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UC Berkeley Business Schoolからの手紙②(HRのミッションと役割)

ブログを読んでくださり、誠にありがとうございます。「HRをもっと面白く」という想いで本ブログを書いております。今回は、「HRとは?」という質問に対する1つの解をシェアさせて頂きます。


突然ですが、HRは何のために存在するんでしょうか?


1. “The right person at the right place do the right things”

UC Berkeleyのビジネススクールで使用されていたテキストブック「Human Resource Management」の著者Gary Dessler、並びにビジネススクールでの授業を担当するPh.D Cristina G. Banks曰く、人事のミッション(存在意義)は、以下の状態を実現することと言われています

“The right person at the right place do the right things”
"適切な人材が、適切な場所で、適切なことを行える"状態を実現すること

上記のためには、「適切な人材を“採用”し、適切な場所へ“配置”し、適切なことを行えるように“職場環境”、“評価報酬”を整備すること」が求められます。そのために、ティールやアジャイルなどの組織形態、OKRやMBOやKPIなどの目標管理制度、No ratingや職務評価などの制度が存在しているのです。

従って、このMissionは揺るがない原理原則として、ビジネス環境や人々の価値観が変化しても、ある種普遍的なものとしてとらえるべき状態ということでした。

つまるところ、HRのMissionは“The right person at the right place do the right things”なのです。

2. Human Resources Management(以下、HRM)とは

上述Mission実現のためのHRの機能としてHRMという考え方が存在します。日本語で言うと人的資源管理(タレントマネジメント)です。

具体的な項目で言えば、採用・人材育成(開発)・評価・報酬、並びに組織構造やエンゲージメントや社内規定などを考える組織開発が掲げられます。

図4

アメリカでのHRMを行っていく中での特徴は「パフォーマンス(成果)がすべての中心にあるということ」。人事が行う仕事は、採用であれ、評価であれ、育成であれ、必ず“成果”につなげなくてはいけないという事を意味します。(日本は良くも悪くも長期的な視点での企画立案とリスクヘッジ志向が強いので、このモデルが機能しなくなったりします)


図2

上記の図を見て頂くとご理解いただけると思いますが、HRの機能はビジネスストラテジーと密接的につながっており成果に紐づいてアクションプランが変動する構造を「Dynamic HRM(可変連動的なタレントマネジメント」と表現しています。

従って、HRが組織に対して影響力を発揮していくための大前提として、人事がどれだけビジネス戦略を理解しているかが大事なポイントになります。少なくとも、PL、BSを読めるようになり、労働分配率は常にチェックできる環境を作っておきましょう。

3. 人事がビジネス戦略を理解しなくてはならない理由


「なぜ人事がビジネスを理解し、密接につながらなくてはならないのか」

以下のようなことが言われてます。外的環境を鑑みると、

・技術の進歩
・グローバル化(競争相手・関係者の増大化・複雑化)
・ビジネススピード(短命かつ高速化)
・労働市場の流動化(転職率の上昇・勤続年数の短縮化
・上記に伴う労働者の多様化(年齢・価値観・性別・教育的背景)

従って、企業は

・常に競争にさらされ、
・より早く動かなくてはならず、
・より費用対効果を注意し、
・より人的資本が重要になり、
・より科学的な意思決定をしなくてはならない。


という状況にあるそうです。その中で、HRCIというアメリカのHR資格提供会社曰く、過去と現在HRには大きく3つの役割があり、少しずつ変化しているようです。

図1

<過去>
アドバイザリー:人事関連の問題を抱える現場のマネージャーを支援する
サービス:仕事に関する悩みを持つ従業員を支援する
コントロール:組織のHRポリシーを実行する
<現在>
管理:記録を管理し、法令を遵守する
運用:組織の運営方法を改善する
戦略的:組織の長期目標に関与する

4.戦略的人事とは(Strategic HR)

上記の変化からも、戦略的な視点を持ちながらHRの意思決定を行っていくことが重要視されています。では、具体的にどのようなプロセスでHRとしての戦略を実行していくべきなのかが以下の図になります。

図5

この図だけだとわかりづらいので、具体的なイメージを作ってみました。

例)
3年後にXX億のビジネス(売上・粗利益・営業利益)を展開すること目標とする。外部環境(PEST)の変化を見込んで、自社のZZの強み(SWOT)を活かし、XXに注力していく。それぞれの成長率は〇〇%となる。(外部環境分析と内部環境分析を経た上でのビジネスゴール)

このビジネスゴールを達成するためには、現状の社員当たりの生産性を考慮すると、YY人の社員、ZZ型の組織構造が必要であり、YY人の社員は既存社員A人、新規社員B人で構成する。Eのポジションが●名不足することになるので、既存社員A人の昇格率D%でEのポジションをE%まで埋めていく。(HR Needs)

しかし、一方で補いきれない人員が●名発生するはずであり、この点においては、採用活動を行い、採用活動を強化する目的で報酬制度にもインセンティブ要素を加える。更に、人材の流動性も勘案しなくてはならず、定着率F %をKPIとする。(HR Needs and actions①)

このようなKPIを達成するためには、現状の定着率を改善する必要があり、外的要因と内的要因を勘案しながら評価報酬制度を整備する。また、一人当たりの生産性XXを●%、また昇格率を●%へ上げていくためにも、BBのような人材開発施策によって理想の組織構造を目指す。(HR Needs and actions②)

上記のようなことを理解しつつ、また現場で日々発生する問題を解決するのが、HRBP(HRビジネスパートナー)というポジションです。ビジネスに近い立場でHRが活動をしていくようになりました。

全体最適を考えながら長期的な目線を持って施策を講じるHR」と「スピーディに問題解決を目的とするHRBP」が共存していることが現代のHRに求められていることの特徴ではないでしょうか。

まとめ

HRのMissionは“The right person at the right place do the right things”

・HRは、いかなる時もPerfomanceを中心に採用・育成・評価・報酬・組織開発を実行する

・次世代のHRは、より戦略的に、よりビジネスと連動した形で機能する必要がある

・全社HRは全体最適(公平性)、HRBPは部分最適(スピード重視)


最後まで読んでくださり、ありがとうございました!

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