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英語の読み方

1. はじめに

仕事柄、英語の論文を読むことが多い。

ゼミでは英語の論文を読んで要約のレポートを書いてくることを毎回課しているのだけれど、日本人の場合、単に日本語訳をしてくる場合が多い。しかもその日本語訳がはっきり言って理解不能なレベルのことが多い。

これはおそらく、大学受験の時に直訳をすることを学校、塾、予備校で勧められ、その癖がついているのであろう。

おかげで内容を理解せずにただ単語の意味をつなぎ合わせる翻訳機と化す学生が多い。そうであればGoogle 翻訳の方がまし。

英語を日本語訳する場合は書き出す前にその内容が何を言いたいのかを考えたほうが良い。その後、必要ならば日本語訳を作る、という作業をするとよい。このとき、直訳をする必要はない。単語の意味は分からないけど、おそらくこのようなことでしょ、ということが分かっていれば、それを文章で伝えればよい。最後は英語力ではなく日本語の文章力の問題となる。

以下では自分が英語の論文を読む上で気を付けていることを書いておく。

2.全体の主語と動詞をおさえる

英語の文章にはほぼ100%主語と動詞がある。中学校の時に学習した5つの文型だって、かならず主語と動詞が入っていたのを覚えているだろう。

だから英語を読むときも主語と動詞が何なのかをちゃんと理解して読み進めたほうが良い。「誰が何をしたのか」「何がどうしたのか」、この二つをまずはしっかり押さえると、全体の内容がつかみやすくなる。

それ以外の要素は上記をより詳しく説明するためのおまけである。

3. 前置詞はイメージでとらえる

前置詞は翻訳を覚える必要はない。例えば、picture on the wall という文であれば、自分の頭の中で絵が壁に掛けられている様子が思い描ければよいわけで、あとは自分の感性や文脈に沿って訳せばよい。on という前置詞の意味を暗記するのは無駄である。

4. 前から理解する

よく英語は「前から訳す」と言われるが、訳すというより「前から理解する」という感覚の方が良いと思う。例えば、以下の文章はどうだろう。

We seek to take a major step in this direction by introducing a novel, language-based measure of CEO's Big Five personality traits that has been developed and validated using a sample of CEOs.

この文章はある論文の一文なのだが、自分が読むときはこのように理解しながら読み進めている。

・We seek to (この人たちはなんかしようとしてるんだな)
・take a major step (なるほど、大きく前進しようとしているのか)
・in this direction (前の文章で議論していた方向でってことだな)
・by introducing a novel, language-based measure of(今まで述べてきたことを達成するために、新しい言語ベースの指標を使うのか)
・CEO's Big Five personality traits(この指標はCEOのビッグファイブ・パーソナリティのことか)
・that has been developed and validated using a sample of CEOs. (この指標は新しく開発され、その妥当性の検証がCEOのサンプルを用いてなされるのか)

上記をまとめると、論文はCEOのサンプルから新しいビッグファイブ・パーソナリティ指標を開発することで、研究を進めようとしているのだな、ということである。

4. おわりに

今はGoogle 翻訳などもあり、英語の文章を読みやすい環境になった。それにもかかわらず、日本語の文章しか読まないのは非常にもったいない。

とりわけ、多くの人が6年間も英語を読む訓練を受けているわけだから、それで読めないのであれば今までの読み方が間違っていると気づいた方が良い。

Reference 

Harrison, J. S., Thurgood, G. R., Boivie, S., & Pfarrer, M. D. (2019) Measuring CEO personality: Developing, validating, and testing a linguistic tool. Strategic Management Journal, 40, 1316-1330.



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