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辺境の神事

12月13日。

僕らの小さな山奥の村ではまだ真っ暗な早朝に山の中で神事が行われる。

女人禁制の山なので村の男だけで行われるこの行事は、〝山の神さん〟と呼ばれている。

この村に来たときは衝撃を感じたこの行事も今では完全に暮らしの一部と化している。

この神事は準備がとても大切で、前日に村でとれた稲と米を使って捧げものをつくる。
一人一つ。

例年はみんなで集まって杵と臼を使って米をつき、稲藁をなってお飾りをつくるのだけれど今年は人数が少なくなったこともあり、各自準備をすることとなった。

僕は村の仲間と一緒に準備を。
自分たちで作ったお米とその藁を使って作っていく。

今年は自然農でつくっている自分の稲をつかったのでより一層パワフルで自然を凝縮したものになった。

文字でこの感覚を伝えることができないけれど、今年は本当に本当に気持ちの良い作業ですべてに喜びが溢れていた。

今日のことは忘れないだろうなぁなんて思っていたら記念に写真を撮ろうとなった。
ポラロイド写真に映った僕たちはどこかノスタルジーでぴったりの記録が完成していた。


村に古来からそのまま残っているこうした行事たちはきっとすぐに形が変わっていく。

ただ、今後どうなろうと僕らのなかに残っていくものが大切なんだと思う。


形にとらわれ縛られるのではなく、その中で感じとった美しいことに感謝して紡いでいくこと。


もうたくさんそんな美しさをもらった。

ありがとう。



この辺境の神事が終わると、いよいよ年末がやってくる。
丁寧に整え備えていこう。

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