子どもの好奇心・探究心を育むには、まず親が 《自分なりのおもしろポイント》 で面白がり、そここから 《面白がり力》 が高まるようにする (大変な状況のなかでの暮らしのヒント)

自分なりのおもしろポイント+面白がり力


今日紹介するのは、《自分なりのおもしろポイント》と《面白がり力》です。


子どもって、自分が興味をもったことにはとても熱中しますよね。

好奇心があって、そこから探究心につながるのです。

興味をもったことは、もっと知りたくなりもっと突き詰めたくなるものです。

これは、大人も同じですよね。

でも、その好奇心ってどうやって育っていくのでしょうか?

好奇心は、その子がもともと持っている個人的なものであって、親や教師は子どもの好奇心を育てていくことはできないのでしょうか?

いいえ、子どもの好奇心は一緒に育てていくことができます

もちろん、「これに興味を持ちなさい」なんて教え込むことはできませんよね。

でも、親にもできる、子どもの好奇心を育む有効な方法があります。

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それは、親自身が好奇心をもって世界に接し、その気持ち・感動を共有することです。

つまり、自分が興味深いと思うこと・面白いと思うことを、「これ、すごい!見て見て!うわぁ、面白いなぁ!」心から面白がっていると子どももそれに共鳴して一緒に面白がるようになります

もちろん、百発百中というわけにはいきません。

自分に面白くても、子どもに面白くないものはたくさんあります。

でも、そのなかのいくつかにはきっと興味を示すでしょう。

そうすれば、一緒に面白がることができます。

まずは親が《自分なりのおもしろポイント》で何かを面白がる、ということが重要なのです。

そうすると、子どもはその姿を見ていたり一緒に興味が湧いて一緒に面白がったりすることになります。


我が家の例で言うと、先日、子どもと家の近くを散歩していたときに、辺りに咲いているいろいろな花を一緒に見ていきました。

急いでいたり、ぼーっと歩いていると、ただの風景として見過ごしてしまうような、そんな道端や公園の草木、近所の家の庭先に植えられた花たちです。

「こんな大変な社会状況のなかでも、ちゃんと季節は巡り、春が来て、花はいつも通り咲いているのだなぁ」

僕はそれらの花の美しさに心が動きました

そこで、子どもにも言いました。

「わ、この紫、きれい!この青は鮮やかだなぁ!春だねぇ、いろんな花が咲いてるねぇ、きれいだねぇ!」と。

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しばらくすると、子どもたちも言い始めます

「あ、今度は黄色の花だ!パパ、見て見て、黄色い小さい花があるよ!」と。

すごい、すごい、と言って、いつもなら通り過ぎている花の存在に気づくようになります

自分で「発見した」という感覚です。

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僕が《自分なりのおもしろポイント》を示し、実際にそれを面白がっている姿を見ることで、物事をどう面白がればいいのかが共有されたのです。

そうなれば、子どもたちはずっと、同じように続けていきます。

「ピンクの花だよ!今度は白もある!」と。

こういうとき、「なんだ、自分が言ったことと同じことの繰り返しじゃないか、クリエイティビティがないなぁ」なんて思わないであげてください。

いま、世界の面白がり方の一つを手に入れたのです。

とても重要な瞬間です。

こうやって、一緒にいろいろな物事を自分なりに「面白がる」ことで、《面白がり力が高まっていきます



昨日は、庭に水やりをしているときに、玄関先の茂みで、カマキリのたまごを見つけました。

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「ねぇ、見てみて〜!知ってる?これカマキリのたまごだよ。ここからすっごく小さいカマキリの赤ちゃんがたくさん出てくるんだよ!」

僕も少し興奮しながら、語りました。

「パパが子どものときも、こんなふうに見つけて、たくさん出てきたのみたよ!」

少しばかり誇張して興奮して見せましたが、でも心に嘘はありません

たしかにワクワクしているのです。

それを子どもでもわかるように、増長・増幅して表しているだけです。

大人って、恥ずかしさもあり、興奮したりワクワクしても、あまり外に出さないことを身につけてしまっています。

わかりにくいんです、大人って

だから、少し増長・増幅するくらいでちょうどいいのです。

そうやって、感動やワクワクを表現する人を「子どものような(少年のような)心をもっている」と言いますよね。

子どものように喜ぶのがいいのです。

「これ、いつ出てくるかわからないからさ、毎日観察しようよ!」

「 わーい、"観察くん"だね!」

我が家では、観察する人のことを、いつからか、「観察くん」と呼んでいます。

そうしたら、子どもたちもワクワクし始めて、家に急いで入っていきました。

どうしたのかな、と思ったら、こんなものを持って戻ってきました。

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小学校で朝顔を観察するときなどに使う、観察スケッチのボード(持ち運びケース)のようです。

プリンタのA4の用紙を挟み、そこに、カマキリのたまごの様子を熱心に描き始めました

僕も、観察ノートを描くことになるとは思ってもいませんでした。

そうやって、自分で、観察して記録しようと思ったことは素晴らしいことですね。

なので、それを「おおお、すごくいいね!」と感激し、観察スケッチボードを持っての記念撮影もしました。

そして、「描いたら見せてね!」と。

こんなふうに、好奇心が探究心につながっていくのです。


そんなことがあると、子どもはもう、観察くんモードにスイッチが入ります。

今朝、近所を散歩に出かけたときも、自分で観察スケッチボードを首から下げ、花を見つけると、それを描いていました。

観察くん


僕は花については詳しくない(ほとんど知らない)ので、咲いている花が何という花なのかは、正直わかりません。

でも、色や形の美しさは感じますし、自分の心が動くものに感動し、それを共有することはできます。

みんなが、観察ノートを描いている間、僕はスマホで写真を撮っています。

これが、今朝の散歩で出会ったいろいろな花たちです。

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それぞれがそれぞれの手段で、観察し記録する。


今日は、途中、モンシロチョウやてんとう虫にも出会いました。

思いがけず見つけたときは、うれしい気持ちが溢れてきます。

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子どもの好奇心を育てるには、まずは自分が好奇心をもって世界に関わることです。

自分が世界を面白がっていないのに、子どもに面白がらせることはできません。

面白がるということは、伝染し、共鳴します。

だからこそ、自分が率先して、《自分なりのおもしろポイント》を見出して、世界を面白がる

子どもへの伝染・共鳴は、百発百中ではないことはすでに書きました。

それでは、外れたときは意味がないのでしょうか?

いいえ、違います。

子どもが興味をもたなかったときも、実は重要なことが起きています。

それは、世界の面白がり方はこんなにも多様で、そんな面白がり方もあるんだ、ということが、しっかり伝わっています。

それに、いいんです。自分が面白いんですから、他の人が面白くなくったって。

だから、子どもが乗ってこないからといって、大人が面白がるのをやめないでください。

自分はこれが面白いというのを、心のままに面白がっていること、それがとても大切です。

子どものために面白がっているわけではなく(そういう下心もちょっとあるわけですが)、自分自身が面白がっていることが重要なのです。


改めて、《自分なりのおもしろポイントで世界を眺め直してみましょう

そうやって、親自身が自分の《面白がり力》を高めながらその感動を子どもと共有していけば、子供の《面白がり力》も育まれていきます

大人と子どもが面白がりの仲間になれれば、毎日はもっと楽しくなります。

世界は、まだまだ面白い!

どんどん面白がろう!

自分なりのおもしろポイント+面白がり力

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今回紹介した《自分なりのおもしろポイント》は、探究学習のコツをまとめた『探究パターン:創造的探究のためのパターン・ランゲージ』、《面白がり力》は、おもてなし力を高めるための『おもてなしデザイン・パターン インバウンド時代を生き抜くための「創造的おもてなし」の心得28』に収録されているものです。

探究のコツである《自分なりのおもしろポイント》は、与えられた大枠のテーマ(例えば環境問題や地域活性化など)があまり自分の興味を引くものではなかったときに、どうやって自分が探究するに値すると思える課題設定をするか、というときに重要になるコツです。

おもてなしのコツである《面白がり力》も、自分がいる地域や分野を紹介できるようになるために、詳しくならなければならないときに、やはり、自分なりに面白い角度からアプローチする、というコツです。

まさにこの世界を「面白がる」をテーマに活動している 一般社団法人みつかる+わかる でご一緒している「おっちゃん」こと 市川 力さんは、面白がり力が高い人のことを「オモシロガリヤ」(面白がり屋)と呼んでいます。

市川さん自身が面白がりの達人(元祖 面白がり屋)で、どの道を歩き、どの場所にいても、いろいろ面白いことを見つけます。

そして彼持ち前のリアクションで、その場にいるみんなにその面白がりが伝染し共鳴します。

こうやって、自分も面白がりながら、周りの人が面白がるのも促す人を、僕や市川さんたちは、「ジェネレーター」(generator)と呼んでいます。

好奇心ワクワク発想コミュニケーションも、どんどんジェネレート(生成)するからです。

そういうときは、子どものみならず、一緒にいた大人までも、面白がり力が刺激・増幅されていきます。

そんな市川さんの考えや実践については、この対談記事(CreativeShiftインタビュー 井庭崇氏×市川力氏 出版記念対談 <前編> <後編>)や、書籍『クリエイティブ・ラーニング:創造社会の学びと教育』の、僕と市川さんの対談の章をご覧ください。

フィールドを歩いて観察することや、ジェネレーターの養成にも取り組んでいる 一般社団法人みつかる+わかる の活動・イベントも要チェックですよ!


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いば・たかし。慶應義塾大学SFC総合政策学部教授。株式会社クリエイティブシフト代表。一般社団法人みつかる+わかる理事。仕事・教育・暮らしなど、いろいろな分野の実践のコツ・知恵を言語化する「パターン・ランゲージ」の研究・作成に取り組んでいます。

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