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ビルドアップを使い分ける柏レイソル(J2第39節 大宮アルディージャvs柏レイソルプレビュー)

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①はじめに

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大宮アルディージャ(4位)
ここ5試合で4勝1敗と好調そうに見えるものの、直近3試合で7失点と守備が上手くいっていない。
36節の福岡戦が台風の影響で中止となり1試合が少ない状況で自動昇格圏へと勝ち点差が1の4位につけている。
特徴的は、高身長FWのフアンマやシモビッチが起点となり、高いスプリント力をもつ選手たちが繰り出すロングカウンターにある。
相手チームによってフアンマとシモビッチを使い分けているが、前節の琉球戦でフアンマが負傷で途中交代していただけに不安が残る。

柏レイソル(1位)
オルンガ・江坂・クリスティアーノ・中村など超J2級の選手を数多く抱える柏レイソルはもちろんぶっちぎりの首位。ずるい。
上位対決となった35節(横浜FC)・36節(水戸)に連敗するものの、その後の下位チームとの対戦でしっかりと2連勝を飾っている。
この試合に勝利し、2位の山形か3位の横浜FCのどちらか一方が引き分け以下に終わると自動昇格が決定する。

②523に対する柏の攻撃

まずは523のチームに対して採用しているボールの前進方法について。
ポイントは両SHがサイドの高い位置に張り出すと同時に、SBが相手チームの3トップの脇に立つことにある。

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523のチームがプレッシングを行う際には、OHの選手が本来見るはずの選手を後方にいるWBの選手に受け渡して、相手のDFの選手へプレスを行うことで成立する。しかし、柏のSHがサイドの高い位置をとることで、簡単にはWBがSBへとアタックすることが出来なくなる。WBが前に出ようとすれば、自身が出ていったことで空いたスペースを柏のSHに利用されてしまうからである。
柏のSHがサイドの高い位置にいることで、柏のSBが自由になる仕組みが出来上がる。よって、相手チームのOHの脇に立つSBへCBの選手が素早くパスすることで、簡単にボールを前進させることが出来る。

では、OHの選手が最初から柏のSBを見ようとすれば何が起こるのだろうか?
OHが消していたハーフレーンから誰もいなくなり、柏のDH(三原)とOH(江坂)(/DH・ヒシャルジソン)へのパスコースが空いてしまう。

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三原へとパスが通ればMF-DH間にいる選手へとパスを供給できるだけでなく、逆サイド(クリスや高橋)への展開も可能となる。
石川が三原を見ようとして江坂のマークを櫛引へと明け渡す(あるいは石川の背中にいる江坂へ縦パスが通る)ことで、櫛引は自身の持ち場を離れて江坂をマークすることになる。するとその背中をオルンガや瀬川に活用されることになる。

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前線の数的不利を利用され(守備時に1人の選手が複数の選択肢を迫られ)、連鎖的に1人ずつ動かしていくことで、柏は523の相手に対してこのような形で相手陣地へと侵入していくのだ。

③541に対する柏の攻撃

続いて、541に対して採用している方法について説明していく。
ポイントは右SBの高橋が高い位置へと上がり、左SBの古賀が3CBの一人として振る舞う点だ。

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左SB古賀と2CBで3バックを形成し、フアンマ1人に対して4人でボールを動かすことで相手チームの1トップの守備を完全に無効化する。
これに対して、相手チームのOHがヘルプに出るのか、DHがヘルプに出るのかでボールの前進方法が変わる

まずはOHがFWのヘルプに出た場合。

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523の場合とは異なりSHがサイドの高い位置にポジショニングしないため、相手チームのWBはOHがFWのヘルプのために前に出ていったあとに柏のSBへとアタックすることが出来る。
しかし、内側に絞っていたSHのクリスティアーノ(逆サイドではオルンガ)が出ていったWBの裏のスペースへとランニングすることでロングボールで前進することが出来る。

では、DHの選手がFWのヘルプに出た場合はどうなるのだろか?

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右サイドではヒシャルジソン、左サイドでは江坂がフリーとなる。
サイドの選手(瀬川・高橋)やDHの三原を経由してDHの背中にいる選手へとボールを供給することが出来る。

OHがヘルプに出る場合とDHがヘルプに出る場合について共通するのは、541で守る相手チームのMF4人に対して高橋・ヒシャルジソン・江坂・瀬川を周囲にポジショニングさせることで、ヘルプに出ていった選手の裏で必ずフリーになる選手を作り出すことだ。
ここでもやはり相手チームの数的不利を利用して、ボールを前線へと届ける方法が整えられている。

では、誰もヘルプに出ることなく柏のビルドアップ隊(3CB)にボールを持たせるとどうなるか?

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恐らく、右CBの山下と左SBの古賀がボールをドリブルで前進に持ち出すことになると思われる。一定の高さ(相手のエリア)までボールを運べば、相手チームの選手は対応せざる負えなくなるで、前述したように動いた選手いたエリアを利用してボールを前進させようとしてくるはずだ。
しかし、右CBの山下はボールを扱う技術が高くないので、このような場合には左SBの古賀による前進がメインになると思われる。

④柏レイソルの守備の弱点(?)

基本的に442のゾーンディフェンスで守備を行う柏レイソルだが、このときに弱点となるのが左SBの古賀。各チームのコメントで古賀の裏への対応が弱点だとコメントされている。
ここでは30節に柏と対戦した新潟のレオナルド選手のコメントを引用しておく。

--柏戦で攻撃の狙いは?
相手の左サイドの選手はボールへの寄せが遅れる、弱さがあるという分析があった。そこでフランシスがうまく数的優位を作ったりして、良さを出すことで、良い攻撃ができたと思う。

大宮が古賀と対峙するのはスピードのあるイッペイ・シノヅカ。彼を古賀の背後で仕事させることが出来るかどうかが、大宮の命運を握っているともいえる。

それに加えて、ネガトラ(被カウンター)の対応が怪しい場面が見られた。
通常、カウンター対応はサイドへと相手選手を誘導しつつ、相手との距離感を一定に保ちながら後退していくことが求められる。
4人でカウンターの対応をする場合には3人の最終ラインと+1人のボランチのような形を整えてから相手選手アタックすることが多い。
このとき、3人の最終ラインは中央のエリアを埋めることが求められ、1人のボランチは背後にいる3人にカバーリングを受けるれる状態でボールホルダー(相手選手)へとアタックすることが求められる。
しかし、柏レイソルの場合は被カウンター対応を行う4人(CB2人+ボランチ2人)ないし5人(+SB)が、カウンター対応に求められる陣形が整う前に相手選手にアタックしてしまうため、容易にアタック後のスペースを活用される場面が見られた。

(3:39~のシーン)

⑤大宮が抱える課題とストロングポイント

ここ数試合の大宮が抱える課題は『攻守における連動性』だ
高木監督は試合前後のコメントで指摘をしている。

琉球戦前のコメント(徳島戦について指摘)
「これまで取り組んできたプレーが表現できなかったこともあり、前節は苦しい展開になってしまいました。ボールを奪った際のポジション取り、選手同士の距離感、ボールを持っている選手へのサポート、相手の背後の動き出しなどが良くなかったので、今週のトレーニングではそれを改善するための働き掛けをしました。」
琉球戦後コメント
「もっともっとチームとしてオフェンスもディフェンスもオーガナイズしながら、ボールの連動性、人の連動性が必要だと思います。」

チームとして「連動性=各選手がポジショニングを頻繁に取り直すこと」が失われ締まった結果、大宮は攻守で個の能力で戦うことを迫れている。

※ポジショニングの基準
①ボールの位置②ゴールの位置③味方の位置④敵の位置

そして、個の力で戦うことに迫られた結果として大宮のストロングポイントが半減されてしまっている。

大宮のストロングポイントは何処だろうか?
連動したプレッシングと、イッペイシノヅカ&奥抜のドリブル
だと思う。

各選手のポジショニング修正(ボールと味方の動きに対して自身も動くこと)が疎かになっていた結果、プレッシングがハマらずに突破されることが増えたり、541で守備ブロックを形成しても突破されてしまうことが増えている印象がある。

また、イッペイや奥抜は1vs1ならば必ずと言っていいほど相手を抜いてクロスやシュートを行うことが出来る選手だが、ここ最近の大宮は彼らが1vs1でドリブルを仕掛けられるような環境を整えられていない。
常に1vs2の状況でドリブルを仕掛けられる必要に迫られている。
これは周囲の味方のランニングが不足していることが原因だと思う。
以前投稿した攻撃編で指摘した背後へのランニングが無くなったことで相手の守備陣形が崩れなくなり、結果的に相手はカバーリングがいる状態でイッペイや奥抜にアタックすることが可能となっている。
各選手の持つストロングポイントを最大化させるためにあるのが戦術だとすれば、少なくとも攻撃面に関しては戦術が機能していない傾向がある。

この一週間で『連動性』がどれだけ改善できるかは本当に重要なポイントだ。

⑥おわりに

1シーズンを通じて3421という布陣で戦術の浸透を図ってきた大宮アルディージャが、シーズンも佳境に入ったタイミングで一番の強敵である柏レイソルと対戦する。
前回対戦時は怪我人の多さから苦しい戦い方を強いられたが、今節は怪我人が全員復帰し、戦術も浸透した状態でフルメンバーで戦うことが出来る。
高木監督と選手たちが積み上げてきたサッカーをしっかりと体現できれば勝てない相手ではない。

今週の練習は柏レイソル戦に向けて非公開練習になった。
京都や長崎など強敵と対戦する際に非公開練習を行い、高木監督はそのたびに素晴らしいサッカーを見せてきてくれた。
きっと今回も柏対策を仕込んでいるはずだ。
考えられるのはホームの京都戦で採用した352のシステム。

以下の記事で対433のチームに対する532での守備に関して説明しています。気になる方は『大宮のワンサイドプレッシン』『大宮のカウンター』の章をご覧ください。


我々サポーターが出来るのは、NACK5スタジアムをオレンジに染めて大声援で後押しするだけだ。
苦しい時間帯も訪れるだろう。
なかなか得点できない時間帯も訪れるだろう。
それでも一喜一憂せず、我々の声援でチームを勝たせよう。
2015年HOME大分戦のような最高のスタジアムの雰囲気を作り出しましょう!

併せて読んでくださると理解が進みます

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ビルドアップを使い分ける柏レイソル(J2第39節 大宮アルディージャvs柏レイソルプレビュー)

あるちゅー(ちくき)

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大宮アルディージャについての記事を投稿してました。今はこっちで書いています→https://omiyadangikai.hatenablog.com/ noteでは主に海外のチームについて書いていきます。
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