からだを知って気づいて守ること

※この記事は別サイトにて2021年3月7日に公開していたものです。

最近Twitter経由で婦人科系疾患の記事を見掛ける機会が増えた気がする。私は幸い今のところ診断を受けているわけではないが、これまでとこれからの婦人科系疾患との付き合い方を残しておこうと思う。

生理の開始と子宮頸がんワクチン

初経を迎えたのは中学2年生のこどもの日。こどもの日に大人の体になるという我ながら良いタイミング。その日から15年近く、ほぼ毎月生理と付き合っている。

初めて婦人科系疾患を意識したのは初経から間もない時で、祖母から勧められた子宮頸がんワクチンがきっかけだった。当時「子宮頸がんは性交を経験した者が罹る傾向にある病気」くらいの理解で、色恋沙汰と無縁に生きていたわたしとしては自分が疑われているような感覚であまり良い気持ちはしなかった。だが言われるがままワクチン接種し、数日間の筋肉注射の鈍い痛みを抱えながら生活していた。子宮頸がんワクチンの補助が出るようになったのはその後の出来事で、わたしは自費接種だ。今となっては祖母に感謝である。

このワクチン接種以降「子宮頸がんとは無縁」という無敵モードでいたのだが、この認識が誤りであることを知ったのはつい1年前のことだ。

その後も生理に関する大きなトラブルはなく、周期も概ね一定、生理痛も重くなく初日だけ時々鎮痛剤を飲む程度で済んでいる。初めて婦人科を訪れることになったのは大学院1年生、22歳頃だった。

初めての婦人科、男性医師による診察

大学で研究室に入ってから定期的に研究発表をする機会があった。その前後は研究室を出るのは22時以降、帰宅は24時近く、そこからご飯を食べて6時に起床するような不規則な生活。無意識のうちに精神的負担にもなっており研究発表と生理不順はセットだった。

そんなある日、咽頭炎で40度近い高熱により1週間研究室を休むことになった。復活後すぐ、おりものに異変を感じた。ググってみるとカンジダのようだったが自己判断で市販薬を使うのは当たり前だがNG。一方で性感染症だったら?という不安もあり病院に行くことにも躊躇いを感じた。

一応医療系学生だったわたし、研究室の目の前は大学病院、婦人科もある。何にせよ早い診断結果を欲し、勇気を出して婦人科デビューを果たした。結果は予想通り膣カンジダ症。疲労による免疫低下、咽頭炎で抗生物質も飲み、自分の防衛力が弱ったタイミングで発症したようだった。先生は男性で正直若干の抵抗はあったが、相手はプロだし何より自分の不安が晴れる方が優先だ。噂の脚がパカっと開かれる椅子に座り、その場で膣内溶解するタイプの投薬をしていただいた。

繰り返したくない悪夢は投薬後。薬の残骸が排出される際にかゆみが出ると聞いていたが、かつてない膣内のかゆみに襲われた。実験していても何をしていてもかゆい、集中できない。どうにか耐え抜き快適ライフを手に入れた。性交による発症ではないと分かって母に報告したところ、母は抗生物質を飲むと発症しやすい時期があったようで経験者だった。早くに相談すればよかったな。

自分のからだを知るフェーズへ

膣カンジダ症を発症してから、女性のからだにきちんと向き合うようになった。そもそも研究発表と生理不順の連動を当たり前にしていること自体おかしいのだ。まずは基礎体温をつけることから始めた。面白いもので生理前の体調不良による予兆より基礎体温は正確に生理の始まりを教えてくれた。

これによりPMS(月経前症候群)による自分の症状を把握できるようになった。毎月1度は感じていた彼氏と別れた方がよいのではないかという衝動や苛立ちは決まって同じ時期だった。あの空腹も眠気も便秘や下痢も、どん底に落とされたような悲しみも、毎月似たスケジュールで順番に起こっていた。毎月起きているのに目の前の不調と戦うことに精一杯で気づかなかった。

今のわたしが自分のからだについて分かっているのは、生理中より前の期間が重い方であること、生理の2週間前に精神的不調、1週間前に身体的不調がそれぞれ始まるということだ。治らなくても分かっている状態でいることでコントロールがしやすくなる。自分のからだは自分しか分からない。

ワクチンへの過信

基礎体温記録をしていたからこそ発覚が早かったが、社会人3年目に生理周期が40日を超える月が2-3か月続いた。体温グラフは綺麗だが低温期が長い。いつか出産したいと思っていたため不安を感じてすぐに婦人科に駆け込んだ(もう婦人科に躊躇いはない)。記録を見せたところ排卵は問題ないこと、年齢の移り変わりで周期が変わることも教えてもらった。診察も兼ねて子宮頸がんの検査もする?と言われた。実は初めての検査だった。前に書いたように「子宮頸がんワクチンを受けたから、自分は子宮頸がんとは無縁」と思っていたので検診を受けたことがなかったのだ。

その旨を伝えたところ「ワクチンをしていても、良い年齢なので検診はもう毎年してください」とのこと。良い年齢!という軽いショックとともに、ワクチンが絶対ではないことは勉強していたのに何故か子宮頸がんに関しては安心しきっていた自分に喝を入れたい気持ちだった。検査結果は陰性。その後生理周期も元に戻り、一過性のものであったことも分かった。

婦人科検診の徹底を

それからは会社の健康診断にはしっかりオプションを付けて乳がん検診と子宮がん検診を受けている。毎度乳腺嚢胞の軽度の所見が見られるという結果があり、ひやっとした気持ちで来年の検診を待つというのをやっている。健康に見えていてもどこかに小さな異変がある事実はインパクトが大きい。異変を感じるのはもちろんのことだが、異変に気付くための行動を取るのも自分だけなのだ。

若いから、忙しいから、元気だから、といって健康診断の優先度を下げてしまう同世代は多いと思うが、大きな事になってからの方が治療に時間もお金もかかるし、何より失うものがあるかもしれない。

そして若いというのは自分が思っているだけで、同世代の人たちはもう「良い年齢」だ。現実を受け止め、からだと向き合い、検診はしっかり受けてほしい。何よりも失わなくてよかったものを不本意に失う人が減ってほしい。

最後に、通常の健康診断の中に乳がん子宮がん検診も含まれる未来が近いうちに訪れるように願いを込めて。。

Aikarin(@ica1299

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