Dancing on the Highway追記

先日、エリオットスミスの未発表曲Dancing on the Highwayについて書きましたが、一点追記したいことがあります。

この中で

・ヴァースにVII7→IVというイレギュラーな進行を含んでいる

・曲の作り方がジョンレノンっぽい

と書きました。

これについてもう少し補足したいと思います。

VII7→IVが出てくる有名曲

と言えば…

これです。ビートルズのI'm So Tired

冒頭のコードは

A|G#7|D|E|~

度数で表すと、I|VII7|IV|V|~

VII7からIVに行ってますね。

作曲はジョンレノン。ホワイトアルバムの中の一曲です。

ホワイトアルバムは、Wikipediaに(さえ)も載っているように、エリオットスミスがミュージシャンを目指すきっかけとなったアルバムです。

意識的に取り入れたのか、無意識のうちに刷り込まれていたのかはわかりませんが、恐らくここから影響を受けたのではないでしょうか。

他にも、ホワイトアルバムにはDear PrudenceやJuliaといったレノン作の半音の動きが美しいコード進行の楽曲が収録されていますが、エリオットスミスのコード感覚のルーツの一つかもしれませんね。

Dancing on the Highwayとの違い

I'm So Tiredの進行をもう一度書くと、

A|G#7|D|E|

ですが、

それに後続する4小節は、

A|F#m|D|E|

となり、こちらはI-VIm-IV-Vの循環進行で安心感があります。

逆の視点から見ると、前半はベタな進行の中の一か所(VIm)だけを意図的に意外性のあるコード(VII7)に置き換えていると言えます。

たった一か所だけの違いではありますが、意外性のある前半と、安心感だけで出来た後半とが対になっている構造です。

一方、Dancing on the Highwayは他の部分と対比するためにVII7が出てくるのではなく、突然ふわっと別世界に浮遊して(?)そのまま帰ってきてしまいます。この曖昧な感じはやはりジョンレノンのやり方とは趣が異なっているのかなと思います。

Iから突然半音下がるジョンレノンと、IからVImを経て一音上がるエリオットスミス。個人的には、後者の方が洗練された印象を受けます。

余談:ビートルズで一番好きな曲

僕はビートルズに対して思い入れがあるどころか、英語と音楽の教科書に出てくるダサいバンドって10代の頃は思ってました。

バンドでキーボード弾くようになり、キーボードマガジンでマジカルミステリーツアー特集を読んでその認識を改めつつはあったのですが、本当に凄さを知ったのはカバーでした。

やはりエリオットスミスです。

実を言うとFigure 8の国内盤を買った当時は「エリオットスミスが凄すぎて、こんなアレンジをしてしまったに違いない!」と勘違いしてました。笑

義務感からオリジナルを聴いたのですが、それをきっかけにビートルズを大いに見直しました。

一応ビートルズはほぼ全曲聴きましたが、今でも一番好きなのはBecauseです。

ビートルズ以外にも、エリオットスミスの影響でビーチボーイズやキンクス、ゾンビーズ等の60年代の音楽にも行きつくことができました。

でも、ハードロック系は聴いてないので、エリオットスミスのルーツを知りたくて聴いてるというよりは、結局自分の好みでフィルタリングしてますが。(もちろん、Free Birdも聴いたことない…笑)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?