私は　法律婚をしました

SNSでうっかりカムしちまったので、「今まとめきれた範囲で」ご報告します。
「書いてあることがカムしたい部分のすべて」です。書いていないことは言いたくないか言わなくていいことだと判断したこと。余白はある。が、そこは勝手に憶測しないでいただきたい。そういうやつじゃないので！

今回うっかりカムしちまったきっかけ

ryuchellさんとpecoさんのご報告を受けて、圧倒的わかりみ、そしてつらみ、そして助かりみを感じたのがきっかけ。比嘉ファミリーの数年間の投稿や発信、いろいろな「決断」を見てきた。同い年だし、セクシュアリティや人の在り方や家族の在り方についてよく考え、悩み、自分の言葉で表そうとしている同志としても、すごくデカい存在で、光のひとつです。

私も彼らと同じような悩み(後述)を持ちながら、かつての比嘉ファミリーと同じ、「現状では異性だけができる法律婚」を選びます。でも、もしかしたら将来は今の比嘉ファミリーのような決断に至るかもしれないし（誰の未来も、誰にもわかりません）。そうなったら、今彼らがくらっているような批判を受けるかも。いや、そうならなくても、今まさに、彼らが私が生きている社会の人達って、こんな認識なんだなぁ…こんな現状なんだなぁ…と思うと、苦しくて苦しくて。なにかを示したくて、結果カミングアウトせざるを得んかった！です(もちろん、パートナーにとってアウティングにならないようにするのは大前提)。

本当なら、カミングアウトはしない予定でした。全世界に対して”ご報告”すべきものじゃないし。“多様性”とか“性的マイノリティ”とかの啓発や発信をしている者として、勝手な憶測をされたりするのも嫌だし(いろんな人が外野にアレコレ言われているのを、ワイドショーでもSNSでも見飽きるほど見ているし、それに疲れている)。そもそも、マジョリティなら問われないところをアレコレ説明しないといけないのも疑問だし。
でも今回、アレコレと気持ちを溢してみたりしようかなと、PCに向かっているわけです。

入籍した理由

最初に言っておきたいことは、現行の制度には全く納得していない！ということ。「男女しか想定されていない」「子を産み育てるために家族として法で保護する」みたいな制度…いややわ…。結婚したい人が結婚できるようなものになるまで、納得はできないだろう。
「じゃあなんで結婚したん」と言われたら、
・姓、本籍が変わることで都合がいい部分があったため
・法的にも社会的にもパートナーと家族になるため
とかそういうところが、いわゆる「わかりやすく」「みんなに伝わるように」表現できる理由です。

カップルのままでよかったのかもしれないし、公正証書を作って事実婚でもよかったかもしれないし、養子縁組でもよかったかもしれない…選択肢は無限です。
でもそうこう悩んでいる間に有事が起こってしまったら、法律上他人の私たちはどうなるかわからない。社会のことや制度のこと、自分のことや他人のことに悩み悩みしてしまうけれど、ひとまず、今いちばん社会に認められる“家族”として在っておこう、不本意だけど。本当は抗っていたいけれど。結局逃げとか言われそうだけど。でも自分たちを一番に考えられるのは自分達だけだから。そういう葛藤がぐるぐるしています。今も渦中にあります。

いろんな気持ち(私個人の)

私たちはたまたま異性だったから、法律婚に乗っかることができた。法的に守ってもらえる云々もそうだけれど、社会的にも、「既婚です」と言えばいろんな生きづらさをパスできることもある。“特権”を持ってしまった、このことがすごくつらい。
友人知人、SNS周りには法律婚に乗っかれない人、乗っからない人がいる。それを知っておきながら、しかも何ならマイノリティの生きづらさを伝えるような活動もしておきながら、結局はマジョリティの特権を持つんかい。持てるんかい。なんなんだ。と、周りからも言われそうだし、なにより自分の中の「マイノリティの部分」が「結局結婚するんかい」と言ってるわ。

比嘉ファミリーのニュースについてたコメント、インスタのコメント、関連ツイートを読み漁った。彼らは私の光だし、明日は我が身で、他人事じゃない。それで、彼らには及ばないだろうがしっかり傷ついた。すごく怖い。そっか、やっぱり社会怖いわと思った。
そこにあったコメントや投稿も、どう考えても無知で無神経で「ムカつくわ」の一言で終われるようなものもあれば、私が悩んで葛藤している部分をそっくり投げられた、刺さる意見もあった。
アレコレ読んだり考えたりしながら思ったことを、なるべく整理して書いてみたい。

名前のない形がいい、私らの形に名前をつけないで(？)

比嘉ファミリーが「新しい家族の形」と表現したこと、わかりみがすごい。
「夫婦」とか「パートナー」とか「家族」とか、そういう「既存の言葉」には、すでに「既存のイメージ」があって、なんとなくコレジャナイ感がある。
既存の言葉とそのイメージを自分に重ねられることにすごく居心地が悪く感じる。なんなら押し付けてくる人もいるし、社会全体にその圧がある。
私も(「も」って書いたけど比嘉ファミリーがそうかはわからん、ごめん！)一旦は「既存の形」に収まって、その中で表現したり抗ったりアップデートを図ったりしていく決意をしたけれど、ずっと続くかはわからない。名前がない在り方、誰にも勝手に想像されたり押し付けられたりしない在り方をしたい。縛られないために縛られる(？)謎のメカニズムです。
「いろいろあってあたりまえ」がデフォになったら、同じも違うもないから、「違う人」がアレコレ説明してご理解いただく必要もないのにね。

ちょっと脱線。

私まぁまぁ「自分らしさ」という言葉を多用するのだけれど、「自分らしさ」って、「他者ありき」だと考えています。
「周りなんか気にせずに“自分らしく”すればええやん」というのは、その通りっぽいけど、なんとなく違う気がしています。わたしがしっくりくる理想は、「周りを気にせずに自分らしくすること」ではなく、「周りが自分らしくしている人たちを気にしない状態になること」かな。今の語彙力ではこれが限界だ…伝わるといいな。

前者だと、「自己中」とか「イタい」とか「サムい」とか、そういう人になっちゃいそう。いや、その勇気は大事で、私は日々この勇気をもって活動をしているわけだけれど。
でも結局、「自分らしさの実現」の先に孤立があったら…意味なくない？
目指すのは「自分が自分らしくいられること」と「それが実現できる社会」なわけです。そしたら、自分らしさの表現を試みながら既存の規範に縛られることは、必然というかほぼセットというか…。伝われ…。

「家族でいたい人と、家族でいたい限り家族でいる」でええやん

結婚話だけじゃなく、仕事とかなんでもそうだけど、「変わらないこと」がいい、みたいなやつ、あれなんなんだろうね？
過去の選択は過去の選択。その時しっかり決めたことなのはそうだけど、それから時間が経って、考えが変わったり色々見えてきたりして、「しっかり決め直す」ことや「それで変わる」ことって、何か問題あるのだろうか。
こと結婚離婚に関しては特に“責任”みたいな言葉が使われがちけど、別に「一度決めたら最後まで」なんて思わなくてもいいはずよ。「熟年離婚」がトレンド入りする昨今だけど、何年頑張って耐えてきたって、やめたきゃやめていいんだよ。
「晩婚化」が進んでいるらしいけれど、なにか重荷ならうちらの代でぶっ壊していこうよ。「責任がー」なんてぶっ壊そう。“ちゃんと”しなくても、結婚していいさ。
「家族でいたい人と、一緒にいたい期間家族でいる」「そのために話し合いをできる」がデフォになったらいいのにな。

祝われたら嬉しかった

結婚が認められない人もたくさんいるなかで、たまたま出来る条件下にあったわけだから、「おめでとう」と言われても、100％素直に嬉しいかと言われたらそうでもなかった。
ただでさえ「結婚できる人/できない人」もいて、「3組に1人は離婚する」なんて俗説もあるし、SNSのエッセイ漫画なんて、浮気だ不倫だの内容がトップに来ているじゃない…。身内を見ていても「何で結婚したんや」って思うくらい不仲だったり話し合えてない夫婦も多いし。正直、結婚というものにハッピー幸せな夢を見るのは難しいよ！(笑)

でも、両親に婚姻届を書いてもらった時、職場の人から「おめでとう」と言われた時、パートナーの話をした時、両親から祝電が贈られてきた時、なんだかんだ嬉しかったなぁ。そりゃそうだ嬉しいんだよな。この機会が、結婚したい人みんなにあればいいのになと思う。
私ひとりでは制度を変えることはできないけれど、「どのカップルにもお祝いの言葉がでる社会」にする一助になれたら最高だな。

これからどうなるかは知らん。誰も知らん。

今回、齢26歳で(まだ26なんや…平均より3歳若いな)葛藤の末、こういうことに収まった(収まりきれてないな！)けれど、これから自分たちもどんどん変わるだろうし、社会も変わっていくはずだ。変われ。そして法律やら制度やらもどんどんいい方に変われ。
そうしたら、一度離婚して新たな制度を利用する、みたいなこともあるだろうし、そうでなくても“普通に”離婚するかもしれない。未来のことは誰も知らん。
未来の自分から見たら、今の我々の決断は青くて可哀想なのかもしれんけど、それも知らん。しゃあないやん、そんなこともあるやろ。

そして何より、何か届け出をしたからと言って、自分自身が大きく変わることはないはずだ。私は「妻になるもの」の欄に名前を書きはしたが、妻になるつもりはあんまりないぞ。SOGIESCも変わらない。戸籍上女だってことくらいで、女性性を背負って生きていくつもりはないからね。それでいいのよ。
モヤモヤすることは多々あるし悩みは尽きん。一生ダラダラ書き続ける自信あるわ。

まとめかたがわからんが、報告を終わろう。
何か言いたいことや何やがあったら、ご連絡ください。

【画像キャプション】
パートナーと食べたケーキたち。