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社会課題に対する意見文、どう書く?(都立小石川)

こんにちは!公立中高一貫対策の「iBASE」です。

今日の入試分析は「社会分野」。その中でも、社会課題に対する意見文を求める東京都立小石川中等教育学校(適性検査Ⅱ)の問題を例として挙げながら、出題の実際について知って頂こうと思います!

日本が抱える社会課題について真正面から問うこの問題は、大人でも頭を悩ませる難易度の高い出題!ぜひチャレンジしてみましょう!

実際の出題問題

実際に出題された問題を見て頂きます。
どのような解答が思いつくか、数分で考えてみてください!(出典:東京都立小石川中等教育学校HPより一部抜粋)

■2019年度:人口の一極集中問題について

小石川2019

2018年度:日本の食料生産・自給率問題について

小石川2018

■2017年度:水資源の問題について

小石川2017

さて、いかがでしたでしょうか??
大学入試の小論文のテーマにもなりうる、骨太なテーマが並んでいたと思います。一般的な私立入試に見られる問題の性質とは、全く異なることがお分かり頂けたのではないでしょうか。

どんな力が求められる?

ではこうした出題によって、どのような力が問われているのでしょうか。都立小石川の募集要項から、確認しておきましょう。

適性検査Ⅱ
資料から情報を読み取り、課題に対して思考・判断する力、論理的に考察・処理する力、的確に表現する力などをみる。
(令和2年度 東京都立小石川中等教育学校 募集要項より)

一般的に「習熟度型」と呼ばれる私立入試に比べ、知識量は必要とされません。(教科書レベルの基礎的な知識さえ入っていれば、苦戦することはないでしょう)一方で、資料を読みその背景を考察したり(=課題に対して思考・判断する力・考察する力)、現状に対する課題や打ち手を記述させる(=的確に表現する力)、公立適性検査ならではの出題が見られます。私立における記述対策に加え、さらに専門的な対策を行っておくことが必須となるでしょう。

今回はこの出題に対応するために必要な、2つの「視点の持ち方」について紹介しておきます。

①「対となる視点」を持つ
まず1つ目は「対となる視点」を持つことです。
ある社会問題に対して「賛成/反対」双方の立場の主張を捉え、多角的に物事を見る姿勢が求められています。また社会問題への解決策についても、その「メリット/デメリット」の双方が検討されているか、その論理性が問われていると言えるでしょう。

具体的に見てみましょう!

■2019年度

小石川2_2019

「東京都はどう変わってきたか?」という問いですが、あさこさんの会話文の中で「良い方向に変わってきていることもあれば、問題がありそうなこともある」と指摘されています。人口の一極集中問題について、良い点・悪い点の両面から捉えることが出来ているかを、受検者に問う出題となっています。

■2018年度

小石川2_2018

日本の食料輸入に対して、あさこさんとけんじさんは賛成と反対それぞれの意見を表明しています。それに対してどちらか一方の立場を支持し自分の意見を論じる必要があるわけですが、その際「その立場の問題のあるところを書き」という指示がついています。つまり賛否それぞれの意見の根拠と妥当性を認識したうえで、論理的に意見を述べる必要があるのです。

②「ミクロ・マクロの視点」を持つ
そして2つ目は「ミクロ・マクロの視点」です。これは社会課題に対する解決策を論じるときに必要となる観点です。個人として、そして社会として、現代が抱える課題に対してどう向き合っていくのか。大小異なる視野を持って課題を捉えようとしているか、を問うています。

具体的に見てみましょう!

■2017年度

小石川2_2017

この問題においては「水を大切にするために、自分で何ができるか、また社会として何をしたら良いかについて」述べることが求められています。
つまり、
【ミクロ(小)】
自分1人でも明日から実行できること
【マクロ(大)】
社会の仕組みや意識の変化により実現すること
の2点について、考える必要があるということです。

こうした指示は、社会課題について俯瞰して捉えつつも、一市民として出来ることを足元から実践することも大切にしてほしいという、学校からのメッセージなのかもしれませんね。

どうやって対策する?

「iBASE」社会科では、全国の公立中高一貫校の適性検査だけではなく、近年の私立中学入試、および高校入試や大学入試の「地理・現代社会」の出題傾向を日々分析しています。そうして、今後の適性検査でも出題が予想される「社会課題」について、体系的に学んでいただくカリキュラムを設計しています。

上記で見てきたような「対となる視点」「ミクロ・マクロの視点」の育成のためには、起きている社会課題を学ぶだけではなく、異なるモノの見方をする他者との意見交流が不可欠です。様々な社会課題についての講師とのディスカッションを通して、複雑な現代社会に対応するための思考力を身につけていきましょう。

これまで約1,000人に及ぶ小学生を指導してきた経験を持つプロフェッショナルチームが、適性検査対策に必要なトレーニングをご提供していきます。同時に、受検を共に乗り越える保護者の方々が、こうした検査に取り組むお子さんに対してどのような声掛けをし、どのように共に学びを深めていくかというテーマにも向き合っていく予定です。

おわりに

今回は東京都立小石川中等教育学校の検査問題を取り上げ、「社会課題に対する意見文」の問題を解説しました。次回以降も、全国の公立中高一貫校を対象に、独自の入試問題を分析していきます!正しい情報と的確な分析を、志望校対策にお役立ていただければ幸いです。

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社会の問題は、分野や切り口によって多岐に渡ります。社会専門チームでは、この記事を読んでくださったみなさまの志望校を優先的に分析しています。

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