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第33節 vsFC琉球 レビュー

飲み込まれるか、抗うか。
昇格に向けてもう落とせないなかで、アビスパイレブンは走り・闘い・弾き・打つことで強く抗ってみせた。
それは、中2日とは思えないほどのエネルギーだった。

スタメン・ベンチメンバー

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過密日程ということでスタメンは過半数となる6人を入れ替えて挑んだが、一番の驚きはチームの心臓とも言うべきMF前の名前がベンチメンバーの中にもなかったことだろう。
疲労の色が隠せなくなっていたのは確かだったとはいえ、長谷部監督は本当にはっきりとした選手起用をする。
本職の右SBで起用された湯澤、重廣・松本の実力は間違いないボランチコンビ、アビスパ初ゴールが期待される山岸と楽しみなスタメンであった。
ベンチにはサロモンソン、グローリ、フアンマと主力の外国人が3人。もし望んだ展開にならなければ投入していく狙いだったのだろう。

前半戦


アビスパのここ最近のパターン。試合の入りから激しくチェイスに行き何度かチャンスに繋げた。特に、6分のCKではDF上島が頭で合わせたがボールは枠の僅かに左。先制点は奪えず。
10分を過ぎた頃からは徐々に琉球ペースへ。左右を広く使う攻撃で揺さぶると、14分に琉球に決定機。
1.5列目の小泉がバイタルエリアを横断するドリブルからタイミングを図ったシュート。ドルトムント時代の香川真司を彷彿とさせるようなプレーだったが、ポストに弾かれた。ちなみに小泉は試合を通してドリブルもパスも素晴らしく、一番の驚異であった。ただ、2点目に繋がったパスミスはいただけなかったが。

このシーンでアビスパが良くなかったのは小泉にパスが出た瞬間のポジショニング。

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小泉にパスが出た瞬間にプレスに行けるよう重廣がもう少し後ろに位置すべきで、もしくは増山がもう少し中央に絞る必要があった。

21分にはアビスパにチャンス。重廣がギリギリまで溜めて出したスルーパスを増山が持ち上がり、クロスから遠野がシュートを放ったシーン。

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SBの湯澤までもがエリア内に入っていたことで遠野がフリーになることができていた。

そして待望の先制点が生まれたのは31分。
左サイドを石津が突破し、遠野を経由して右へ展開。右サイドから湯澤がアーリークロス。

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この瞬間、琉球は7人がバイタルエリアまでにおり人数は足りている。ただ、中央(丸で囲ったスペース)があまりに空きすぎていた。慌てて気付いた選手が→の動きで埋めようとしたが、今度は山岸へのマークが甘くなってしまった。クロスは山岸へ。そして胸トラップからシュート。DFに当たってコースが変わり、アビスパ加入後初ゴールが生まれた。
琉球の選手がアピールしたようにハンドにも見えたが、VARがなければこういったことも起こり得る。

後半戦

アビスパはリードしたこともあり、コンパクトなブロックを敷いてカウンターを狙った。
51分には遠野の反転から3対2の局面を作ったが、ここは山岸がパスを選択してしまいシュートには至らず。

73分。琉球陣内での奪い合いからボールは遠野のもとへ。

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遠野はタイミングを図って山岸へ非常に速いスルーパス。山岸は抜群のタッチで抜け出すと、GKの股を抜く冷静なシュートでこの試合2点目。
このゴールシーンの遠野の非常に速いスルーパス、山岸のトラップからの持ち出し方は派手さこそないもののワールドクラスのプレーだった。

この追加点でアビスパが完全に優位に立ったが、サッカーは何が起こるか分からない。

74分、裏へのロングボールに琉球の上原が抜け出すと、GK村上も振り切ってシュート。しかしこれは枠の左へ。グティエレスの良くないプレーはこのシーンぐらいのものだった。

77分、アビスパのCK。石津が蹴ったボールはニアサイドに走り込んだ上島の頭へピタリ。身体は伸び切ってしまっていたが、ふわりとしたボールがサイドネットを揺らし、3点目。
得点後上島はサポーターが大勢いるゴール裏へ一直線に走って行き、スタンドは更に盛り上がった。

ここからは次節も見据えて少し傷んだ遠野、両SHの増山・石津を交代しつつ時間を進めていく。
今日のアビスパがこれまでと違ったのは何点差になっても攻撃の手を緩めなかったことだ。その代償として終了間際に琉球の田中に1点こそ許してしまったが、次節への課題も見つけつつ3-1と複数得点で勝利したことはとても良い結果だったと言えるだろう。

次節はアウェー・山口戦。
SBの輪湖と湯澤が出場停止という難しさはあるが、今日休むことができた選手も含めた総力戦で3ポイントを積んで帰ってきてもらいたい。

採点・寸評

採点(10点満点・及第点5.5)と寸評。異論はたくさんあることでしょう。下記はあくまで主観です。

スターティングメンバー

GK村上昌謙 6 クロスへの飛び出しはやはり怪しかったが、それ以外は安定したパフォーマンス。失点シーンは責任はない。

DF湯澤聖人 6.5 やはり右SBが本職。先制点に繋がったクロスは大きなプレーだった。

DF上島拓巳 7 守備では安定感、安心感。3点目のゴールもゲット。

DFグティエレス 7 1対1の強さを披露。守るだけでなく縦パスも見事。柔のグティエレス、剛のグローリと監督を悩ませることだろう。

DF輪湖直樹 6 攻撃参加のタイミングは良かったが、イエローカードをもらってしまったシーンのプレーは軽率だった。

MF増山朝陽 6.5 過密日程とは思えないほどのスプリント。最近はプレーの安定感が増している。

MF松本泰志 6.5 重廣と斜めの関係で主に守備を担当。役割分担がはっきりしたことでバランスがとれていた。

MF重廣卓也 6.5 アグレッシブにプレー。やや前方に気持ちが向き過ぎる瞬間もあったが、まだ復帰して2試合目。更に良くなるはずだ。

MF石津大介 7 影の功労者。若い頃のスピードは失われたが、見事な守備力を手に入れた。守備時には首を何度も振って細かくポジショニングを修整していた。懐が深く、ボールを持つとタメを作ってくれる。CKの精度も高く、アシストを記録。

FW遠野大弥 7 今日もよく走った。2点目のアシストとなったスルーパスは100点。遠野と琉球の小泉はプレーが似ている。

FW山岸祐也 8 MOM。アビスパでの初ゴールを含め2得点。特に2点目のトラップからの持ち出し方は抜群だった。ただ、51分の3対2になったシーンはシュートに繋げたかった。

ベンチメンバー

MF福満隆貴 6 状況を考え堅実なプレーを披露。

MF田邉草民 6 やはり本職はSHではなかろうか。

FW木戸皓貴 5.5 本職のFWでの起用。何か見せ場を作りたかった。


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