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完全リモート勤務のマネジメントってどうしてる?デザイン会社rootのやり方について

はじめに
ここ最近の感染症に関する特殊な状況によって、初めてリモート勤務に移行する企業は多いと思います。rootも2020年3月末より初めて完全リモート勤務体制を取り始めました。記事執筆時点で1ヶ月以上リモート体制が続いていますが、特段目立ったトラブルや課題はなくむしろ今までよりも幅広い選択肢が増えたとメンバーには受け止められています。一方で急激な変化を伴う体制移行によって、多くの企業では組織や個人にさまざまな課題がたち現れていると思います。なぜrootはスムーズにリモート勤務への完全移行を成せたのか。rootが取り組んできた内容と実施の際のポイントをまとめました。

まず前提として、rootは従業員9名 + パートナー 5〜7名の小規模なデザイン会社です。組織全体のマネジメントは主に代表の西村が執り行っています。この規模の組織でのケーススタディだということをまずは前置きします。

段階的な移行を経て、完全リモート勤務へ

2020年2月以前

以前より、rootでは個人にマッチした働き方や働く空間のあり方を考える動きをしていました。オフィスを手放し、コワーキングスペースであるWeWorkに入居したのもその一環です。

プライベートスペースと共有スペースの両方の空間を利用できるWeWorkでは、個人の目的や特性に合わせて空間を分けて仕事をするということを実践しました。各自がパフォーマンスを発揮できる空間を自由に選択できるワークスタイルがここで形作られました。場所が分断されることで生じるコミュニケーションの課題も、ツールやルールを各自が主体的に作っていくことで解決してきました。詳しくは紹介記事を読んでください。
また、2019年11月より代表の西村が子育てのためにリモート勤務日を設定し、週に一日完全リモート勤務で業務を行うという体制に移行しました。これによって、リモート勤務のメンバーとの仕事の仕方やコミュニケーションのあり方が徐々に形作られてきました。

2020年3月初旬

3月に入りWeWork内での集団感染のリスクが高まってきたこともあり、メンバーがリモート勤務とオフィス勤務を自由に選択できるように体制を変えました。この変化によってメンバーの約半分がリモート勤務、もう半分がオフィス勤務という体制になりました。リモート勤務メンバーとオフィス勤務メンバーの間でのコミュニケーションや仕事の管理の仕方などをお互いに模索し合う期間でした。

このとき最も重要視したのは、働く場所の異なるメンバーの間で同時に働いている実感や気軽にお互い会話ができるという状況をいかに作るかということでした。以前より、WeWork内で働く空間が異なるメンバー同士のコミュニケーションをどう作るかという課題に取り組んでいたこともあり、このときもツールやルールを工夫しながら解決する道を模索しました。

2020年3月末

3月末より不要不急の外出自粛を求める声が強まってきたこともあり、最低でも3ヶ月間の完全なリモート勤務体制に移行しました。会社としてリモート勤務のための設備投資も含めた本格的な体制移行を行いました。これまで行ってきたコミュニケーションツールやルールの整備にとどまらず、オフィスチェアや備品など物理的な設備も整える運びとなりました。設備についてはメンバーが自宅で業務を行うにあたって必要なものを各自の判断で自由に備品として購入できるというルールを定め、個人の裁量に任せた自由度の高い形で実施されました。

流れを振り返って

段階的なリモート勤務への移行のなかで共通して取り組んでいたのは、「自分と他のメンバーの間にある壁をいかになくしていくか」ということと、「最終的に成果につながることを各自の裁量で判断して行う」というメンバーの姿勢です。rootはプロジェクトチームごとにクライアントワークを行うため、プロジェクトチームごとにコミュニケーションが分断される傾向が強い組織です。同じプロジェクトを行っているメンバー同士は密にやり取りしますがそれ以外のメンバーとは疎遠になりがちです。また、パブリックな場所のほうが集中できるメンバーとプライベートスペースのほうが集中できるメンバーのように、メンバーのパフォーマンスを発揮する条件にはそれぞれ特性の違いがあります。ほかにもライフスタイルの違いとして、郊外に住むメンバーもいれば都心に住む職住近接のメンバーもいたり、自宅で子育てをするメンバーもいます。そういったワークスタイルやライフスタイルに関する多様な価値観の違いを認め合い、各自が最大限パフォーマンスを発揮できる環境やルールをどうやったら実現できるかをメンバー全員で共に作る姿勢が今の体制の実現につながりました。

リモート勤務実施にあたって導入したツールや取り組み

ここで、リモート勤務体制へ完全移行するにあたって導入したツールや取り組みを紹介します。

1. Discordの導入(音声チャット)

朝出社して勤務開始〜終了まで全員が参加し、まるで同一空間で仕事をしているかのような感覚で気軽に会話をしながら業務を進行しています。ボイスチャンネルをメンバーごとに「部屋」として作り、話しかけたいときにそのメンバーの部屋に行くという形で運用しています。各自の部屋とは別に「共有スペース」を設けているため、ここにいるといま雑談や会話ができるメンバーと話せます。Discordは雑談・Slackは業務連絡といった形で使い分けています。

2. Zoom + ゲーム
雑談やラフなコミュニケーションを増やすには、対面での対話は必須と考えました。普段からビデオ会議にはZoomを活用していますが、Zoomはどうしても発言者と聴衆といった構図になりがちで、打ち合わせのような雰囲気になり雑談に向いていません。そこでメンバーからZoomを楽しむための工夫として、ゲームを一緒にやるという企画が提案されました。仕事終わりに15分程度、Zoomをつないでウミガメのスープのような謎解きや簡単なオンラインゲームを一緒にやるという内容です。これによってメンバー同士の雑談や会話が増え、業務から日常への切り替えも行うことができました。

3. Figmaを使ったワーク

Figmaはリアルタイムに作業内容を共有できるためDiscordで会話しながらペア作業をしたり、議論や相談をしながら業務を行うことが可能です。また相手方のビューを閲覧することもできるため、論点となっている部分を一緒に見ながら説明や共有をできるのも大きいポイントです。

Zoomのようなコミュニケーションの目的が明確なツールはイベント的に利用を予め計画して置かなければならないのに対して、DiscordやFigmaは自分の音声や作業内容が常に相手に「ダダ漏れ」なツールです。事前にイベントを設定しておく必要がなく、オンラインになるだけでコミュニケーションのきっかけが生まれるため導入ハードルが非常に低いのがメリットです。

4. ラクローを活用した勤怠管理

管理者の立場から見ると勤怠管理は非常に悩ましいポイントです。従来の勤怠管理では従業員の打刻による申請を前提としており実態との乖離が起こりやすいのが問題でした。ラクローではPCの動作ログをベースにして勤務時間を算出するため、自己申告や打刻よりも実態に近い従業員の稼働状況や稼働時間帯の傾向が可視化されます。

全従業員の実態に近い勤務状況を一覧できるため、ハードワークをしている人を早期に発見し対策を打てるのもメリットです。リモート環境では全員の体調や様子を把握しづらくなるため、こういった事実ベースのログを元に客観的な判断が行えることが非常に大切だと考えます。

5. その他rootが行ってきた働き方に関する取り組み

上記のほかにも、rootが行っている取り組みとして「朝会」や「プロジェクトレビュー」があります。

完全リモート勤務へ移行して見えたマネジメントの3つのポイント

完全リモート勤務の体制となってから、新たに見えてきたマネジメントのポイントもあります。

1. 見えないところで問題が発生しやすい

普段オフィスでは全員が目の届くところにいるので、対面で表情を見ながら話したり振る舞いの様子を見るだけでメンタルやコンディションの些細な変化に気付けます。これがリモート勤務だと難しくなります。言葉に現れない些細な変化を見逃さないための工夫を全員で行うことが、チームを健全に保つために重要です。ビデオ会議ではカメラをONにして表情を見る・雑談を許容する場をつくり相談をするハードルを下げ気軽に声をかけられるようにする・会話の量の平等さを意識し自分の今の気持ちや考えを言葉にできるようにするなど様々な工夫が必要です。

2. 全員参加型のオープンなコミュニケーションを意識する

物理的に集まる空間があるとメンバーが共通の目的に取り組んでいるという一体感が自然と生まれるものですが、リモート勤務では空間が分断されているため、意図的に一体感を生むきっかけを作る必要があります。今自分は何をしているのかのステータスを他のメンバーから見えるようにし、全員が一緒に仕事をしている状態を識別できるようにすることが大切です。
マネージャーがメンバーの様子を監視する目的で行うのではなく、メンバー同士でお互いが仕事に立ち向かっているのだということを認識し合えるようにすることが目的です。お互いが仕事に向かっているという目的意識を共有しあえることで、メンバーの士気やモチベーションを大きく高めます。

3. 管理ではなく裁量を持って活動をしていくことの重要性

リモート勤務へ移行したことで管理が大変になったと言う声をよく聞きます。当然と言えば当然なのですが、その前提には性悪説を前提とした管理者による管理体制があるのではないでしょうか。性悪説を前提とした管理体制の場合、勤怠や日報報告など途中経過をマイクロマネジメントする傾向にあると見受けられます。管理対象を細かく管理する体制を取ることは管理者にとっても、メンバーにとっても負荷がかかり、全体としてのパフォーマンスが落ちるのは必然です。

重要なのはマネージャーが把握し管理する必要性がある対象を明確にすることだと思います。それ以外はメンバー個々の判断に委ね、各自の裁量で運用をできる状態を構築することが、リモート勤務のパフォーマンスを左右するのではないでしょうか。

rootでは裁量をできるかぎりメンバーに持たせ、結果をベースとして管理や評価を行うマネジメントを実践しています。業務を行う環境や設備の管理についても、個々の価値観や自主性を尊重しパフォーマンスやモチベーションを最大化することを目的にしています。その結果、リモート勤務に限らず会社の変化に対して個々が意見を出し仕組み作りやツールの試験導入など積極的に行う文化が醸成されています。具体的にどのようなやり方で各自の裁量を広げていくか、裁量を個人に任せながら結果を出す組織の作り方については、また別な記事でご紹介しましょう。

まとめ

会社の組織規模やカルチャーによってもリモート勤務のスタイルは大きく異なると思いますが、リアルな場で行っていた当たり前をリモート業務でも当たり前と思って取り組んでいるとうまくいかないことが多くなるのが実態ではないでしょうか。

またマネジメントの観点では、結果を意識し過程を各自の裁量に任せる動きをすることが、管理コストを減らし従業員のパフォーマンスを最大化できるきっかけになるのではないかと思います。

物理的なリモート勤務環境は強制的に実施せざるえない状況ですが、チームとして働きやすいリモート環境への移行は短期間で実現するのではなく、段階的に試験的な取り組みも取り入れながら徐々に実行していくことが大切です。


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