私がコーンのお寿司を10年封印した話

物心ついたときからコーンのお寿司が大好物だった私。回転寿司に行くと、コーンに始まりコーンに終わる。そんな私が16歳のある日から突然コーンのお寿司を封印した。その理由は、高校生の頃、担任の先生と回転寿司の話で盛り上がっていた時言われた言葉にある。

回転寿司行ったら必ず食べるものは何〜?みたいな話しで盛り上がっていたと思う。私は、「コーンを絶対に3皿は食べる!コーンのお寿司が大好き!」とかそんなことを言っていたと思う。それに対して(かどうかは分からないが)担任の先生が私に言った言葉、それは

「コーンの寿司って絶対原価安いよな〜!!30円くらいじゃねーのwww??」

そんな言葉。実際の原価は知らないし、その先生が原価厨だったかどうかは分からない。悪意があって言ったようにも思えない。損してるから食べないほうがいいよ、と余計なお節介心も感じなかった。もちろん私のコーン好きを否定もしなかった。先生は、ただ自分の思ったことを口にしただけだった。

でも、たかだか16歳の小娘の私の心は簡単に折れてしまった。

確かに、、あれは缶詰のコーンにマヨネーズ?ドレッシング?を混ぜて軍艦に乗せただけだ…ほかのお刺身が乗ってるお寿司と比べたら、おもちゃみたいだ……自分は今まで損をしていたのか…自分が愛してやまないものを、安っぽいものと言われた…………

とにかく色々なショックを受けた。悲しいやら、恥ずかしいやら、、

その時の自分の心はまだ幼く未熟で、「原価が安い??だからなに??」「好きなものは好き!」というのを貫き通せなかった。自分が弱かっただけかもしれない。


そこから私は、大好きだったコーンを封印した。嫌いになったんじゃない、食べなくなった。我慢していた訳でもないと思う。コーンのお寿司を見るたびに担任の先生から言われた言葉を思い出す。「そう言われてからコーン食べなくなったww」と人に話したこともあった。久しぶりに食べてみようかな…と言う気持ちが無かったわけではない。でも、あの一言が頭をよぎってしまってなんとなく手を出せないでいた。そして10年がたち、ある一人の男性とお付き合いをした時にその封印は解かれた。


26歳のときに付き合った男性と、回転寿司に行った。その人は、「回転寿司はおもしろいお寿司を食べられるところ」と思っているらしく、回らないお寿司屋さんでは食べられないハンバーグ寿司やサラダ軍艦、海老アボカドみたいなやつを好んで食べた。逆に、お刺身が乗っているお寿司は回転寿司ではあまり食べなかった。彼がよく食べるものの中には、もちろんコーンのお寿司もあった…。


彼は、海苔の風味がコーンと合わさって美味しいという。一皿、二皿と次々おいしそうに食べる。そこで私は言ってしまった。担任の先生に言われたあの言葉。

「昔好きだったんだけど、絶対安いよなwwwって言われてから食べなくなったww」

と。今考えると最悪だ。人が目の前で美味しいと食べているものを否定、馬鹿にするかのような発言だ。なぜそんなことを言ってしまったのか。何も知らずに食べている彼が羨ましかったのかもしれない。自分も食べればいいのに。そして、その言葉を言われた彼は、こう答えた。

「ふーんwww別にうまけりゃよくねww」

え??そんだけ????

そんだけだった。ただそれだけだ。自分が満足できればそれでいい、人からそんなこと言われても全然気にしない!好きなものは好き!そんな感じだった。

その彼は、飲食業をやっていて、原価がどれくらい、そこに人件費が、、とか、これは保存がきかないから、、とか色々教えてくれた。だから、原価でいったらもっと安いんじゃない?とも言っていた。全然ぼったくりって訳じゃないし、損なんかしてない、外食でそんなの気にするほうが変、好きなら食えばいい、そんな事を言っていた。

すごいと思ったし、この歳まで人から言われた事を引きずっている自分が恥ずかしいやら、情けないやら、、

「何十円のことでウダウダ言ってねーで食えば??うまいよ!」

ならば、とおよそ10年ぶりに口にする。大好きだったコーンのお寿司……。自分から勝手に別れを告げた気でいたそれは、あの頃と変わらず、私が大好きなコーンのお寿司のままだった。

こんなに美味しいものを食べずに封印していたなんて逆に損をしていたのでは、、なんて馬鹿な自分。後悔した。


それからは、最低2皿はコーンを食べている。やっぱり美味しい!お店によって味が違うし、スシローに至ってはとうもろこしをお店で茹でているらしい!!すごいこだわりよう…安っぽいものなんて思っていてごめんなさい。とっても美味しいです。

呪縛(と勝手に思い込んでたもの)から開放され、好きなものは好き、その為にお金を払っているのだから何も損なんてない、原価なんてどうでもいい、一番大事なのは心が満たされるかどうかなんだ、と思った。簡単なことだけど、分からなかった。

ちなみに、その担任の先生をうらんでるとかは全く無い。大切なことを色々教えてくれた恩師だ。今でも感謝している。そんな人から言われた言葉だったから、余計に心に刺さったのかもしれない。

栗原先生、色々あったけど今でもコーンのお寿司が大好きですよ!


そして、呪い(と勝手に感じていたもの)を解いてくれたコーン好きの彼と、先日入籍しました。めでたし。


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