一田和樹のメモ帳

広義の文筆家。小説家と呼ばれることが多い。明治大学サイバーセキュリティ研究所客員研究員…

一田和樹のメモ帳

広義の文筆家。小説家と呼ばれることが多い。明治大学サイバーセキュリティ研究所客員研究員 https://ichida-kazuki.com 連絡先 https://ichida-kazuki.com/post/650695238157058048/

マガジン

  • デジタル権威主義

    デジタル権威主義についての情報を発信してゆきます。 当面は備忘録代わりにニューズウィーク日本版などに発表した記事の資料を掲載します。余裕できたらオリジナル記事を書くかもしれません。

  • 民主主義の現在

    民主主義に関する資料や記事などを紹介します

  • 余談ですが……

    日常的なものごとです

  • ファクトチェックを取り巻く課題

    ファクトチェックを取り巻く課題をビジネスなどの側面。特にパトロンとなっているフェイスブックやグーグルの問題点を取り上げています。

  • 2022年ウクライナ関連

    ウクライナ関連のネット世論操作などの記事です

最近の記事

中国で新設された情報支援部隊を煽る日本のメディアと、防衛研究所などの温度差

「中国、戦略支援部隊の廃止と組織変更 日本、台湾のメディアを利用して失敗を糊塗?」( https://note.com/ichi_twnovel/n/n2ad2a18b196e )で書いたように、NHK、読売、日本経済新聞、朝日新聞など大手メディアの多くは中国発の情報をそのままあるいは大きな変化とか脅威増大ととれる表現を用いていた。 一方、前・陸上自衛隊東部方面総監の渡部悦和の「突然発表された中国人民解放軍の大改革、その詳細とこれまでの経緯」( https://jbpres

    • ステージが変わったアメリカのデジタル影響工作 主役は中露イランではなく国内アクター?

      ●概要アメリカのデジタル影響工作が変化している。予想された当然の変化だが、ここまで無策だったことに驚く。下記の記事によると、アメリカで匿名のX利用者がヘイトや偽情報を発言するとイーロン・マスクやトランプなどウルトラ・インフルエンサーが拡散するようになっている。イーロン・マスクが閲覧数に応じた報酬を与えるようにしたため、それを狙う利用者はイーロン・マスクやトランプなどのウルトラ・インフルエンサーが好むヘイト、偽情報、陰謀論を投稿を増やす。こうしたエコシステムが出来ている。 A

      • デジタル影響工作ゲームが紹介されていた 真偽判定、なりきりBBCレポーター、世論操作のシミュレーションまで

        ゲームで学ぶデジタル影響工作というわけで、「Educational Games」( https://conflictmisinfo.org/educational-games/ )で8つのゲームが紹介されていた。 なお、ゲームの安全性が保証されているわけではないので利用はご自身の責任でお願いします。 1.EUvsDisinfo Quiz( https://euvsdisinfo.eu/quizzes/euvsdisinfo/ ) 情報の真偽判定ゲーム。画像と文章を読んで真偽

        • 中国、戦略支援部隊の廃止と組織変更 日本、台湾のメディアを利用して失敗を糊塗?

          まだあまり情報が出ていませんが、どうも戦略支援部隊(SSF)がうまくいかなかったために組織を変えることにしたという見方も多いようです。私は軍事には素人なので、あくまで主としてデジタル影響工作をいろいろ調べていて感じた個人的な感想であり、備忘録の思いつきメモとしてご覧ください。 もちろん、日本や台湾では認知戦、心理戦に本格的に対応した新部隊の設立ということで危機感を持った報道が多くなることが予想される。言い方は悪いが、ウクライナとガザさらには中東情勢悪化から、台湾への国際的な

        中国で新設された情報支援部隊を煽る日本のメディアと、防衛研究所などの温度差

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          21本
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        記事

          気になった論文や記事2024年4月19日

          気になった論文や記事2024年4月19日資料 4月13日から4月19日の間で気になった論文や記事を簡単に紹介。なお、私が先週気づいたということであって、先週公開されたとは限りません。 ●アフガニスタンで新しいファクトチェック団体ができたアフガニスタンのメディアEtilaatrozがCIRのAfghan Witness(AW)の支援を受けてファクトチェック部門Sanjahを立ち上げた。Sanjahは、アフガニスタンの政府関係者、メディア、その他の機関や組織からの主張のファク

          気になった論文や記事2024年4月19日

          深刻化するドイツの亡命・移民政策 ISDが分析した2023年の状況

          ●概要ISDが2023年のドイツの亡命・移民についてのSNSの状況を分析したレポート「Changing tides: Discourse towards migrants and asylum seekers on Facebook and X in Germany in 2023」( https://www.isdglobal.org/digital_dispatches/changing-tides-discourse-towards-migrants-and-asylu

          深刻化するドイツの亡命・移民政策 ISDが分析した2023年の状況

          殺人まで拡大した「AI意思決定ロンダリング」 972マガジンのイスラエルの殺人指示AIラベンダーの記事が注目

          2024年4月3日に掲載された972マガジンの「‘Lavender’: The AI machine directing Israel’s bombing spree in Gaza」( https://www.972mag.com/lavender-ai-israeli-army-gaza/ ) が話題になっている。 イスラエル軍が使用しているAI「ラベンダー」は殺人の標的を特定しており、その精度は90%である。残りの10%は無関係の一般市民などということになる。通常時は

          殺人まで拡大した「AI意思決定ロンダリング」 972マガジンのイスラエルの殺人指示AIラベンダーの記事が注目

          中露イランがアメリカ大統領選に対するデジタル影響工作に注力というMSのレポートはちょっとよくわからない

          マイクロソフト社は2024年4月17日、「Nation-states engage in US-focused influence operations ahead of US presidential election」( https://blogs.microsoft.com/wp-content/uploads/prod/sites/5/2024/04/MTAC-Report-Elections-Report-Nation-states-engage-in-US-foc

          中露イランがアメリカ大統領選に対するデジタル影響工作に注力というMSのレポートはちょっとよくわからない

          2日と$105ドルで自動的に記事を更新する生成AIプロパガンダサイトを作った記事

          Wall Street Journalに偽情報対策で知られるNewsGuardの編集者が寄稿した記事「How I Built an AI-Powered, Self-Running Propaganda Machine for $105」( https://www.wsj.com/politics/how-i-built-an-ai-powered-self-running-propaganda-machine-for-105-e9888705 )で、2日間と$105ドルでプ

          2日と$105ドルで自動的に記事を更新する生成AIプロパガンダサイトを作った記事

          中国のCVERCがVolt Typhoonはアメリカの言いがかりという報告書を公開し、ナラティブを流布

          中国のCVERC(国家计算机病毒应急处理中心)はサイバー攻撃などについてのナラティブを担当するデジタル影響工作部隊であり、以前から欧米のサイバー攻撃に関する主張を覆すような報告書を公開していた。 中国影響工作における国家计算机病毒应急处理中心(CVERC)の役割 https://note.com/ichi_twnovel/n/na8d18436ddc9 今回はVolt Typhoonが中国由来であることを否定するレポート「Volt Typhoon: A Conspirat

          中国のCVERCがVolt Typhoonはアメリカの言いがかりという報告書を公開し、ナラティブを流布

          「偽・誤情報、ファクトチェック、教育啓発に関する調査研究」は日本では貴重な包括的な調査だった

          昨日(2024年4月16日)、公開された国際大学グローバル・コミュニケーション・センターの「偽・誤情報、ファクトチェック、教育啓発に関する調査研究」( https://www.glocom.ac.jp/activities/project/9439 を読んだ。といってもざっと1回読んだだけなので見落としや勘違いがあるかもしれない。あくまで自分用のメモとして書き残しておく。 ●概要国際大学グローバル・コミュニケーション・センターは毎年こうした調査を行っており、昨日公開されたの

          「偽・誤情報、ファクトチェック、教育啓発に関する調査研究」は日本では貴重な包括的な調査だった

          情報流通への国家介入が話題になっているらしい

          ●なにが問題となったか 話題となっているのは総務省「デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会」第14回ワーキンググループにおいて京都大学大学院法学研究科教授曽我部真裕のプレゼンテーション「「情報流通の健全性」と憲法」」という発表。その資料は「デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会 ワーキンググループ(第14回)配付資料」のページ( https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/digital

          情報流通への国家介入が話題になっているらしい

          EU議会選挙を前にドイツで親露極右政党AfDへの批判が強まる

          以前の記事「ロシアの影響工作をチェコ保安情報庁が暴いたのはEU議会選挙対策?」( https://note.com/ichi_twnovel/n/n674547fe89b2 )で書いたようにドイツというかEUとしてドイツの極右政党AfDへの警戒を強めているようだ。理由は極右であること。ヨーロッパの極右の多くはロシアとの結びつきがあるが、その中でもAfDはロシアに近いと考えられている。先日、ドイツ国内の移民最大200万人を北アフリカに強制移住させる秘密計画が暴露されたことや、E

          EU議会選挙を前にドイツで親露極右政党AfDへの批判が強まる

          最近の論文や資料から見えてくるデジタル影響工作対策の問題点 偏りがあるうえ有効の検証が不十分

          私が特に気にしているせいもあると思うが、昨年からデジタル影響工作に関連する研究の見直しをよく見かける。デジタル影響工作は2016年のアメリカ大統領選挙で有名になったが、2014年のロシアのクリミア併合からすでに多く取り上げられていた。10年目の節目だからなのかもしれない。 ●全体的な傾向これまで行われてきた研究を概観した研究としては下記を紹介した。・「COUNTERING DISINFORMATION EFFECTIVELY An Evidence-Based Policy

          最近の論文や資料から見えてくるデジタル影響工作対策の問題点 偏りがあるうえ有効の検証が不十分

          気になった論文や記事2024年4月12日

          4月6日から4月12日の間で気になった論文や記事を簡単に紹介。なお、私が先週気づいたということであって、先週公開されたとは限りません。 ●ボルチモアの橋の事故をきっかけに人種差別、移民への偽情報が増加、DEI排除の動きDEI(Diversity, Equity & Inclusion、人種差別などを排し、多様性、公平性、包括性を求める動き)が広がっているが、DEIはまた人種差別や反移民を訴える極右など過激派のターゲットになっていることをボルチモア・バナー誌がレポートしている

          気になった論文や記事2024年4月12日

          SNS大手がモデレーションを緩めた結果、極右過激派がマイナーSNSから大手SNSへ大移動

          一時期は監視強化された大手SNSからマイナーなSNSに活動場所を変えた世界各国の極右過激派グループが大手SNSに戻っていることをGlobal Project Against Hate and Extremism (GPAHE)が報じている。 Far-Right Extremist Accounts Surging on Mainstream Platforms https://globalextremism.org/post/far-right-extremist-acco

          SNS大手がモデレーションを緩めた結果、極右過激派がマイナーSNSから大手SNSへ大移動