短冊に願いを

祭 日本各地にはたくさんの祭がある。

我が宮城県が全国に、いや世界に誇る祭東北三大祭にあげられる仙台七夕まつりがある。

仙台七夕まつりは旧暦で行われるため 毎年8月頭に行われるのだが、今年は皆さんご承知の通り中止です。

この時期になると、息子の通う道場には笹が飾られ子供たちが願いごとを書けるようになっている。

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大人の皆さんどうだろうか?

自分の子供、道場の子供、教え子、または小さい子にこんな質問をされたことはないだろうか?

剣道って 誰が一番強いの?

私は剣道の経験はない。そんな私がなぜ息子に剣道を習わせたのかはまた後日語るとして、経験がない。剣道を知らないから困った。

私はその当時全日本で二連覇をし、テレビのバラエティにも出ていた西村英久先生の名を挙げた。

しかし 剣道の高段者の方を先生とお呼びする。そんなことすら知らない素人の私は西村先生 ではなく 西村選手と息子に伝えた。

今はネット動画が充実しており調べるのは簡単だった。

私の仕事が休みのたびに息子と西村先生の動画を見た。

西村先生が最強の九州学院出身のこと。日本一をとった経緯 そこまでの努力のこと。

当時 小学二年生だった息子は、周りの子たちよりちょっとだけ背が大きかった。大きく産んでくれたママに感謝しろと今でも言っているが、息子はそのアドバンテージを生かし 面で勝つことが多かった。

これが 3年生後半になると 小手で一本をとれるようになった。

パパ!今の俺の小手見た?

西村選手みたいでしょ?はやいべ?わかってても食らうやつだべ?俺真似したんだ!

小手で一本をとるたびに息子はそう言って駆け寄ってきた。

全日本三連覇という 偉業に挑む西村先生を我が家は皆で応援した。しかし、、、

プレッシャーからか 結果は皆さんご存知の通りである。

あんなに強い人でも負けることあるんだな

これが 私が、失意の底にいる息子にかけられた唯一の言葉だった。

息子は「あんまり負けて欲しくないんだよなー」

そして間髪いれず こう言ったのだ。

「日本一でいて欲しいんだよなー」

「俺が倒すから」

何か願いごとをする。

夢はなんですか?

日本一になる。

強くなりたい。

しかし、息子が七夕に、一年に一度願う内容は揺るがない。

「西村選手をたおす」

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これは 息子が剣道という世界に飛び込んだときからの願いだ。

願いというより 目標?

いや剣道を続ける理由かもしれない。

自分の中で憧れのはずの先生を いつまでも選手と呼び、

届かない存在ではなく、超えたい選手。

今は 鼻くそみたいな存在の息子。

しかし、剣道という一生をかけて 歩んでいく道を選んだ我々家族。

道はまだまだ長い。

いつか必ずこの道が息子にとって最良の道であったと言える日がくると信じて 今日も共に道場に通う日々である。

そんな日がくることを信じて 

七夕に

短冊に願いを。