岡田 悠

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岡田 悠

会社員。『0メートルの旅』『10年間飲みかけの午後の紅茶に別れを告げたい』『1歳の君とバナナへ』が発売中。https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/entity/author/B08PVWN3V1

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経済制裁下のイランに行ったら色々すごかった

イランに行った。アメリカから経済制裁を受けている話題の国だ。最近も原油に関する制裁第2弾が始まったり、制裁に違反したとしてファーウェイのCFOが逮捕されたことが大きく報じられた。 イランはトランプ政権からとにかく嫌われており、イランへの渡航履歴があるだけでアメリカ入国が面倒になる。具体的には滞在期間に関わらずビザが必須になるので、ちょっとハワイへ...というだけでビザを求められたり、あるいはFBIのチェックリストに入るという噂まである。何かカッコいい。 よってイラン旅行を検

    • 広告だらけの羅生門

       ある日の暮方の事である。一人の下人が、羅生門の下で雨やみを待っていた。<PR:梅雨におすすめ!コスパ最強の折り畳み傘は?>  広い門の下には、この男のほかに誰もいない。ただ、所々丹塗にぬりの剥はげた、大きな円柱に、蟋蟀 <PR:読みが難しい語3万語を採録!難読漢字辞典> が一匹とまっている。羅生門が、朱雀大路にある以上は、この男のほかにも、雨やみをする市女笠や揉烏帽子<PR:今年こそ差がつく帽子コーデ> が、もう二三人はありそうなものである。それが、この男のほかには誰

      • 「16年前の学生寮に泊まる」 記事のこぼれ話

        昨日デイリーポータルZで公開されたこちらの記事。 このnoteでは字数の関係でカットした、とりとめのないこぼれ話を書いていきます。 当時の写真は、ほとんど残っていない。 寮で過ごした2006年からの数年間は、ちょうどiPhoneが発売される直前のタイミングだった。みんなガラケーを持っていて、ガラケーでもそれなりの写真が撮れるからカメラは使わなかったし、かといって撮った写真はクラウド保存されないまま、携帯ごと壊れてしまう。instagramのような写真SNSも流行っていな

        • 重版へ求愛行動を続けて3年が経った

          重版。甘美な響き。 すべての著者が愛する単語。新聞広告やSNSには、日々「重版出来!」の文字が並ぶ。 これは重版に向けて、3年間ひたすらひとつの本を告知し続けた、求愛の記録である。 逆風の出版初めて本を出したのは、3年前のこと。南極から部屋の中まで、さまざまな場所での旅行記をまとめた一冊だ。 奇しくも企画を立てた直後にコロナ禍に突入して、旅行業界に風速90mくらいの逆風が吹き荒れる中での出版であった。詳しい経緯はこちらに書かれている。 どんな日常にでも旅を見つけたい

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          マンションで、僕の桜を咲かせたい

          「岡田悠の日記」に参加すると最後まで読めます

          冬。ホームセンターに、桜の植木鉢が売っていた。桜って売ってるんだ。 税込1,580円。しかしこれは僕の知っている桜と同じだろうか。怪しい。 メガネの店員さんに「春になったら咲くんですか?」と聞いてみたら、少々お待ちください、と言われて、他の店員たちと議論をはじめた。怪しい。議論の末に戻ってきた店員さんは、「おそらく咲きます」と言ったので、おそらくかあ、と思った。 買った。 むかし近所の老夫婦の家の庭に、見事な桜が咲いていた。その力強く太い幹に、自分も老成したら、こういう

          マンションで、僕の桜を咲かせたい

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          第二子が生まれた

          第二子が生まれた。 夏の朝だった。6時に上の子を起こし、保育園に預けてから、病院に向かった。帝王切開による計画分娩だったから、奥さんは前日から入院していた。 上の子は絶賛イヤイヤ期開催中に加え、来たる赤ちゃんの存在をなんとなく感じ取っているのか、近頃は不安定だ。着替えるのも出かけるのも嫌がって、毎朝のように床に大の字で伏せ、抵抗の意思を示す。 この日も逃げ回る子をトミカとYoutubeでなだめすかしてなんとか保育園へ送り届け、汗だくでタクシーに飛び乗って病院へと向かった。

          第二子が生まれた

          3年半ぶりに海外に行ったら、なめらかすぎた

          海外へ行った。2020年1月の南極以来だから、もう3年半ぶりの海外だ。それもひとり旅である。育児についても義父母の協力を得られて、ここしかねえ…というタイミングで渡航した。 行き先はマレーシアだ。せっかくなのでシンガポールに入国して、陸路で国境を越えることにした。航空券を取ってからというもの、毎日そわそわして荷物の準備や宿の検索をしたくなったが、ぐっと我慢していた。 せっかくのひとり旅なのだ。偶然の出来事を楽しんだり、予定を柔軟に調整できるよう、ノー準備で臨みたい。当日まで

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          17年前に2秒見えた海を探す

          17年前、海が2秒見えた。 あの海の記憶大学進学のため上京したのは、2006年の3月。山々に囲まれ育った18歳の僕は、さらなる刺激を求めて、東京行きの新幹線に乗り込んだ。予想もできない未来が待っている都会で、新しい人生が始まるのだ ー そう意気込んで列車の座席についたはずが、気づいたら涙を流していた。 過疎化の激しい田舎から出るということは、もう一生ここで暮らすことがない、ということを意味していた。その事実が、意外なほどに僕を悲しませたのだった。新大阪発・東京行きの「こだ

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          修学旅行でヤンキーと一緒に正拳突きをした話

          20年前、中学の修学旅行で沖縄に行った。最終日、班に分かれてアクティビティをすることになった。 班はあらかじめ授業で希望を募った上で決められていた。シュノーケリングにバナナボート、カヤックにパラセーリング。バスの車内は楽しみで仕方ないといった空気で満ちていた。班決めに参加していなかった、僕を除いては。 僕は学校が苦手だったため、普段から授業へ行ったり行かなかったりで、班決めの日は運悪く家でファイナルファンタジーXをしていた。その報いが訪れたのだ。あとから希望を訊かれること

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          名前のかっこいい国「エルサルバドル」を探しに仙台へ行く

          名前のかっこいい場所に行きたい。名前がかっこいいとそれだけで旅が楽しくなる。「サマルカンド」とか「エルサレム」とか「カサブランカ」とか、どの都市も身悶えするほど心をくすぐられる。全部行った。 そんな中、以前から注目していた国名がある。 その名も「エルサルバドル」。 中米にある国だ。バドルを巻き舌で発音したい。ちなみに首都は「サンサルバドル」。韻を踏んでいるみたいで良い。 エルサルバドルには以前から行くチャンスを窺っていた。だが問題があった。治安が悪いのだ。中米で

          名前のかっこいい国「エルサルバドル」を探しに仙台へ行く

          マンションで、僕の桜を咲かせたい

          冬。ホームセンターに、桜の植木鉢が売っていた。桜って売ってるんだ。 税込1,580円。しかしこれは僕の知っている桜と同じだろうか。怪しい。 メガネの店員さんに「春になったら咲くんですか?」と聞いてみたら、少々お待ちください、と言われて、他の店員たちと議論をはじめた。怪しい。議論の末に戻ってきた店員さんは、「おそらく咲きます」と言ったので、おそらくかあ、と思った。 買った。 むかし近所の老夫婦の家の庭に、見事な桜が咲いていた。その力強く太い幹に、自分も老成したら、こういう

          マンションで、僕の桜を咲かせたい

          GWの東京が混みすぎなので、最も検索されていない駅へ行く

          僕は人間よりイノシシが多い田舎で生まれ育った。だから上京したあとも人混みが苦手だ。満員電車に乗ると目眩がして、じきに視界が遠ざかっていく。そのせいで電車通勤も電車通学もしたことがない。 時は2019年のゴールデンウィーク。空前の大型10連休である。日本全国あらゆる場所が混みに混み、栃木県では宿泊料金が471%上昇したという。恐ろしくて出かけることすらままならない。きっとむせ返る人の波にさらわれるだろう。そういう被害妄想に怯えている。 なら自宅に居ればいいのでは、と思われる

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          毎年1年前の自分から手紙が届くから、今年は10年後の自分に手紙を出す

          夏になると毎年、自分から手紙が届く。「TOMOSHIBI LETTER」という、一年後の自分へ手紙を送れるサービスを利用しているのだ。 きっかけは5年前、友人の結婚式で「未来の自分へメッセージを書く」というイベントがあったことだ。泥酔していた僕は、自分で書いた手紙の内容を覚えていなかった。そして一年後届いた便箋には、なぜか銘菓「鳩サブレー」の絵が描かれていた。 戸惑った僕は、その便箋に銘菓「ひよ子」をまた描き足した。 そして前述の「TOMOSHIBI LETTER」を使

          毎年1年前の自分から手紙が届くから、今年は10年後の自分に手紙を出す

          ある朝、部屋で

          張り手を食らって目が覚める。 先日1歳になった君が、笑顔で僕に覆いかぶさっている。時計をみると、朝7時。あと15分...とぼやきながら僕は寝返りを打つが、君は僕の腕を掴み、布団から引きずり出した。僕はおぼつかない足取りで、君に手を引かれながら、台所へ移動する。慌ただしい朝の始まりだ。 冷蔵庫を開き、どうしようかなあ、と考える。頭がまだ起きていない。君はベビーゲートの向こう側で、柵を握りしめてガシガシ揺らしている。早く朝飯をよこせ、と怒っているのだ。『プリズン・ブレイク』に

          ある朝、部屋で

          エミューの住む家に行ったら、1歳児は茄子に怯えた

          エミューという鳥がいる。体高2メートル近くにまで育つ巨大な鳥だ。そしてそのエミューと一軒家で二人暮らししている人がいる。「砂漠」さんという方だ。 もともと都心で人間の限界に挑むほどの長時間労働をしていたが、いまは田舎に移り住み、仕事をしながらエミューの「エミューちゃん」と生活。その様子を「エミューちゃんと二人暮らし」というYoutubeチャンネルにアップしている。 元々、砂漠さんとは旅好きのつながりで知り合った。とんでもなく面白い旅行記を書く人がいるぞ…という噂を聞き、読ん

          エミューの住む家に行ったら、1歳児は茄子に怯えた

          いま、手紙として「育児エッセイ」の本を書いたわけ

          『1歳の君とバナナへ』という本が、本日発売となりました。会社員として1年間の育休をとり、子どもと過ごした日々を描いたエッセイです。小学館より、単行本・電子書籍版・オーディオブック版が同時に出ています。 本を出すのは3冊目ですが、これまでで一番苦労しました。ほとんどが書き下ろしだったからというのもありますが、子どもとの日々を、一体どのように書くべきなのか、悩みに悩んだのです。 締切を破りまくって、発売日も当初の予定から半年くらい遅れたのですが、めちゃくちゃ時間をかけたからこそ

          いま、手紙として「育児エッセイ」の本を書いたわけ

          8人の面接官と432円のステーキ

          腹が立つと肉を焼く。落ち着くから。肉はステーキがいい。焼きがいがあるから。閉店間際のOKストアで、10%オフのシールが貼られた豪州産のステーキを吟味して、1Kのキッチンで焼く。そうやってなんとか、転職活動を続けてきた。 腹が立つのは、自分に対してだ。これまでエンジニアとして、技術力を磨いてきた。これからも磨きたいと思っている。だがそれが、面接ではうまく伝わらない。自分の説明が悪いのはわかっている。わかっているから腹が立つ。だから今夜も肉を焼く。ジュウジュウと鳴る音に耳を澄ま

          8人の面接官と432円のステーキ