『握手』#110

こんにちは。はじめまして。松澤と申します。今後ともよろしく。久しぶりだね元気にしてた?また会おうな。元気でな。
場面は、人と会うときの、始まりか終わりか。はじめましてと差し出す手には空っぽの手のひらが身の安全を示して久しぶりだねと振り出す手にはハグとはいかぬが離れていた距離を詰める一手となって元気でねと握り合う手には親密さが惜別の思いで結ばれた形として手を手で包む。
場面はいくらかある。
差し出される手と腕の仕草と、身体本体と頭の様子は比例というか、様子が違っていることはあまりなくて、この人あってこの握手あり、という現象。
背筋を伸ばして神々しい厚い胸板から腕を振り出してデカい手がドンと据えられる人もいれば、くたっとした背広で背を丸めて脇を締めて小さく両手を差し出す人もいたり、さわやかな笑顔とスポーティな雰囲気からサッと手を出す人もいたり、なんとなくだがひとの雰囲気と握手の雰囲気とには齟齬がない。服装と性格にイメージ違いがあることはあるけれど、全体的な雰囲気と握手の振る舞いとでは、齟齬ないぞ、という具合。
いったい私の握手はどうなんだろう、どう見えているんだろう、気になってくる。せめてだらしない様子でなければいい。そう願う。
アイウィッシュ、マイ・シェイク・ハンド、ワーグッド。ワーでいいんだっけ、文法的に、ウィッシュのとき、うーん。
英文法がぼそぼそと自分の身から削げていく。
シェイクハンドの英文法、握手とシェイクハンドの互換性、これもこれで気になるところで、グリップでもなければキャッチでもなく、シェイクなのだな、混ぜる・振る・混ぜ合わせる、英語においては握手の様子をこう表すのだなと。たしかに外国で握手したときには、手を握って握るだけでなく上下に2、3回ブンブンっと動かす、そんな記憶はある。テレビで見る大臣や首相、俳優の握手も握ってブンブンっとしてる。カメラ目線で静止するときにも、まず事前にシェイクハンドをしてから、止まる。
あれは、なんなんだろうな、なぜシェイクするのか。握るだけでなく、動かして連動すること、共振することに何かがあるのだろうか。
謎は解けないままなのだが、シェイクハンドにおいては、おずおずとした様子の握手スタイルとはまったく親和しない、堂々とした様子やさわやかな様子とマッチするわけで、そこはシェイクと握手とであるべき姿は一致している。

#握手 #180407

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