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姫路城から足を伸ばし、もう一つの小さな城下町へ

姫路城からほど近い
播磨の小京都、城下町龍野地区

姫路城からほど近い、たつの市龍野地区は、姫路城観光前後に訪れることができるもう一つの小さな城下町です。姫路城の最寄りである姫路駅からJR姫新線で約20分、本竜野駅を下車し徒歩20分の位置にある、緑豊かな龍野藩5万3千石の城下町は、「播磨の小京都」とも呼ばれています。

龍野地区は、町の至る所に江戸時代から昭和戦前期までに建てられた町屋や武家屋敷、白壁の古民家などの文化施設や住居が現存する風情ある地域。令和元年には、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。

たつの市街地を見下ろす龍野城跡、うすくち醤油をはじめとする産業の町でもあり、今もその歴史文化が受け継がれ、町の至る所で醤油や素麺、皮革などが製造されています。コンパクトにまとまった旧市街は、見所がぎゅっと詰まっており、散策にもぴったり。思わぬ商いの店舗や文化施設、和食や素麺、お団子屋さんなど見所や食が満載。ぜひ地域マップを手にして歩いてみてはいかがでしょうか。

薄口醤油発祥の町の歴史文化を知る
「うすくち龍野醤油資料館」

龍野は知る人ぞ知る、薄口醤油発祥の町。今も町の至る所で醤油が製造されていますが、その歴史は古く、安土桃山時代に醤油づくりが始まり、江戸時代初期に創案されたうすくち醤油によって龍野醤油が栄えたと言われています。そんな醤油文化の龍野を知るために訪れたいのが「うすくち龍野醤油資料館」。国登録文化財でもある赤レンガ作りの建物では、江戸時代から戦前までの醤油づくりに使われていた道具が数多く展示されています。

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希望者は館内を案内してもらうことも可能(要問い合わせ)。龍野の薄口醤油の歴史や江戸時代からの醤油醸造道具、先人の知恵などをスタッフの方に案内してもらえます。

「播磨平野で育った大豆と小麦、赤穂の塩、当時は甘酒も少し入れた醤油が作られました。龍野の立地が大阪や京都の通り道だったことも、醤油文化が栄えた理由の一つです」。そう教えてくれたのは、館長の澤さん。この地域で育まれた恵の食材と、人々に届けられる立地も相まって栄えた醤油文化だということがわかります。

あの北大路魯山人も好んだ薄口醤油

醤油を作るための大きな木樽や醤油を絞り出す絞り袋など、実際に使われた数々の貴重な道具や資料は圧巻。その中でも、印象的だったのが、あの北野大路魯山人による薄口醤油についての書記の抜粋文。昭和8年当時、関東ではまだ濃口醤油が主流の時代に、かの美食家 魯山人が薄口醤油を認め、世に勧めた背景やストーリーにぐっとさせられます。各地に知れ渡る一助となり、関東へも広まっていった醤油文化の歴史を紐解いてみてはいかがでしょうか。

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鑑賞後は、徒歩2分にある「クラテラスたつの」へ。たつのの食と学びと遊びの発信拠点で、醤油や素麺をはじめ、龍野の調味料や野菜ジュースなど、様々なご当地商品を購入することができます。併設された地産地消のカフェでは、地元の無農薬野菜を中心としたランチも人気です。

ここでしか買えない、手作りの味噌や糀を求めて

続いてご紹介するのが、中心通りに軒を連ねる「井戸糀店」。年季の入った木造長屋で、大正15年創業、醤油づくりに欠かせない糀の製造から始まり、今では手作りの糀をはじめ、糀を使ったお味噌や甘酒などを一つ一つ丁寧に手作りで製造しています。

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長屋奥の工房では、4代目になる店主 井戸さんが奥様と二人三脚で、真夏以外の時期はほぼ毎日糀を作っています。麹を発酵させるレンガ作りの麹室など珍しいものも現存。「糀は、身体の免疫力を高めてくれます。ぜひ、一日一杯の味噌汁から始めてください」。ユーモアある井戸さんのお話とその人柄にも魅力されます。
定期的に味噌作り教室も行っており、昨今の糀ブームもあり引く手数多とか。機会が合えば、味噌作り体験にも参加できるかもしれません。
また、井戸糀店の自家製糀、味噌、柚味噌や甘酒は、「お客様の顔が見える範囲で販売したい」という井戸さんのこだわりのもと、店舗でしか購入することができません。ネット通販や卸は行わず、この場所でしか購入できないというのも、旅で訪れる身としては嬉しいもの。ぜひ毎日の料理に取り入れてもらいたい品々です。

散策しながら人情に触れる旅を

その他、龍野地区では歴史や文化を感じながら、町を色々な角度から楽しむことができます。老舗の商い店や食事処も多く、地元の人々の人情に触れる出会いもあるはず。

これからの良い季節、姫路城見学後に足を伸ばしてみるもよし、翌日に日帰り旅をしてみるもよし。広大な龍野公園をはじめ緑も多いので、ぜひ心と時間に余裕を持って訪れてください。

記者:岩崎雅美

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