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ORESAMA「流星ダンスフロア」:多彩な音と時間と曲線が駆け巡る21世紀のダンスフロア

ORESAMAぽん/小島英也)が再メジャー・デビューを果たしてから3枚目のシングル「流星ダンスフロア」がリリースされました。心地好い歌声と親しみやすいメロディ、肌理の細かいアレンジ、起伏のある展開などの魅力を併せ持つ、聴いていて楽しい曲です。先日のワンマンライブでも披露され、予想に違わず盛り上がりました。

「流星ダンスフロア」はファンクやソウル、80年代的ダンス・ミュージック、そしてEDM的なシンセサイザーの音が混ざり合うサウンドを聴かせてくれます。足し算の良さというのは、とにかく楽しくなれることですね。それでいて緩急や起伏もあるため、勢いだけではない味わい深い音を楽しむこともできます。音が好きな人にとっては、さまざまな音が駆け巡る間奏は楽しい時間でしょう。開放的な気持ちで踊るもよし、多層的なサウンドをじっくり聴き込むもよし。曲が始まった瞬間に、目の前にそれぞれのダンスフロアが広がるのです。

シングルがリリースされる1週間前に、ミュージック・ビデオが公開されました。ディスコ・ソングの華やかなイメージを取り込んだ演出が印象的です。演奏シーンではELEVENPLAYのメンバーが出演しており、また、ORESAMAのライブではサポートメンバーとしてお馴染みのDJモニ子も加わります。

ELEVENPLAYは、1名が振り付け、2名がパフォーマーとして参加しています。振り付けは1作目の「ワンダードライブ」から担当しています。2作目の「Trip Trip Trip」と同様のメンバーが、青から赤の衣装に着替えて、ぽんの左右でパフォーマンスを披露します。振り付けは流星をイメージしていたり、70年代ディスコにおけるお馴染みのポーズを取り入れたりと、曲の雰囲気を分かりやすく視覚的に、身体的に表現しています。ELEVENPLAYの動きは特に曲線が美しく、鮮やかな流線型を描く手や指の動きが好きです。

単に自分の聴く新曲がたまたまそうなだけなのか、やはりトレンドとして成立しているのか。1970~80年代、あるいは1990年代の空気を漂わせるアレンジの曲をよく耳にします。ORESAMAの音楽はもともとレトロな雰囲気がありましたが、シーン全体がリバイバルに向かっている気がします。どこからリバイバルでどこからが今かという区分けも難しいのですが。リバイバルに限らず、引用やオマージュ、サンプリングといった形で、過去と現在は常に混ざり合うものですしね。

ORESAMAの音楽的アプローチは「ワンダードライブ」より前とそれ以降で異なっている、という印象を持ちます。「レトロな雰囲気のエレクトロニック・サウンドを絡めたポップス」という点では同じなのですが、メジャーで再び活動するにあたってコンセプトを徹底している感じですね。シングルを3作続けて短期間に出し、同じ系統の音楽(歌・音・映像)を徹底することで、ORESAMAのイメージを固めている。レトロと捉える聴き手もいれば、新鮮に感じる聴き手もいるでしょう。レトロは懐かしさを呼び起こすものですが、21世紀だからこそ新しい要素として輝く場合もある。うまい具合にウィングを広げているなあと思います。当然ながら、楽しいと感じさせる魅力がたくさん詰まっているため、聴きたくなるのは言うまでもないのですが!


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