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ブレアウィッチプロジェクト2020

外出自粛生活が続き、在宅勤務が始まり、
ほぼ誰とも会っていない。

外出したり、人とあったりしたい気持ちもあるが、
映画に読書にラジオに楽器とやりたいことがあり、
意外に充実した毎日を送っている。
人と会わなくても困らない状況に逆に心配する自分がいる。

そんな私でも困ることは、ライブと旅行である。
オンラインライブなどもあるが、やはり生で音楽を聴くに勝るものはない。

そして、旅行。
最近は、落ち着いていたが、年3回は海外にふらふらと行っていた。
ひどい時は、出張も入れ、年に10回も旅に出ており、
中毒ではないかと思った時期もあった。
毎月、空港にいて、荷物を紐とくことなく、次の旅に出る。 

物理的な移動も好きなので、バスに乗ったり、電車に乗ったりすることも好きだ。
だが、今は全てがほぼ無理という状態である。

今年の夏は、LAにいる友人に会いに行く予定だった。
現在の状況では渡航は難しく、旅は諦めている。
最後に友人に会ってから1年。
時差はあるけど、久しぶりにZOOMで話すことになった。

日本は、お昼の12時半、LAは、夜の8時半。
部屋のソファに座りながら、友人と会話を始める。
話していくうちに、友人が部屋ではなく大学にいることがわかる。
音楽系の大学に通っている友人はピアノがある部屋にいるようだ。

旅館にあるような鏡や電気のスイッチ、Room Policyという看板も見え、
ずいぶん厳格な環境に住んでいるのかと思ったので、
ピアノの練習室と聞いて、納得。

LAに留学していた私にとってLAは特別な場所。
故郷のように思い出すと少し切なくなる。
時折、ふらりと帰りたくなるが、飛行機で12時間の距離。
世界のいろいろな国に行きたくて、また最近ではカレーにハマり、
インドに行く機会も増えたため、中々LAに行けていない。
外出自粛となった今、映画の中にLAが現れると
なんともいえない切ない気分になる。

「外の風景が見たい!」と言った私に友人が応えてくれ、
PCを持ったまま、校内を実況しながら歩いてくれる。
大学の廊下、張り紙、トイレのMEN, WOMENと書かれた表示ですら、
懐かしくなり、「懐かしい〜!」と言う私に、
友人がわざわざトイレの中に入り、中の様子を見せてくれる。
海外に特有の足元が開いた個室を写しながら、
「足元見えちゃいますよ。」と友人。

夜の9時すぎにPCを持ってトイレを映すなんて、怪しさしかない。
校内で誰かにすれ違わないかとハラハラしながら、画面を見つめる。

そして、外に向かう扉を開ける。
明るいと言っていた友人の言葉とは異なり、外は真っ暗。
日本とは時差があることを感じさせる。

外には道路に車が走っているのが見える。
チェーンのハンバーガショップのライトを友人が見せてくれる。
自分も友人と一緒にハンバーガーショップのライトを見て、
車の走る音を聴きながら、LAにいる気分になる。

外の暗闇の中で校内を歩き回る友人の姿は
まさにブレアウィッチプロジェクトのようだった。
Wifi環境によって、突然画面がフリーズしたり、
友人が足を踏み出す度に画面が揺れたり、
ガサガサっと洋服にPCが当たる音がしたりと臨場感あふれる映像。

ZOOM終了後に友人から、校内が真っ暗だったのは
停電していたようだっと連絡があった。
ブレアウィッチプロジェクト感を演出するのに、照明までバッチリだった。

人と会わなくても大丈夫だと思っていた私にとって、
人と話すのは悪くないなと思った出来事だった。

次回は友人宅の周りを散歩しながら、会話することになった。
友人が不審者と思われないか心配だが、とても楽しみにしている。

もちろん怖がりな私は、ブレアウィッチプロジェクトは
もちろん観ていないことを最後に付け加えておく。

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