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ひゃくま
2020年8月25日 20:46
「で、あんた達なんなのよ」 人通りのない路地はただでさえ薄暗かったが、空に今にも降り出しそうなどす黒い雲が停滞しているせいでいつも以上に暗くジメジメした雰囲気を強調しているようだった。 「……【楽園の戦士】」 目の前に立つ黒ずくめの男が低い声でぼそりと呟いた。 「聞いたことないわね。それで私に何か用事かしら?」 吐き捨てるような言葉に、男は手を前に出した。 制止する様な仕草。 「…
2020年8月18日 19:43
昼の学食は大いに賑わっていた。 「あー……」 裏の世界では『闇丸』と呼ばれる青年はきつねうどん(380円)の乗ったお盆を両手で持ったまま、喧騒の中で立ち尽くしていた。 学食が盛況なのはいい事なのだが、いかんせん座るところがない。 こうなると困ってしまうもので、知り合いがいないかどうかを探す羽目になる。 残念ながら、学内に知り合いはそう多くのないのだが……。 うーん、唸りながらも誰かい
2020年8月11日 21:42
4/ 「クソッ!! どこもアイツ等が張ってやがる!!」 街外れの廃工場。 そこに借金男は身を隠していた。 手にはスマートフォンが握られ、情報を集めているようだった。 しかし、既にこの街は能犯の人員によって捜索されており、ここから動けば確実に見つかることになるだろう。 処理班程度が相手であれば蹴散らせるが、戦闘員が相手では最低でもこちらは深手を負うことになる。 あれだけ大きな爆発を起こ
2020年8月4日 20:25
『能犯』 正式には『能力犯罪対策機関』。 世界最大の能力者派閥である。 特殊能力や異界の存在を一般に秘匿にする事、それらを破ろうとする者を裁く事、能力者や異界の関係者と関係各所の連絡を行う事、能力を応用し犯罪を犯す者を裁く事。 能力者や異界に関するあらゆる物事に対応し、処理するのが仕事である。 設立はほんの20年程度前で、その創立者はまだ20歳にもなっていない若者であった。 名を木元