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HR豆知識③明日から使えるHRとしての目標15選

会社の離職率が非常に高い、欠勤率が非常に高い、などは誰が主となり解決するのでしょうか?今回は、HRがどのようにしてビジネスに貢献していくか、という観点で、「明日から使えるHRとしての目標15選」を書いていきたいと思います。人事は、採用・人材開発・評価報酬・組織開発に始まり、勤怠や離職まで、幅広く関係してくる仕事です。

人事は人の採用をしているだけではありません。人事も会社の大きな目標に向かって一緒にオールを漕いでいるんだ、という事を様々な方に理解して頂ければ嬉しいです。

測定するものと測定し易さ

それでは、ざっくり測定するものをまとめてみましょう!大きな観点では6つの項目があります。中心にあるのは、労働生産性と労働分配率です。この2つの指標によって、組織としての生産性やコストとのバランスを定量化する事ができる、かつ経営指標(売上・粗利益・営業利益)に最も直接的につながっているからです。

図2

それ以外の5項目は、最終的に労働生産性や労働分配率に繋がっていると考えてください。勤怠・文化制度・離職・人材開発・採用に関わるKPI/KRがあります。

ただ注意点としては、①測定のしやすさと②経営指標への直接的な関連性に違いがあるという事をおさえておきましょう。

図1

例えば、労働生産性等は組織単位ではかられている事が一般的だと思います。

一方で、社内の評価を入手する必要がある採用クオリティや人材育成の効果などは、採用担当や人材開発担当が情報を入手できないといったケースが見られます。また、勤怠を管理している労務担当から欠勤率などを入手する事も時として難しいのです。従って、部門をまたいで情報を入手する必要がある場合はそのKPIの測定が非常に難しくなってしまうという実態があります。

それでは、夫々の用語の解説をしていきたいと思います。

1‐1.労働生産性(アウトプット/労働力)

…この指標では、組織毎の生産性を評価する事ができます。個のアウトプットには、売上・粗利益(付加価値)・営業利益などが相当します。
すなわち、10名の社員で1,000万円の粗利益を生み出していた場合、1名当たり100万円の労働生産性という計算ができます。業種によって当然指標が異なるため、重要な点はInternal Analysis(内部分析)を行い、計画的に数値を改善していくということになります。

1‐2.労働分配率

…人件費を粗利益で割った数値で、利益に対して人件費がどの程度占めているかを知ることが出来ます。業種業態によって異なるものですが、知的労働(コンサルティングなど)は労働分配率が低くなり(20%~30%)、利益が出やすい体質となります。一方で、製造業など原価コストが発生するビジネスは労働分配率が高くなります(60%~80%)。

2‐1.欠勤率

…欠勤率(稼働率)は、従業員が就業規則通りに稼働しているかどうか、を把握する必要があります。例えば一例として、工場などの機械が故障することによってその工場では生産活動ができなくなることを示します。それと同様に、この数値が高いという事は、従業員の健康に何か問題があり、深夜残業や過度なストレスなどHRとして解決できる問題が見えてきます。

2‐2.欠勤コスト

…このコストは、欠勤一日で企業がいくらのコストを失うかを示しています。この計算は人件費を含んでされるものであり、例えば時給3,000円クラスの社員であれば1日24,000円の損失。10名が1日ずつ休んだ場合は240,000円の損失となります。

3‐1.離職率

…離職率は大きく3種類あるとされています。「自発的退職」、「非自発的退職」、「ハイパフォーマーの退職」。特に注目すべきは、社内で高い評価を得ていた人材の退職、即ち「ハイパフォーマー退職」です。

3‐2.90日間以内の退職率

…早期離職に関する指標として、90日間以内の退職が一つの目安になります。その期間中に入社者に対して10%以上の退職率がある場合は注意が必要です。

4-1.エンゲージメントスコア

社員が仕事の意義や帰属意識を感じているか、を示す数値です。この数値を改善していく事によって、労働生産性の向上、サービス品質の向上、離職率の低減が期待できます。

4‐2.従業員満足度

満足度の高い項目よりも満足度の低い数値に着目してください。低い満足度の指標は退職理由に繋がります。ハーズバーグの2要因理論にもある通り、社内の環境に対する満足度が低い場合、それは不満につながります。

4‐3.ネットプロモーションズスコア

…「どのくらい知人・友人にこの会社で働くことを勧めますか?」という質問への回答によって、従業員がどの程度その会社で働くことへ満足しているかを知ることができます。

4-4.イノベーションカルチャー

…エンゲージメントスコアに伴い、社内でイノベーションを起こせる状態にあるかどうか。新しい意見を受け入れる文化があるか、チャレンジを称賛する文化がるかどうか、という点が重要です。

4‐5.福利厚生やベネフィット満足度

…福利厚生やベネフィットに対する満足度を示す数値です。この数値によって、自発的な退職を減らすことができます。「良い会社だけど長く働けない」という理由は、福利厚生やベネフィットに関する項目が理由が大半です。

5‐1.昇給昇格率

…社内人材の昇給昇格率とそのスピード感を定量化(スタッフからマネージャーへ〇%が昇格する、平均期間は〇ヶ月)しておく事が重要である理由は、要職の人材が抜けた後に焦って採用して失敗するリスクを低減する事ができます。

5‐2.トレーニング効果

…人材開発は組織のゴール達成のみならず、従業員の環境適合にも影響を与えます。夫々の研修プログラムがどのような効果をもたらしているのかを可視化(組織的の成果変容、個人の成果変容・行動変容・意識変容)することにより、費用対効果の高い人材開発プログラムが提供できるようになり、無駄なコストを削減できます。

6‐1.採用クオリティ

…採用クオリティは新規入社者の評価を指します。入社後の最初の評価において、どのような評価をマネージャーからされているかが、採用の品質を示すのです。高い採用クオリティを実現し続けることが組織のゴール達成に向けて非常に重要です。

6‐2.採用移行率(歩留まり)

…応募者に対して何名の採用ができたか、を数値化することによって採用プロセス夫々の効果を定量化する事ができます。例えば10名の応募に対して2名の採用であれば20%となります。この数値を高めていく事を目標にすると、質の高い母集団形成や丁寧な選考フォローの設計につながります。



如何でしたでしょうか?これ以外にもさらに細かく見ていけば指標はあります(採用単価、Time to Hiring、心理的安全性など)。

重要なことは、HRとして経営目標に貢献できるKPIを設定する事。または、このKPIが経営指標のどこに繋がっているかをHRとマネジメントが理解しながら互いに協力していく事です。


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出典:AIHR「15 HR KPIs to help you achieve your strategic goals」より筆者にて一部修正







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