「タブレットが "新しい学び" をつれてくる」
タブレットが "学び" を変える
現在、生徒1人につき1台のタブレットが導入され、GIGAスクール構想がすすめられ、変化の時期を迎えています。このGIGAスクール構想は、文部科学省のHPでは以下のように紹介されています。
1人1台端末環境は、もはや令和の時代における学校の「スタンダード」であり、特別なことではありません。(略)最先端の ICT 教育を取り入れ、これまでの実践と ICT とのベストミックスを図っていくことにより、これからの学校教育は劇的に変わります。
この新たな教育の技術革新は、多様な子供たちを誰一人取り残すことのない公正に個別最適化された学びや創造性を育む学びにも寄与するものであり、特別な支援が必要な子供たちの可能性も大きく広げるものです。
( 文部科学省HPより 抜粋 : 本文PDF )
教材というハードの変更に伴って、教育方法というソフトの変化も織り込まれていることがわかりますね。かつてのICT教育(PC教育)でみられたような「PC教室で週に数時間の授業で操作の習熟を目指す」とは、環境も趣旨も大きく異なります。
また、文部科学省はタブレットの導入によって「学びの深化」「学びの転換」を計画してします。具体的には ①双方向型の一斉授業、②個別学習の実現、③生徒間の多様な意見の交換 がねらいです。
表現の学校とタブレット学習
表現の学校はタブレット学習が教育における課題設定や目標にも変化をもたらし、従来のような決まった答えのある課題に向き合う機会が減り、答えのない問題に向き合う機会が増えると考えています。
「答えを知っているか、いないか」という一問一答の問題には、タブレットで検索することで「知る」ことが可能になり、従来よりも「知る」までの労力もぐっと小さくなります。
すると、タブレットで検索しても答えが出てこない問題、答えが1つではない問題、例えば「環境問題」や「人権」などをテーマにした問題に自分なりの答えを一定の手順で導き出すことの重要性の高まりが予想されます。
また、知ること自体に意義のある問題の一部はタブレットに任せることで、答えのない問題への向き合い方を身につける時間も生まれてきます。
思考のフォーマットと検索リテラシー
こうした「答えのない問題」に向き合うには、思考のフォーマットと検索リテラシーを身につける必要があります。
答えのない問題に答えるには、すでに存在する研究や新聞記事、世論などを、相互に参照・比較することで、自分なりの答えを導き出していきます。得られた情報の整理・検討・分析を正しい手順で遂行することが必要です。
私たちは、手順を身につけるためにワークシートを用いたトレーニングを提案しています。
このワークシートを使って課題に取り組むうちに、情報を交通整理する方法や組み立て方が身についていく仕組みになっています。より実践に沿うよう問いの種類や難易度にあわせたバージョンも作成しています。
また、答えのある問題の "答え" を検索するにしても、適切な検索ワードを選ばなければ "答え" は検索されませんし、"答え" に関する知識がなければ検索結果が正しいかどうかも判断できません。ですので、検索リテラシーは思考の土台となる重要なスキルだといえます。
従来でいえば、調べ学習において結果の正誤を判定していた教員も、回答そのものの正しさの確認ではなく、生徒がたどった思考のステップが間違っていないか、間違っていた場合には支援して軌道修正をする、というように生徒の自主性を伸ばす役割の比重が高くなると考えられます。
変化はチャンス
最後になりますが、思考のフォーマット、検索リテラシーの習熟は、ここまで例にしてきたような学校の課題をうまくこなすだけでなく、社会一般で通じる思考力やビジネス力の醸成にも貢献します。
例えば、営業では取引先に商品を購入してもらうには適切なリサーチと提案が必要とされますし、企画では競合製品や既存製品の整理と分析など、大きく言えばPDCAやOODAを回すにも情報の収集・整理・報告はかかせず、社会のあらゆる場面で必要とされます。
タブレット導入を積極的に捉え、活用することで、短期的には受験や目前の課題のために役立つ能力の育成、長期的には仕事人として、広くは人生設計のための基礎形成の絶好の機会とすることを提案しています。
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