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『サスペリア』考

有名なホラーの『サスペリア』(1977)は、イタリア映画だが舞台はドイツ。

主人公はアメリカ人という設定で、登場人物たちはほとんど英語を喋っている。

これは主観だが、建物の色彩はロシア的なものを感じる。

実に国際色豊かである。


恐怖の舞台は「フライブルク学院」というバレエ学校。

フライブルクは、実在する地名だ。

いい迷惑な感じもするが、ナチに加担した哲学者ハイデガーが学長を務めたフライブルク大学を連想させる。

中盤に出てくる鷲のモニュメントも、ナチを暗示しているのかもしれない。

ナチにはカルトやオカルトの要素があったので、作品のモチーフと重なる。


作品全体を通して、幻想的な映像美と非日常的な雰囲気が支配する。

ホラーは一般的に、日常的な空間に非日常的な恐怖が襲ってくるパターンが多い。

だが本作はむしろ、非日常の上塗りといった感じだ。  

なので個人的には、「怖い」というよりは「こだわり」の強い作品だと思った。

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