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世界遺産をめぐる①『ピラミッド』

第一回目は、エジプトのピラミッド。
忙しい人の為に、実際に行った気分になるバーチャルトラベルだ。画像を見ながら。みんなで一緒に。

あれはなんと、エジプトの昔の王様のお墓だというのだ。
わたしは、パソコンの前にお供え物を用意して手を合わせた。りんご、おばあちゃんちでお盆の時に出されるよくわからないお菓子など。
たまたま叔母さんが来ていて、母とお話とかをしていたのだが、わたしを見た叔母さんが母に「あれは何をしているのか?」と問うている。
母は「そもそも理解できる時が年に数回」と答えている。
お勉強してないのだ。教養は持つべきである。ピラミッドはお墓なのだ。

王様のお墓である。量は多い方が失礼にならない。パソコンの前で線香五箱に火を点けたら、母が鬼のように怒った。
心の声が聞こえたのだと思う。
マウスは少し焦げたけど、ピラミッドさんに失礼のない事をしたと思う。

エジプトのピラミッド。
なんといっても、一番の醍醐味は砂場だ。ピラミッドの周りにはとても大きな砂場がある。
世界各地から訪れる観光客はその砂場で遊ぶのが一番の目的といっても過言ではない。
あのような楽しそうな大きな砂場があれば、誰だって行きたくなるであろう。
そもそも、普通に考えて親戚でもない人のお墓を観に行く行為というものは、よっぽどの変人でもない限りやるはずがない。
砂遊びがしたいのである。

わたしも砂場で遊びたくなった。
公園の砂場へと移動する。
わたしはプリントアウトしたピラミッドの画像で公園に集まっている小学生たちとピラミッドバーチャル旅行をした。
もちろん、目的は周りの大きな砂場である。
実際、公園の砂場で遊びながら、エジプトの砂場で遊んでいる気分になるのだ。
わたしは、もちろん、あの巨大なエジプトの砂場で乾燥したネコの白いフンを探している。これをロマンと言わないで、何をロマンというのだろう。
以前、それを、何でも買います売りますの看板が出ている所に売ろうとして失敗した事がある。二度と同じ過ちは繰り返さない。
そもそも、あんなのが何でも買います売りますの所で売れるはずがないのだ。わたしは社会の常識を知らなすぎた。
メルカリで売る。

お話をしながら遊んでいるうちに、小学生たちと謎を解明した。ピラミッドは実はお墓などではなく、砂遊びで出来たお城ではないかと。
だって、実際、砂場で遊んでいたらお城とお山ができるのは至極当たり前の事ではないか。

古代エジプトで猫が崇められていたのは、砂場の乾燥したネコのフンを取る為であったという事は、惰性と怠惰の姿勢で考えても容易に想像がつく。
あと、水不足の際に振って汗を吸おうとしていたのも。

観光地になるのではないか。
その期待を胸にわたしは小学生たちと、公園の砂場にピラミッドを作った。自宅にあったキャンプでしか使わない三角のテントを持ってきて水とのりで砂を周りに付けたのだ。でっかい砂のお城である。
どうせ、テントはたまにしか使わない。
親戚で集まってバーベキューキャンプに行く時も、毎年、従兄弟とかだけがバーベキュー用品とかグッズを持ってきて誉められている。去年、誉められようと、わたしはそっと除湿器を持って行ったのだが、叔父さんとかに見えないように母が背中で隠すのだ。
母は手柄を取られたくないのである。

観光名所になるように、グッズも作った。
土で作ったピラミッド饅頭。遊びに夢中でトイレ行くのを忘れて漏らした小学生のパンツと遊ぶ前から漏らしていたわたしのパンツなど。
もちろん、ネコの乾燥した白いフンも。

「安いよ、安いよー」

わたしと小学生たちは、張り切って公園に来る人に向かって叫んだ。
これでもう、仕事しないで小学生ばっかり遊んでいる、とか言われない。
仕事をしているのだから。

バーチャルでもいい、世界遺産を巡っていれば何らかの恩恵がある。
寄り目にしたら何でもかんでも3Dになると思って、パソコンの画面を何でも寄り目で見ていたあの頃が懐かしい。
さもすれば、実在の物も飛び出ると思って、日頃からよく寄り目にして、母、友人、すべての人から「いよいよ」と言われていたあの頃が。
未だに何がいよいよかはわからない。

世の中は未知なるもで溢れている。

いろんな可能性を信じて。
さあ、世界遺産を巡ろう。

寄り目で。

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