親が「教える」のではなく、子どもが《学びの主人公》として、自分で決めて、動き、学ぶことを、名脇役としてサポートする (大変な状況のなかでの暮らしのヒント)

学びの主人公

今日、紹介するのは、《学びの主人公》です。

学校が休校になったために、代わりの宿題・課題が出ていたり、受験勉強をしていたりする子どもに、家で親が教えるということが増えていると思います。

そんなときに、教えることに一生懸命になり、つい、こちらが教えるということに子どもを付き合わせているというような感じになっていないでしょうか?

そういうとき、「なんで、そんな態度なの? やる気あるの?」「私だってやることがあるなかで、こんなにやってあげてるのに、あなたがそんなんじゃ意味がないでしょ」とイライラして怒りがこみ上げてくるのも仕方ありません。

そもそも子どもに勉強を教えるということに慣れているわけではないですし、子どもも親だからこそ甘えてしまい、また家だからこそ誘惑が多く、やる気が起きにくいものです。

しかし、学校でもそうなのですが、「教える先生」と「それを受ける生徒」という関係になってしまうと、子どもは受動的になってしまい、やらされている気持ちが強くなってしまいます。

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そこで、学びにおいては、子どもが中心となる「主人公」であり、自分はそれを支える「脇役」であるということをきちんと伝え、実際にそうなるようにサポートするようにします。

物語には、主人公だけでなく、脇役も重要です。

でも、主人公が中心でその活動を周囲で支えるのが脇役の役目です。

このことは、家庭内での子どもの学びの支援も同様です。

主人公である子どが学ぶのを、名脇役としてサポートするのです

たとえば、今日やるべき宿題を「やらせる」という感じではなく子ども自身が「自分がやるんだ」という自覚を持てるように話し合い、「私も、それを手伝うよ」というふうに、関係性を明確にします。

いまやる気が起きない感じであれば、どうしたらその気持ちを転換できるのか自分がやる気になるのか、を話し合っていきます。

子どもが自分がどうすべきかを考えられるように、対話的にサポートするのです。

もし、「少し遊んでから、やる」ということであれば、子どもが「いつまで」と時間を決めることをサポートします。

あまりに長い時間遊ぶというようなら、「それだと、今日終わらないよ。お昼までにこれくらいは終わる方がいいよ」というようなアドバイスをします。

そういうやりとりをしながら、自分で決めるように促すのです。

そして、「自分で決めたことだからちゃんとそうしようね」というふうにしていきます。

こうやって自分の気持ちと向き合い、自分でやることができるように支えていきます。

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そうすると、徐々に、子どもの主体性が育まれていきます

自分で考え、自分で動くことができるようになってくるのです。


とはいっても、相手は子ども。

うまくできる日もあれば、うまくいかない日もあります。

しかも、自分も感情的になってしまうことだって、ときにはあります。

主体性や習慣は一朝一夕に身につけることはできないため、こちらの忍耐と、継続性が大切になります。

でも、このやり方にしばらく慣れてくると、子ども自身が変わっていき、関わり方が大きく変わってきます。

自分で考える癖、自分で考える力がついてくるからです。


まだまだ家での学習は続きそうです。

この機会に、家庭での少人数だからこそできる「アクティブ・ラーニング」を実現してしまいましょう。

与えられる形式の教育が提供されていない今だからこそ、能動的に主体的に学ぶ力をつけるチャンスかもしれません。

学びの主人公

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《学びの主人公》は、学校の教師向けの「アクティブ・ラーニング支援パターン」(ALP)に収録されている、一番最初のものです。

このパターン・ランゲージは、高校等で生徒たちの「アクティブ・ラーニング」(主体的・対話的で深い学び)を実現するために教師がどうすればよいのかを、45個のコツにまとめたものです。

現在学校で教えている教員の多くが、知識伝達が中心の教育を受けてきて、その方向での教授法を学んで、実践してきました。

なので、いきなり、「アクティブ・ラーニング」型の教育と言われても、どうしたらよいのか、迷い・悩み、試行錯誤しているのが現状です。

このパターン・ランゲージは、すでにそういうタイプの教育を実践している先生方にインタビューをしてつくられました。

パターン・ランゲージの制作・普及に取り組む株式会社クリエイティブシフトと、教員支援を行っている株式会社ベネッセコーポレーションとの共同開発でつくられました。ここ数年、高校向けには、ベネッセコーポレーションから「アクティブ・ラーニング・パターン《教師編》」(ALP)という名称の冊子・カードが提供されてきました

最近、「アクティブ・ラーニング支援パターン・カード」を一般の方が入手できるようになりました。

このコツは、学校教育だけでなく、家庭教育においても今後ますます重要になると思います。

ぜひ、お子さんがいるすべての親御さんに見ていただきたいパターン・ランゲージです。


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