしが作ったロボット)を置いて小学生と公園へ走った。

いつも通り、シーソーで股を打つ修行とか、鉄棒の匂いをかぐとか、パンジー仮面ごっこ(咲いているパンジーを顔に付けてやるヒーローごっこ)とかしたりしてたくさん遊んだ。


次の日に気付いた。
玄関に置いてあった、ジェッターファイヤー。
なんと、お母さんに捨てられたのである。
気付いた時には、ゴミ回収車に持って行かれている。

わたしは回収車から流れている曲をたよりに、走っているそれを探しだし追いかけた。
夏休みだったので小学生たちも一緒に追いかける。

まさに、ロッキーそのものだった。
追いついたが、もう、回収車の中に入っているジェッターファイヤーをどうする事もできない。
わたしたちはゴミを回収する職員さんの横で整列して待つ。
車が動き出すと、わたしたちはまた走る。
それを繰り返しゴミ集積場まで、辿り着いた。

そして、泣いた。
わたしのジェッターファイヤーは、これから燃やされるのである。
わたしたちは手を合わせ、ジェッターファイヤーにお別れを告げた。
母や周りの人からはゴミでも、わたしからしたら宝だったらのだ。たぶん、あのまま家にあったら毎日家でジェッターファイヤーで遊んでいた。
そして、お正月とかにおばあちゃんちに持って行って、仏壇に飾ったりして、叔父さんとかに片付けられて、また飾ったりする。

これは、ゴミと呼ばれたロッキーにも、宝としてくれる人がいた事に共通する。

わたしと小学生たちはロッキーに憧れロッキーが試合に立つ姿と同じ格好をした。
パンツとクツだけの格好である。
公園で「♪チャララ~」と言いながら、みんなでボクシングステップを踏むのである。
小学生たちはみんな白いブリーフ。わたしも白いブリーフ。

夕方までやっていたら、
パトカーが来た。
わたしは乗せられそうになった。

わたしは泣いた。

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