『ホラー小説でめぐる「現代文学論」 高橋敏夫教授の早大講義録』
「他人には絶対に言えないことを、あなたはどれだけかかえていますか」―――わたしは、文学部にはいってきた人たちはもちろん、これから文学部にはいりたいという人、入ろうか否か迷っている人にも、機会あるごとに問いかけてきました。
ひとつか、ふたつぐらいなら、わざわざ文学部にくることはない。軽症、いやかすり傷程度。政治でも、経済でも、法律でも、教育でも、これからの人生で有用な勉強に邁進すればよい。しかし、それがもっと多くて、かかえきれないほどあるのなら、大学のなかでは(大学に狭く限定