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ストックのありがたみと、自分らしい仕事(文章を書く心がけ)

ストックのありがたみ

先週末、急に冷え込んだせいか、体調を崩していました。

フリーランスのつらいことの一つは、体調を崩しても原稿の〆切がやってくることです。技術評論社さんのSoftware Design誌向けの連載原稿の〆切が、ちょうど迫っていました。

でも幸いなことに、この連載原稿はゼロから書き起こす必要がありません。今月送る予定の原稿は一ヶ月前に結城メルマガに掲載したものをもとにしているからです。このような運用はもちろん編集部さんと合意を得た上でやっているわけですが、今回はほんとうに助かりました。

文章をゼロから書き起こすのと、すでに人様にお見せできる状態になったものを媒体に合わせて調整するのとでは、それに掛かる時間はまったく違います。

ストックのありがたみ、といったら身も蓋もありませんが、それを実感した次第です。

結城浩のメールマガジン 2014年2月11日 Vol.098 より

そんな「ストックのありがたみ」から連想して「自分らしい仕事」についてちょっとお話ししますね。

一回分、余計に準備しておく

ある実業家から聞いた話。

この方は教育者でもある方なのですが、いつ講演を頼まれたとしても大丈夫なように、いくつか題材をストックしてあるのだそうです。

「いつ講演を頼まれたとしても」という仮定を設けるところから、すでに常人とは違うような気もしますが、その心がけをいま思い出しているところです。

そういえばその方は、続けて講義をしなければならないときにも、一回分余計に講義を準備しておくともいってましたね。その一回分は非常用のストックになるわけですが、そういう準備をしようと思うことは見習いたいと思っています。

なかなか難しいことですが。

ストックを用意することも仕事のデザイン

「個々の仕事」だけではなく、「その仕事をしている自分自身」をきちんと相手に伝えることを、「セルフプロデュース」や「セルフブランディング」と呼びます。

考えてみますと、いつ講演を頼まれてもいいように題材を用意しておくとか、非常用の講義をストックを準備しておくというのは、いわば舞台裏の話ですよね。

つまり、そのようなストックを用意しておくかどうかは、サービスを受け取る相手にとってはどちらでもいいことです。

相手に適切なサービスを提供するために必要なことは何かを考え、起こりうる事態を予見してそれに備える姿勢……と考えていくと、「非常用のストックを用意する」というのは、セルフプロデュースを行うための一つの姿勢といえるでしょう。

個々の仕事を達成することは、とても大事なことです。でも、それに終始するのではなく「仕事の進め方を通して相手に何を伝えたいか」もきちんと考え、そしてそのために「仕事をどうデザインするか」もしっかり考える必要があるのだろうな、と思いました。

保険としてではなく、自分らしい仕事として

体調を崩したことによる仕事への悪影響を取り除くことは大切で、また体調を崩さないことも大切です。

でも、もし体調を崩したとしても、あるいはまた、その他の想定されるハプニングが起きたとしても、リーズナブルに対処できるように仕事全体を「デザイン」したい。そんなことを思っています。

単に「保険を掛けておく」という受け身の考えではなく、「私らしい仕事の進め方にしたい」という積極的な考えで。

「非常用のストックを用意する」というちょっとしたことも、「自分らしい仕事」のデザインの一つと言えるでしょう。

あなたはどう思いますか。

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