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誰と、どこで、どうやって。

信じられない。まったく信じられない。なにが信じられないって、自分の事務能力が信じられない……。

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ポンコツ社長ぶりに驚く3ヶ月目

きてん企画室を法人化して3ヶ月弱が経った。

変わったのはお金の扱いである。法人は、個人事業主と違って、会社のお金とそうでないものをしっかり分ける必要がある(当たり前)。

つまり、会社から外部に支払ったり、自分に給与(ただしくは役員報酬)や立替分の経費を支払ったりする作業が発生するのだ(当たり前)。

もちろん、そんなに難しいことではない。ちゃんと記録して計算して振り込みすればいいのだから(当たり前)。

……が、しかし、それすらままならないのが、わたしというポンコツ社長だ。

案の定、いつのまにか自分の給与が消えているという事件が起きた。振り込んだはずなのに個人口座の残高が増えない。そのままついにクレジットカードも止まった。……なぜ!

慌てた。ひとりで慌てた。そうして気づいたのは、単純に振込先を間違えていたということ。ほぼ休眠状態の昔の口座に入金していたのだ。

……なんだそりゃ。どうしてそうなるんだ。自分だからよかったものの、もしこれが……と思うと恐ろしい。と、ひどく落ち込んだというのが近況です。なんとか生きてます。

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同じ日に生まれたいけてる会社

そんなポンコツ社長が経営するきてん企画室とは似ても似つかないけれど、”同じ日生まれ”のいけてる会社仲間がいる。

株式会社Shhh(シー)だ。

2019年12月12日、きてん企画室が千葉市で登記した日、Shhhは渋谷区で登記した。

Shhhの代表・重松佑さんは、わたしの前々職でもあるロフトワークでシニアディレクターをつとめていた人。つまり、元同僚だ。そして重松さんの創業パートナーである宇都宮勝晃さんは、長らくフリーで活動してきたアートディレクターでありデザイナーだ。

ウェブサイトを見るだけでも伝わるけれど、Shhhはシュッとしてかっこいいデザインチームである。軽い表現で申し訳ないが、いけてる会社だと思うし、いけてる会社としてこれからどんどん知られていくはずだ。

そう信じているのは、おふたりの姿やつくるものはもちろん、物事に向き合う姿勢がかっこいいから。仕事に全力で知恵をめぐらす態度だったり、文化を愛する身体性だったり、思考を支える言葉だったり、そういうものひとつひとつに宿る芯の強さがあるから。

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(↑見てください。このシュッとしたかっこよさを)

(ちなみに「きてんだってシュッとしたい……」とボヤいたら、「そのままでいいよ」とふたりに慰められた。匙を投げられたのかもしれない)

ともあれ、月とスッポン的に雰囲気の異なるふたつの会社が同じ日に生まれたのであった。

そしてそんなよしみで(?)、Shhhの入居しているオフィスを、きてん企画室もときどき使わせてもらうことになった。

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小さな会社と会社の指差し確認

席を分けてもらう条件は、月1回の定例会議を一緒にすること。

クリエイティブ制作が得意なShhhと、組織コミュニケーションを手掛けてきたきてん企画室。それぞれの得意と不得意を持ち寄って……ということもあるけれど、そもそもお互いにわからないことばかり。

「法人カードつくった?」「会社の情報発信どうする?」「このテキストどう思う?」といった細々したことを相談しあう今日このごろだ。

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▲ある日の議長ことShhh・重松さん。

わたしの場合はひとり会社なので、Shhhのふたり体制が羨ましくもあるし、それでもこうやって相談できる相手がいることがありがたいなぁと思う。

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Shhhの起業背景から考える「環境」のこと

さて、長い近況報告はこのぐらいにして。

何が言いたいかというと、Shhhのふたりがそれぞれ書いた起業背景のnoteエントリがとても素晴らしくて紹介したいのだ。ということで紹介します。

まずはShhh・重松さんのエントリから。

重松さんは7年勤めたロフトワークについてユニークかつ愛のある解説をしたあと、起業理由を述べた。

ひとつのキーワードは「成長のメタファー」。

“どちらかといえば樹ではなくて「土壌」のような、あまり変化しないことへの憧れ。それでも季節ごとに葉を分解する小さな虫や微生物の働きによって健康さを保ち続けるルーティンの強さ。”

成長していく、熟成していく姿を、自分なりにいいなと思う形に整えたいという。

そして、もうひとつは、心臓の病気で入院したときに得た「大切なことを大切にしたい」という気持ち。

“自分自身や自分の周りを慈しむことで健やかに自然な感情を持てることが、僕にとっては最も「創造的かつ大切な」環境であるということにはっきりと気づきました。”
“「大切なものを最優先する(好奇心を惹かれることや面白いことではなく)」「大切なものをつくる(話題性や利益や流行ではなく)」といったことを、これから長いあいだ継続するにはどうしたらよいかと思い続けている中で、次第に自分で環境をつくることに挑戦してみようと考えるようになりました。”
”何があっても自分で責任を取れるようにしていたほうが良いなと思っているだけです。(僕は遠藤周作の「沈黙」やミシェル・ウェルベックのいくつかの小説が大好きなので人間の意思は環境に負けると信じています。なので、その環境にも自分で持てる範囲の責任を持ちたいということです。)”

組織にいることが悪いわけではない。でも、自分が自分の道を進もうというときに、「環境」からちゃんと整えることで責任をとれるようにしておきたい。ーーそのフレーズは、わたしのお腹にもとても強く響く。

そう、環境からつくりたいと思った人が会社をつくるのかもしれない。

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そして、もうひとつご紹介したいのは、Shhh・宇都宮さんのエントリ。

宇都宮さんは重松さんとはまた違って、フリーランスで働いてきた人だ。ある種、自分の環境を自分でつくれる立場にある。

だが、宇都宮さん自身は個人で働くことに限界を感じていたという。その理由がとても率直に、論理的に述べられている。

“セーフティネットの少なさは、全フリーランスへデフォルトで「不安」としてまずセットされるもの”
“構造としては、常時あるその「不安」の上に、パートナーからの期待のありがたさに対してどこまで自分は応えられているのだろう?という「不安」が重なり、毎日目に入ってくる他のデザイナーの方々の眩しすぎる仕事の数々と、現状の自分との差の違いによる「絶望感と生存不安」が重なってくる。そんな3階建てが自分にとっては基本セットです。”

これはもう、たかだか2年弱のフリーランス生活でも身に覚えがあり、胸が痛くなるものだった。

そして宇都宮さんは、「この不安は「無難」へも人に走らせます」「不安に負け「無難」に事を進ませようとすると次はどうなるか?「やりかたの固定化」が始まります」と続ける。

すごい……容赦ない。そう、独立して働くこととには「固まってしまう危うさ」が潜んでいると、わたしも思う。よく思う。

そして宇都宮さんは、「人をきっかけに環境を思い切って変える」アプローチとして、重松さんとShhhを立ち上げることを選択した。

宇都宮さんのまとめがまた胸に深く響いた。

”これは自分の場合ですが、自分を変えていこう、足らない部分を補っていこうとしたとき、「こうしなければ」という考え方で強制的に自分への変化を与えていくと、どこか無理が出て大抵途中でつまづく。それがこれまで失敗を重ねてきたなかで学んだことの一つでした。
そう考えた時、むしろ
・素直に共感できる、違う目線を持った人との付き合い方を変え、
・人きっかけでインプットが変わることで、
・結果的に自分の状態が、より望ましい方へ変わっている
という順序の方が自然で、その流れに素直に従う事が今の自分に必要なんじゃないか。”

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誰と、どこで、どうやって。

失敗と成功の両面を見てきた大人が、手を組んだデザインチーム。Shhhはシュッとしているだけでなく、理性的で率直なところが魅力的だ。

……いいなあ。お互いにそんなことを口に出して、手を取り合えるなんて素直に羨ましいなと思う。

「誰と、どこで、どうやって」とは、暮らしにまつわるブログで何度も書いた悩みだけれど、仕事や会社も同じ。

誰と、どこで、どうやって働き、生きていくのか。

きてん企画室はどうだろう? そのことについてはずっと悩んでいるし、まだ言葉にならない。こんなにダラダラ書いておいてなんだけれど……。

ひとまず伝えたいことは、同い年会社のShhhはシュッとしているだけでなく、理性的で率直でかっこいい素敵なチームだ、ということ。ということで株式会社Shhhをよろしくお願いします。



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“機転をきかせて起点をつくる” 広報コミュニケーション事務所「きてん企画室」を営んでます。文化・デザイン・ものづくり分野を中心に活動中。出版社やデザインカンパニーの広報PR/編集職、文化財団の中間支援兼コミュニケーション職を経て独立。https://ki-ten.com/