#74 「戦後日本は何も無いところから始まった」は本当か?東京オリンピックの幻想
「焼け野原からスタート」。こういう言説は良く聞かれます。
戦争で東京をはじめ多くの都市が空襲や原爆でやられました。
人もたくさん亡くなったし、特に若い男が戦死しました。モノもなく食料難。教育も満足に受けられなかった世代があります。
終戦直後の経済力を国際比較してみましょう。
1945年(終戦の年)の日本の1人当たりGDPは、ベルギーの1/3、オランダの1/2、ブラジルとほぼ同じくらいでした。
50~73年まで9.3%/年の高い経済成長でした。この間、世界年平均は4.9%ですから2倍の高さで進みました。脅威の高度成長です。
前回の東京オリンピック辺りがその真っただ中というわけ。
たしかにこの図を見ればそいうことです。
それでも1930年代半ばまでは普通に暮らし、仕事をし、教育を受けていたはずです。順調な時も楽しい時期もたくさんあったはず。
その力はかなり残っていたとしても不思議ではありません。
確認してみましょう。
1940(昭和15)年にフランスを経済規模で抜かし、イギリスとドイツに次いで5位に躍り出ました。
1940年の1人当たりGDP(GNP)は世界7位。
米英独蘭仏伊日ソの順番でした。
すでに経済大国だったわけです。
グラフの半分を消したのが最初のグラフ。
つまりこれが戦後に戻っただけなんです。
グラフのマジック。
戦後から見せるグラフに要注意!
前回の東京オリンピックで夢を見たおじいさんたちの幻想の原点がここにある。
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