見出し画像

トキシックショック症候群(TSS)って何?

トキシックショック症候群(TSS)とは

生理用品のパッケージに必ず書かれている「トキシックショック症候群」。
医学生が簡単に説明してみました。

タンポンに関する記事はこちらです↓

症状

TSSは黄色ブドウ球菌という菌が出す毒素によって、頭痛、嘔吐、下痢などの多彩な症状と高熱が出ます。重症化すると、急激にショックが起きたり、多臓器不全。呼吸不全、腎不全を合併します。

ただかなり発症する確率は低いので、神経質になりすぎる必要はありません。

体中にある

実は黄色ブドウ菌は膣だけではなく、人間や動物のあらゆる皮膚や粘膜に存在しています。あなたが今スマホを触っているその手にも大量にいます。
実際に微生物学という授業の実験で、自分の手に綿棒でチョンチョンとした後、寒天の上で培養したのですが、たった1日でゾッとするくらい繁殖しました。

タンポンと関連づけられる理由

体中にある菌なのに、なぜタンポンの話題の時だけ、これほど警告されるのでしょうか?それはタンポンを長時間使用したり、装着する時に中に菌が入り込むと、膣の中で菌が繁殖してしまうからです。
タンポンを着けた時の膣の中の状態は、黄色ブドウ球菌が大好きな条件が揃っているんです。黄色ブドウ球菌の性質の一部を紹介しましょう。

・通性嫌気性
酸素が有っても無くても、繁殖できるという事です。タンポンをはめた時の膣内は新しい空気が入ってきませんが、黄色ブドウ球菌からして見れば、へっちゃらなんです。何なら嫌気性なので、どちらかというと無酸素状態の方が好き程です。

・最適温度が35〜40℃
黄色ブドウ球菌が生き延びるのに最も適した温度は35〜40℃で、まさに人間の体温と同じなのです。膣は外界と触れていないので、外の温度に関わらず、常に一定の温度です。つまり、常に黄色ブドウ球菌が住みやすい環境ということです。

あくまでタンポン装着時に発症率が高まるだけで、そうでない時に発症する人もいて、男の人でも発症する可能性はあります。

黄色ブドウ球菌 ≠ TSS

黄色ブドウ球菌が引き起こす症状はTSSだけではありません。様々な毒素や病原因子を持っていて、TSSはその内の一つである「毒素性ショック症候群毒素」が原因です。
他にもエンテロトキシンという毒素は食中毒を引き起こすなど、様々な症状を引き起こします。身近にあるけれど、結構厄介な菌なんです。

画像1

おかしいなと思ったら

重症化すると、命を失う危険もあります。少しでもおかしいなと思ったら、すぐにタンポンの装着を止めて、病院に行きましょう。
黄色ブドウ球菌を殺菌するための抗生物質などを用いて治療します。

こちらタンポンの会社のサイトにも、TSSについて書かれています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?