FRBに救われた孫正義
5/23 英国経済誌 The Economistより
FRB(アメリカ連邦準備理事会)の未曾有の資金注入により、ソフトバンクの孫正義氏は大きな恩恵を受けることになりました。
日本のコングロマリットであるソフトバンクグループの株価は、3月中旬と比較して約70%上昇。これは同期間の日経平均株価の二倍以上の上昇幅になります。
大きな理由の一つは、2兆円以上の自社株買いの発表。
そしてもう一つの理由は、4月にFRBがジャンク債を大量購入し始めたことです。
2ヶ月前までは、借金漬けのソフトバンクのジャンク債はかなり危険視されていたのですが、現在では価格は上昇・利回りは下がっています。
これはソフトバンクの大ボスである孫正義氏に多大な自信を与えたことでしょう(記録的な9千億円以上の赤字決算を発表したところではありますが)
アメリカの中央銀行からのジャブジャブの資金注入に歓喜すると共に、孫氏は自身を「神がかり」となぞらえたことでしょう。
ソフトバンクのビジョンファンド(その約半分がソフトバンク自身からの資金)は、直近四半期で約2兆円の価値を消失。このファンド自体は2029年まで継続予定で、すぐに売却する必要はありませんので、この消失分の大半は含み損ということになります。
2017年から、このビジョンファンドは約5300億円の実現益、そして220億円の実現損を出しました。
直近のデータを加味すると、トータルでは800億円の損失であり、8兆円を運用するファンドとしては1%のロス。
「マーケットの現状を考慮すれば、決して悪くないだろう」と孫正義氏。
しかし、新型コロナウィルスのパンデミックは、ビジョンファンドが直面する危機の最近の事例にすぎません。
WeWorkを過大評価し始めた数年前から、ファンドの財政的にも、そして孫氏の自信という側面においても、徐々に危機は拡大し、今回の異例の金額の自社株買いに向かわせたと思われます。
”美味しすぎる”アリババの26%保有株や、2兆円を超えるTモバイルの株式を売却し、資金を捻出していくのでしょう。(今週、アリババの創業者であるジャック・マーはソフトバンクの社外取締役を退任しています)
それでも、ビジョンファンドが保有する株式の中には、ポストパンデミック時代に大きく台頭する企業が出てきても不思議でありません。
「孫氏は、今後数年の中で特に期待できる企業を、投資リストの中から数社提示することができるでしょう」
と話すのは、JefferiesのAtul Goyal氏。
ビジョンファンドの大きな賭けのうちの一社は、世界一のユニコーンであるByteDance(バイトダンス)。バイトダンスは、現在世界を席巻しているTikTokの親会社です。
この中国企業の評価額は既に10兆円を超えるとも言われています。
「FRBからの資金注入がなかったとしても、孫氏は借金地獄を生き延びたでしょう」とGoyal氏。
そして彼は今、神風により復活の糸口をつかんだといえます。
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最近、日本では否定的に語られるシーンが多いソフトバンク(=孫正義氏)。
しかし、ビジネスマン向けの世界的な権威メディアであるThe Economistでは、このように幾分肯定的に語られているのですね。
私が普段、Wall Street JournalやThe Economistを読んでいて、日本の企業やビジネスマンについて記載されているのは、
ソフトバンク、もしくは任天堂。(あとは安倍晋三)
くらいです。
それ以外の日本の話題は”びっくりするほど”ありません。
つまり欧米エリートや世界の投資家からは、日本で注目に値するのは上記の三者くらい、ということなのでしょう。
私は専門家ではありませんので、孫氏の現在の行動が将来のソフトバンクや日本経済にどれほどの良い影響をもたらすのかはわかりませんが、
欧米メディアから連日注目に値する存在感を世界で放っていることについては、単純に日本企業の社長、そしてオーナーとして尊敬に値すると思っています。
だって孫さんがいなかったとすれば、一体どの日本人が世界中で”大暴れ”できていたのでしょう?
私は素直に誇りに思います。
それでは、本日もマネークリップをポケットに入れて散歩に行ってまいります。
引き続きよろしくお願いいたします。
本日のマネークリップ
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