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公務員としての教員の給料について思ったこと

公立学校の教員って公務員だから、年功序列式に給料が保証されている。毎年わずかだけども昇給もするし、減給されることはない。そして、年に2回、しっかりとボーナスも支給される。公務員は安定しているとよく言われるけど、まったくもってその通り。

教員の世界って鍋蓋型の組織なので、校長、教頭以外はみんな立場的には同じ。教務部、生徒指導部、学習指導部、進路指導部などと校務分掌表を見るといくつかの部に分かれているけ、学習指導部の部長が別の部の係に入っていたりとか当たりの前のようにある。さらに、生徒指導部の部長だった先生が、担任を持つために部長を下りるなんてこともある。教員の世界において、部長を下りることを誰も降格だとは思わない。1年ごとに部長が変わるなんてこともあるし。部長や学年主任には、1日200円だか300円の主任手当が支給されるようだけど、収入面での違いはそのくらい。

私が勤めた高校はすべて、校務分掌は基本的に教頭が校長の指示を仰ぎながら原案をつくる。事前に校務分掌の希望調査が配られて、来年度やりたい校務分掌の希望を言えるんだけど、もちろん希望通りになるとは限らない。

前の記事にも書いたけど、校務分掌の内示がなされると、教頭にこれはおかしいとか言う先生が結構いたりする。教頭によってはそれを見越してか、文句を言いそうな先生の校務分掌を、本人の希望通りにしていることがあったりする。その結果、自ずと大変な仕事が何も言わなそうな先生にまわってくる可能性が高い。

さらに「仕事は寂しがり屋」ってのがあって、特定の先生、とりわけ仕事のできるのところに仕事が集中したりする。

最初に書いたように、教員の給料は仕事の実績で決まるわけではなく、年齢で決まる。ある仕事をするにしても、仮に手を抜いて行おうが、創意工夫をこらして一生懸命やろうが関係ない。

授業においても同様である。私が三月まで勤務していた高校では、年に1回、授業評価アンケートを生徒に実施している。その結果をレポートにまとめて、自分の授業についての良い点、悪い点を浮き彫りにして、今後の授業に生かしていくことを目的とする。

中には辛辣な意見を書かいてくる生徒もいる。もちろん生徒の意見に迎合して授業を行うわけではないが、生徒の意見を踏まえて自分の授業を見直してみることは必要。でも、中には生徒の意見をはなから無視して、自分の授業を振り返ろうとしない先生もいる。意外と年配の先生に多い。今までやってきたプライドと自信があるからだろうか。

授業は、同じ内容を教えるにしても、生徒が違えばその状況も変わるわけだから、その時の生徒に応じて教え方を考えなくてはならない。前の学校で、もしくは去年の生徒に通じた方法が、今年の生徒に通じるとは限らない。だから、授業評価アンケートにおける生徒の意見は、非常にありがたいものなのだ。

担任をしていると、生徒から「この先生の授業がわかりにくくて何とかしてほしい」という話を聞くことが結構あるし、保護者からも「この先生を変えてほしい」という意見を言われることもあったりする。自分勝手な理由でこういう事を言ってくるのは論外だけど、何人かの生徒や保護者から言われると、どうしたものかと考えてしまう。

その先生に対して、生徒や保護者がこんなこと言っていましたよなんて言えるわけもない。新人の先生であれば「授業やってみてどうだい?」なんて雑談から、いろいろ聞きだしてアドバイスしたりできるんだけど、自分の授業に自信を持っている年配の先生には何も言えない。

そういうときは、生徒や保護者からこういう意見がありましたってことを教頭に伝えておくんだけど、まぁ伝えるだけだよね。教頭もいろんな先生に気を使って波風立てたくない部分あるみたいだから、その後の展開は期待できない。

なので、授業評価アンケートも形式的になっていて、授業改善もやってますよってアピールでしかないような気もする。その証拠に、学年が上がるにつれ、生徒はアンケートに意見を書かなくなるんだよね。真面目に頑張っている生徒に「この学校の先生って、授業評価アンケートやっても改善してくれませんよね」って言われたこともあるし。

で、何が言いたいかというと、授業の良し悪しでも給料は変わらない。生徒からどんなに文句を言われる授業をしても、その年齢で保障される給料はもらえる。

もちろん、こういった先生が多いわけではないし、ほとんどの先生は生徒のために頑張っている。でも、頑張った先生が評価される場面がないんだよ。

「生徒のためなんだから頑張って当然」

この一言で片づけられる。教師という仕事は、どの仕事もそうだけど、お金を第一目的にしているわけではない。でも、その部分で頑張りを評価する面があってもいいのかなって思う。

私の県では、年度初めに自分で仕事の上での目標を立てて、年度末にそれがどのくらい達成できたかの自己評価を行う。その自己評価と管理職(校長・教頭)の評価をもとにして、評価の良かった教員にボーナスを上乗せするという制度が数年前からはじまった。

自己評価と管理職の評価って書いたけど、実際は管理職の評価で決まる部分が強いし、管理職がどんな基準で評価してるかも分からない。年度末の定められた期間に申し出れば、自分の管理職の評価を教えてもらえるようだけど、教えてもらったところでどうなるわけでもない。

さらに、この制度のおかしいところは、ボーナスの上乗せとなる評価が与えられる人数の上限が学校の中で決められていること。無制限にしていたら、管理職の計らいで全員そういう評価をするってことになって問題なのかもしれないけど。

例えば、学校全体で何かの改革に取り組んで、多くの先生の協力もあってそれが上手くいったとする。でも、それが評価されるのは一部の、定められた範囲内の人数の先生ってことになるんだよね。だから、学校全体で何かしようって雰囲気を醸成させない制度になってしまっている。

そんな状況もあるのか、誰が評価されてボーナス上乗せになったのか分からない。私もボーナス上乗せになったことがあるけど、それを言われたとき、あまり他の先生に言わないようにって言われた。

今年度から、ボーナスだけでなく給料にも反映されるようになるようだけど、年功序列は変わらない。

確かに、教師という仕事は経験がものをいう部分もある。ベテランの先生がそのノウハウを若手教員に伝えていく。そういった部分で年功序列は、教員の世界ではうまく機能しているのかもしれない。

しかし、その反面、停滞を招く部分もある。先に述べた授業改善だってそうだし、学校行事についても、去年通りにやっておけば大丈夫といった感もぬぐえない。去年の資料を日付だけ変えて提示し、中身の検討があまり行われない。さらに良くするためにどうすればいいかという考えが欠落してしまうのだ。去年通りに行うことが悪いわけではないが、なぜ今年も去年通りに行うのがいいのか、そこの根拠も必要ではないか。

そんな中で、若手の教員が斬新が意見やアイデアを提示してくれる場合もある。ただ遠慮して考えがあるのに言わないことが多かったりする。そういった部分を上手く引き出して、評価してあげられるようになるといいなって思ったりもする。

今、あの病気の影響で、生徒は学校に登校できない状態にある。やはり生徒が来ないと、仕事の量も減る。授業もないし、ホームルームもないし、面談もないし。かといって、リモート授業などをやってみようかなんて話もない。それでも公務員であるため、給料はしっかり保証されている。非常勤の先生も、授業がなくてもその時間帯に学校に来ていれば、授業を行ったとみして給料がもらえる。ニュースなどで見る民間企業の現在の状況と比べると、公務員って恵まれた環境にあるんだなって感じる。

まだまだサポートをいただけるような状況ではないですが、よろしければお願いします。