改めて大宮アルディージャの戦い方を振り返ろう①守備編(横浜FC戦・東京V戦・長崎戦を終えて)

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①はじめに

横浜FC戦△(0-0)、東京V戦〇(2-0)、長崎戦〇(3-0)

4戦未勝利の状況から徐々に復調してきている大宮アルディージャ。
大きく変化があったわけではない。新しい試みをしている訳でもない。全ては今シーズン積み上げてきた我々のサッカーについて整理することが出来た結果だ。

この記事では選手起用をベースに考えながら、今年の大宮アルディージャがどのように戦っていくのかもう一度考えていこうと思う。

今回は守備編。
攻撃編はこちら。

②基本のフォーメーション

ここ数試合の起用を踏まえた私が考えているチーム内序列だ。
一部の試合を除いて、シーズンを通じて3421を採用している。高木監督が長崎時代から採用している陣形だ。

守備時のフォーメーションはボールの位置や時間帯によって523と541を使い分けている。
523は相手のビルドアップ隊(CBやGK)までプレッシングを行いときに用いる。
541はリードしているときや相手の攻勢が強い際に用いる。

攻撃時のフォーメーションは325と4123を使い分けている。
相手の守備に合わせて使い分けるので、これについては後述する。
ちなみに、4123へ変形するときは以下のGIF画像のように変化する。

③大宮アルディージャの基本戦略

大宮アルディージャの基本戦略は守備をベースに考えながらスプリント力(走力)を活かしたカウンターにある
しかし、大宮相手にボールを持つことを放棄したチームと対戦した際に困ってしまったり、相手にボールを持ち続けれられることは体力的・精神的にも厳しいものがある。よって、「ボールを持たせてくれるなら、ポゼッションでも崩す手札は持っているよ?」というスタンスだ。

カウンターにもショートカウンターとロングカウンターの二つの手札がある。まずは前者のショートカウンターと関連する523という守備陣形について考えよう。

④523によるプレッシングとショートカウンター

523のプレッシングとショートカウンターの組み合わせの基本的な考え方は、「相手陣地でボールを奪ってしまえば、ゴールまで近いから相手選手も戻ってこれないし楽にシュートまで至れるじゃん!」ということだ。

523での各選手の役割を考えていこう。
シャドーとボランチ(DH)とFWの選手の役割は、5人で作った5角形の中にボールを入れさせないことだ。ボールが入ってもすぐさま追い返す。
シャドーの選手は相手に5角形の中に入れないようにしながら、SBとCBをどちらも見れるような立ち位置を取る。(中間ポジションという。)
FWとシャドーの選手は、相手のDHのバックパスやCBの横パスを起点にして、協力しながら相手のパスの方向を制限してSBにパスを出させるようにプレッシングを行う。
シャドーとFWがプレッシングを開始するとWBの選手は持ち場を捨てて相手のSBの選手までプレッシングを行ってボールを奪取する。相手のSBからすると、中央から自分の方向へ大宮の全選手がプレッシングにくるのでボールの出しどころを失うことになる。
当然、WBが担当していたエリアは空いてしまうので最終ラインの残り4人が横にスライドしてWBのいたスペースを埋める。

長崎戦では各選手の立ち位置が整理され改善されたことでパスの方向に制限をかけることができ、WB(イッペイや酒井)が相手のSBにまでプレッシングをしかけることが出来た。

長崎戦での先制点を見てみよう。

①三門がバックパスに対して大宮の右サイドを消すように(長崎のGKの左側のパスコースを消すように)弧を描きながらプレッシングを行う。
これにより、GKは右サイドのCB(大宮の左サイド)にしかパスが出せない。
②三門が右を消しながらプレスを行ったので、奥抜・酒井・河面?が迷いなく相手の選手を追うことが出来る。
③三門が右側から(大宮からみると左側)からプレッシングにくるので、右サイドバックにしかパスが出せない(大宮から見れば左側)
④長崎の右サイドバックは無理な状況でパスを受け取るも、酒井に詰められているのでボールを失う(大宮のボール奪取)
⑤ボールを奪取した大宮はそのままショートカウンター

しかし、この523のプレッシングとショートカウンターという形も以前から大宮が志向してきたものだ
これはシーズンが始まって間もないアウェイ徳島戦、快勝したホームの鹿児島戦、アウェイの福岡戦など様々な試合でも見られている。

④541による籠城戦とシモビッチ&フアンマの使い分け

541というフォーメーションは「自陣にDF5人とMF4人を並べることで相手の使えるスペースを失くしてしまおう!」という考え方だ。523でのプレッシングはハマれば効果が絶大だが、自陣の各所にスペースを与えてしまうことからハイリスクハイリターンだとも言える。
よって、リスクをかける必要がないときは自陣に撤退して籠城戦を仕掛けた方が失点のリスクは少なくなる。
そして、相手を自陣に引き込んでしまえば相手陣地には守備の人数が少なくなる。そうすればカウンターの際には相手陣地に大きなスペースが生まれるのでスプリント力の高い(スピードのある)WBやシャドーの選手が活きてくる。

541では、「君たちの陣地では自由にしてもらって構わないけれども、僕たちの陣地では自由にさせないよ?」というイメージを持ってもらえればいい。
523でのプレッシングが能動的にボールを奪う考えだとすれば、541の籠城戦は受身の格好だ。相手が動かすボールを基準にMF4人とDF5人が横方向にスライドして相手の使えるスペースを埋めていく。
MFラインはボールホルダーの前に立ってボールを前進させない役割を持ち、それでも相手がMFラインとDFラインの間にボールを入れようものならば数人で挟み込んでボールを奪ってしまう。

ここで、考えて見てほしいのがボールを奪った後のことである。ボールを奪っても前線にはFWの一人しかいないことから、相手はFWの選手だけを見ればいい。
一見すると大宮のFWを抑えるのは容易に思えるが、相手チームからすれば攻撃するためににどうしても空いてしまう弱点となるエリアが存在しており、大宮はそのエリアをロングカウンターの起点として活用してくる。
このエリアを活用するのにフアンマとシモビッチの使い分けが活きてくる

フアンマとシモビッチはJ2では規格外の大型フォワードであり、両人ともに体が強いもののそれぞれ特徴が異なる。
フアンマはスペースに走らせて5分5分のボールを競らせた際に自分のボールにすることが得意な選手である一方で、シモビッチは自身の腕の長さ・伸長・技術を生かして背中にいる相手選手にボールを触らせないことが得意な選手だ。よって、カウンターの際に使ってほしいエリアは異なる。

相手のビルドアップや被カウンター準備によって空いてくるエリアは異なる。そのエリアの性質によって大宮はフアンマとシモビッチを使い分けている。『表のシモビッチと裏のフアンマ』というイメージを持ってもらえば良いかもしれない。

⑤選手起用について

組織的な守備とカウンターが特徴の大宮アルディージャにとって各々が守備タスク(役割)を実行できるかどうかということは生命線だ。それと同様にカウンターの際に前線にまで飛び出していくスプリント力(走力)が重要となる。守備やカウンターの面から考えた際に各選手が選ばれる選考基準はこのようになると思われる。

①1トップ(FW)
相手の守備の形やビルドアップの形からどのエリアを起点にしてカウンターを行いたいかで起用選手を変える。裏に走らせた蹴ればフアンマ、DFの前でポストプレー(ボールキープ)をしてほしいならばシモビッチを採用。
②シャドー
523の際に中央を締めながらプレッシングを行えるか、541の際に味方と連携しながらゾーンディフェンスを実行できるか。
カウンターの際にドリブルでチームに推進力をもたらしたり、長い距離をいとわずにスプリントすることが出来るのか。
③ボランチ
ボール奪取能力と出足の鋭さ(相手選手に詰めるときの速さ)。
カウンターの際に前線にまで飛び出していくことが出来るスプリント力とボール喪失時に切り替えを素早くして相手に襲い掛かれるのか。
④WB
攻守で縦に長い距離を移動することになることから体力とスプリント力が要求される。ロングカウンターと523プレッシングでキーマンとなる。
⑤CB
カバーリング能力とビルドアップ能力が要求される。あとは効き足。

ちなみに、大前選手が起用されないのはゾーンディフェンスを実行できないこと、プレッシングやカウンターの際にスプリント力が足りていないことの2点が原因だと考えている。逆に、シャドーに求められる仕事を実行できる茨田(スプリント力と守備)・奥抜(推進力)・富山(スプリント力と二度追い出来る守備)・バブンスキー(ゾーンディフェンスの理解度と推進力)辺りが評価を高めているのが現状だ。

ボランチに関しては、ボール奪取能力とカウンター時のスプリント力に優れる三門と石川の評価が非常に高いと思われる。小島に関しては攻撃面での期待が大きいので割愛する。逆に大山・小野などスプリント力が前述した2人よりも劣る選手は厳しい現状だと言えるかもしれない。

WBに関しては独力で運べる推進力をもつイッペイと酒井が大きくリードしている。奥井も恐らく同レベルで評価されているだろう。一方で前述した3人よりも若干スプリント力の劣る吉永や独力で打開することが苦手な中村や佐相は起用順位は低くなってしまっている現状だ。

スタメンやサブでの起用が遠ざかっている選手の能力が決して悪いというわけではなく、あくまでチームの戦術と合っていない(各選手の特徴を活かす戦術ではないから優先度が低い)ということだ。これは決して悪いことではなく。「選手のためにチームがあるわけではなく、チームのために選手がいる」ということに過ぎないのである。
相手チームや監督が変われば採用される戦術も変わり、それに伴って起用される選手も変わってくるのだ。

⑥さいごに

ここ数戦はロングカウンターとショートカウンターから数多くのチャンスを創り出している大宮アルディージャだが、あくまで既存の手札(戦術)を整理しなおして上手に運用することが出来るようになったのが実情だ。
とりわけ東京ヴェルディ戦や長崎戦は相手がボールを持とうとしたおかげでカウンターが活きたという面も否めない。
次節対戦する水戸ホーリーホックはおそらく大宮にボールを持たせてくると予想される。その際に大宮はどのような反応を示すのだろうか?
攻撃の面でも整理されたことで好転した部分が見られるので次回の投稿で一緒に考えていきたいと思う。

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改めて大宮アルディージャの戦い方を振り返ろう①守備編(横浜FC戦・東京V戦・長崎戦を終えて)

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大宮アルディージャについての記事を投稿してました。今はこっちで書いています→https://omiyadangikai.hatenablog.com/ noteでは主に海外のチームについて書いていきます。
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