いつもと違う日々を、 《新しい旅》 だと捉える (大変な状況のなかでの暮らしのヒント)

新しい旅

最初に紹介したいのは、《新しい旅》という考え方についてです。

昨今の感染拡大の社会状況のなか、いつもと違う生活を余儀なくされ、苦労していたり、やりたかったことができなくなった事実をなかなか受け入れられない気持ちでいる人も多くいるのではないでしょうか。

でも、「こんなの嫌だな」と考えていても、何も状況は変わりません。

自分たちの捉え方・姿勢を変えて、この日々を生きていくしかないのです。

▼      ▼      ▼

そこで、生活を大きく変えるからこそ実現できる「新しい旅」がはじまるのだと捉えるようにしてみます

在宅勤務や学校の休校で、家にいる時間が長くなったり、家族で過ごす時間が増えたりしているでしょう。

一人で家にいる時間が増えると、家でできることが増えるものです。本格的に片付け・掃除をしたり、いつもはあまりしなかった料理をしてみたり、読めなかった本を読んだり、好きな音楽を聴きながら仕事や勉強することもできます。

家族と一緒にいる時間が増えると、これまで以上にお互いのことがわかり合えるかもしれません。あるいは、いつも以上に協力しあって暮らしをつくることになるかもしれません。

2020年は、そういう暮らしの上での「新しい旅」(A New Journey)が始まったようなものなのです。

「旅」では、普段とは異なることが起きるものです。いつもと違う不便さもあります。

でも、旅はとびきり素敵な体験や、思い出深い経験にもなり得ます

その旅がどういうものになるのかは、自分(たち)次第です。

よい旅をするには、《旅の仲間》とともに《旅の計画》を立て、予想外のことやアクシデントにもうまく対処し、むしろそれ自体も楽しんでしまうくらいの気持ちが大切です。

そして、いつか、元の場所に戻ってきたときには、旅をする前とは異なる、成長した自分になっていて、《旅の仲間》ともより強い絆で結ばれているでしょう。

▼      ▼      ▼

そういうふうに、いまの「いつもと違う生活」を一種の「新しい旅」だと捉えてみることで、これから過ごす時間は、何かを失った時間ではなく、これまで得られなかったものを得て、これまでなかったものをつくっていく時間であるということに気づきます。

そして、そのかけがえのない時間をどのように生きるのかは、自分たち次第なのだと思えるようになります。

どうでしょうか。

いまの生活が一種の「新しい旅」だと思えてきましたか?

新しい旅

---------------

この《新しい旅》と捉えるというコツは、『旅のことば:認知症とともによりよく生きるためのヒント』(井庭 崇, 岡田 誠 編著, 丸善出版, 2015)で紹介されているものです。

認知症のご本人やご家族が、認知症とともによりよく生きていくためのパターン・ランゲージです。

認知症だと診断されると、多くの方が絶望的な気持ちになったり悲しさや不安に押し潰されそうになり、それ以降の暮らしが暗くつらいものになってしまいがちです。

ところが、診断後も、前向きに生きている方々は、自分のその後の人生を自分でつくっていこうとしています。

そのような方々のインタビューから、「認知症ともに生きる」ということは、「認知症とともに生きるという一種の旅のように、自分でよりよくしていこうとしている」とわかりました。

そこで、このコツを《新しい旅》と呼び、パターン・ランゲージのタイトルを『旅のことば』としました。

今回の読み替えをしてわかるように、このコツは、認知症だけに限ったものではありません。病気やアクシデントなどでこれまでとは異なる状況で暮らしていくときに有効なものだと言えるでしょう。

そんなわけで、今回のパンデミックの状況で、これまで通りの暮らしができない状況のなかで、よりよく生きるというときにも役立つコツだと言えるでしょう。

---------------

本noteマガジンの趣旨については、"「大変な状況のなかでの暮らしのヒント - パターン・ランゲージの 1000のコツ・知恵から学ぶ」の連載をスタートします。" をご覧ください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?