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船山信次「〈麻薬〉のすべて」

・本書は、薬学博士である著者が麻薬に関する基礎知識ならびに麻薬、覚せい剤、大麻など、何らかの問題を引き起こす可能性のある薬物の詳細について書いた1冊。

・麻薬とは、「微量で麻酔・鎮痛作用を耽溺性を示して、使用を中止すると激しい禁断症状をおこし、かつ乱用のおそれのある薬物」と本来は定義している一方、「その薬を繰り返し使用した後、急にその使用を中止すると、精神的な、またしばしば身体的な苦痛がおこってきて、引き続きその薬を使わずにいられないような状態をひきおこす薬」という見方もある。

・麻薬には医薬品としての面と、乱用薬物という面の二つの面のあることに心しなければならない。麻薬イコール悪いもの、あるいは排除しなければならないものとはいえない側面もあることを知っていただきたい。麻薬はがん患者の激烈な痛みを劇的に和らげてくれる作用も持っている。

・覚せい剤は天然由来のアルカロイド類に化学的変化を加えてつくり出された半合成化合物であり、日本生まれの薬物である。覚せい剤を大量に服用すると、多弁、興奮、不安、不眠などの種々の症状がみられ、便秘を起こしやすく、排尿困難となることが多い。重度になると、せん妄状態となって錯乱し、攻撃的な行動を示す。さらには、高い発熱、けいれん、昏睡から虚脱状態におちいり、心不全や脳出血から死に至ることになりうる。

・乱用薬物として、大麻が行き渡っている。大麻を吸引すると、最初、酩酊感があり、四肢のまひ、眼結膜の充血、口渇、めまい、頻尿、嘔吐、血流の増加、血圧の低下などがおこり、種々の空想や幻想があらわれるという。また、時間や空間の感覚もなくなって数分間が何時間にも感じられたり、遠くの物体が近くに見えたり、錯覚や幻覚があらわれたりするという。大麻の薬理作用は、大きくいって、妄想、幻覚、陶酔感、多幸感の四つであり、幻覚を引き起こす薬物であるといえる。

・本書では、麻薬の概要や、各国の薬物の乱用事情や規制についてなど麻薬の基礎知識、コカイン、ヘロイン、合成麻薬など、15種類以上の麻薬並びに薬物の詳細(概要や歴史など)について書かれた内容となっている。

麻薬は人類と深い関係があることを教えてくれる1冊です。

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