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日銀が本気を出した、、、いまの日本の金融緩和とは!?

※2017.8.11 のメモを転載

ご存知の通り、08年のリーマンショックで世界の経済は大打撃を受けました。

日本でも、日経平均株価の暴落(1.2万円→7000円)、急激な円高(1ドル105円→76円)、それに伴う産業空洞化など、大変な影響を与えました。
しかも、ようやくバブル崩壊後の「失われた20年」から立ち直りかけていたタイミング。。。
その後も東日本大震災に見舞われ、日本経済はズタボロに。。。

ですが、そんな苦難を乗り越え、2017年の今では「(期間が)バブル景気を超えて戦後3番目の景気回復期」なんて言われたりもしています。

そのきっかけとなったのが12年から始まったアベノミクスであることは言うまでもありません。
今回は、アベノミクスで重要な役割を果たしている、日銀の金融政策についてざっくり説明します。

●「長短金利操作付き 量的・質的緩和」

これが日銀がいま行っている金融政策の名前です。
長い!!ですが、ぶっちゃけ、やってることを全部くっつけただけなので、ひとつひとつ分解して見ていけば簡単です。

とにかく、あの手この手で金融緩和をしているのですが、、、
そもそも金融緩和とは、「景気が悪くてみんなお金を使わないので、お金を使いやすくしてあげること」です。

その方法は大きく2つ。

 ・量的緩和:お金の量を増やすからみんな使ってねー
 ・利下げ:金利を低くする(=お金を借りやすくする)から、みんな大きな買い物してねー

というもの。ちなみに、大きな買い物って企業なら設備投資、個人なら家や車のことだとイメージしてください。

●量的・質的緩和

こいつらが主に「お金の量を増やす」ための政策です。
ざっくりいうと以下の通り。

 ・量的緩和:毎年80兆円(!!)ずつお金を市場に流しますよー
 ・質的緩和:長期国債だけじゃなくて、いろんな資産を買っていきますよー

※いくら日銀でも刷ったお金を直接ばら撒くわけにはいかないので、特定の資産を買い上げることで市場にお金を供給しています。その買い上げる資産の幅を広げたのが質的緩和です。

こんな感じでお金をじゃんじゃん市場に流しているんですね。
おかげで、日銀の保有資産はいまや500兆円を突破!日本のGDPに匹敵する金額です。
FRB(米)の保有資産はGDP対比23%、ECB(欧州)は38%なので、日銀がどれだけ頑張ってるか分かりますね。

ただ、「質的緩和」で買い入れる資産の幅を広げたため、それにより弊害ともとれる事態が発生しています。

例えば、ETF(上場投資信託)の買い入れ。
ETFが何かというのは興味があれば自分で調べてほしいのですが、ざっくりいうと、多数の上場企業の株に分散投資するようなイメージです。
日銀は毎年6兆円規模でETFの買い入れをしているので、6兆円分の株を買っていることになります。

するとどうなるか。
本来ならば、投資家が日本株を売るとその分値段が下がりますよね。
しかし、日銀がどんどん買っているので、下がるべきタイミングで下がらないんです。株価が常に下駄をはいてるような感じ。

これにより「市場の機能を停止させてしまっている!」なんて言われています。
また、いずれ景気が回復した際は、手元の資産を市場に戻す(=流したお金を回収する)必要があります。

これまで日銀が買い支えることで株価が維持されてきたのに、逆に日銀が手元の株を売る、となると株価の急落!なんてことになりかねません。

いま日銀は「金融緩和で経済を復活させる」という課題と戦っていますが、その先には「復活した経済に水を差さないようにバランスを取りながら、資産を売却して保有資産を正常化する」というさらに難しい課題が待っているんですね。

もし街で黒田総裁を見かけたら、「お疲れさま」と声をかけてあげてください。

●長短金利操作

そして現行の金融政策のもうひとつの柱が「長短金利操作」。
簡単に言うと、「長期金利・短期金利を日銀が操作します」ということ。
量的緩和が一定の効果を発揮したあとに導入された政策で、いま現在ではこっちの金利操作がメインになっています。

さて、じゃあ「長期金利」「短期金利」ってなにか、というとざっくり以下の通りです。

長期金利:1年以上の期間で資金を貸す場合の金利。
     一般的に10年国債の利回りを差し、【投資家(市場での取引)】の動きに左右される。

短期金利:1年以内の期間で資金を貸す場合の金利。【政策金利(日銀)】に左右される。

これだけじゃよく分からないと思いますが、覚えていただきたいのが、それぞれなんの影響を受けて決まっているのかということです。長期金利は市場の影響、短期金利は政策金利の影響を受けます。

政策金利を決めているのは日銀なので、短期金利の方はいいとして、本来、市場の影響を受ける長期金利までも日銀が操作していこうというのがいまの方針なのです。

長期金利は市場での国債の取引状況によって上下します。
国債というのは、買う人が多くて、価格が上がった場合、金利は下がります。
売る人が多くて、価格が下がった場合は、金利は上がります。
(理由を説明するとややこしくなるので、一旦ここではそういうもんだと覚えてください。国債の「価格」と「金利」はシーソーの関係。)

なので、この市場の影響を受けて動くはずの長期金利を、日銀が国債の買い入れ量を調整することで操作していこうというのですね。
ちなみに、目標としては
 ・短期金利:マイナス圏に置いておく。
 ・長期金利:おおむねゼロ%くらいになるように調整。(実際は、0.05%くらいを推移しています。)
を掲げています。

●まとめ

以上がいま日銀が行っている金融政策です。

「長短金利操作付き 量的・質的緩和」
 <お金の量>
  ・量的緩和:毎年80兆円(!!)ずつお金を市場に流しますよー
  ・質的緩和:長期国債だけじゃなくて、いろんな資産を買っていきますよー
 <金利>
  ・短期金利:マイナス圏に固定。
  ・長期金利:おおむねゼロ%くらいになるように調整。

このことを知らないと日銀のことがニュースで流れたときに内容を理解できないと思うので、ざっくり理解しておきましょう。

いま日銀が目指している方向性を知っておくだけで、ニュースの見え方がガラッと変わってくると思いますよ。

おわり

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