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Prince Princessに劇的に救われたかったオタクの話

King & Princeという、ジャニーズ事務所所属のアイドルグループをご存知だろうか。

CDデビューは2018年5月23日。
華やかにデビューを飾った彼らの目覚ましい活躍ぶりは、たとえジャニーズ事務所のアイドルに興味がなくとも、日々どこかで目にするところであっただろう。

私が本当の意味で彼らと出会ったのは、それから約1年後の何てことはないタイミング。とにかく突然のことだった。

ある日友人が聴かせてくれた、ジャニーズJr.だった頃の岸優太さん、神宮寺勇太さん、そして岩橋玄樹さんが歌う『Prince Princess』という曲。

誰もが この星の 大切な Prince Princess 
未来は 君の手に 託される
ボロボロになっても ダメダメになっても
立ち直れる君は Prince Princess

当時の私は、日々積み上がっていく仕事や、慣れない人間関係に心をすり減らしていたし、なんなら彼ともうまくいかないし、夢中になれる何かも、真剣に打ち込みたいと思える何かも、忙しさの中に霧散してゆく。要するにパッとしない毎日を過ごしていた。

しかしこの曲は、男女関係なく全人類を、ダメダメな私の人生をも肯定してくれている

私は『Prince Princess』に救われたのだ――

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はいはい。

という感じで、もしもキンプリちゃんとの出会いがこのくらい劇的だったら面白かったのにな~~~!

実際、『Prince Princess』のまっすぐな歌詞や、3人の真剣なパフォーマンスに救われたという人は少なくないはずである。
けれど、私の場合は少し違った。

もともと結構幸せだった人生が、キンプリちゃんに出会ったことで、

も~っと! 幸せになって

も~っと! 輝きだした

のである。(おジャ魔女どれみの書体で)


思考がおめでたくてよかった。
あと「彼ともうまくいかないし」とか書いてるけど、彼氏いません。当時もいません。こわ。そのほうがドラマチックかなと思って……

というわけで以下では、二次元オタクだった私が、生涯をかけてキンプリちゃんを愛することを誓う、立派なキンプリおじさんになるまでの道のりを、備忘録として書いていくことにします。

オタクは自分語りが大好き。オタクにも様々なタイプがいるが、結局は推しを好きになれた自分ごと愛することができるから。

推しとの出会いは、いつだって特別なのだ。

第一印象は最悪だったアイツに

私はそれなりに長い期間、二次元を中心としたオタクをやっていた。虚構の中で想像の翼を広げるのは本当に楽しい。もちろん今も止められない。

社会人になった頃の私は、面白いマンガを探したり、新しい仮面ライダーをチェックしたり、観劇に行ったり。そうした活動に勤しむ気力、体力を完全に奪われていた。
当時私の貧相なアフターファイブをなんとか支えてくれていたのは、少しの刀剣乱舞と、モーニング娘。などの女性アイドルだった。

ジャニーズさんに対する認識はというと、音楽番組やドラマに出ていれば見るし、デビューした人たちなら一応認識している。
だが本当に格好いい人はジャニーズにはいないし(失礼)、本当に歌がうまい人もジャニーズにはいない(もう黙って)、と思っていたのも事実。

もちろんKing & Princeがデビューしたときも、テレビで『シンデレラガール』を歌うところを何度か見ていた。正直な第一印象は

・まだ子どもじゃないか
・顔面偏差値高いのか?
・歌唱力もまあまあだな
・というか「王子様キャラ」はキツい

シンデレラガール(通常盤)

~~~~~ッ!

恐ろしい、恐ろしいわ……!今では考えられないが、おそらく人生何度やり直してもこうなる。だって好みじゃなかったんだもん。

よく遊んでいた友人(オタク)が、時々King & Princeのことを話してくれた。
先述の印象もあり、6人全員顔がいいと言われてもピンとこないし、シンデレラガールは神曲だと言われても、いやだって門限がどうとか言ってる……恥ずかしいよ……という感じで、全然わかってあげられなかった。ごめん。

それでも、友人が薦めてくれるコンテンツだから好きになりたいという気持ちがあり、その後もぽつぽつと話を聞き続ける。ジュニア時代は東と西に分かれていたとか、「じぐいわ」コンビがどうとか。
あとは「推し」さえいれば、もっと自発的に動けるなと思うところまできた。

あれは2019年5月。

彼女に「動画が見たい。歌って踊ってるところ見たらもっと好きになれる気がする。シンデレラガール以外で。」と言ってみた。(シンデレラガールに恨みでもあるんか?)

そして、彼女が最初に選択したのが

Prince Princess
✨✨✨✨✨✨✨✨

岸優太さん、神宮寺勇太さん、岩橋玄樹さんのジュニア時代のユニットであるPrinceが歌う、簡単に言えば応援ソングである。

ッツンテレテ~テンテ~ケ~ツンテレテ~テンテンテンナ~ナ~ナナナナナ~ナ~ナナナナ(※大真面目です)

スパンコール煌めく衣装の世界観は、さながらセーラームーン。
3人を囲む子どもたち(君たちがジャニーズJr.なんだね?)は、Eテレばりの小芝居をしながら踊っている。
そして優雅にステップを踏み、スタンドマイクの周りをくるくると入れ替わりながら歌う3人の表情には、紛れもない慈しみの心が――

前奏を聴いたときからわかっていた。ここには私の求めるものがあると。

そして岸優太さんが、「朝までひざを抱えてた~オ~プリンス プリンセス 顔をあげて~」と歌い出したとき

“上手、キミに決めた……”

この曲は、プリンスプリンセス、つまり男も女も関係なく、この星に生きるみんなが大切な存在だよ、ダメな時があってもいいし、生きてることそのものが尊いよ、君は何回でも立ち上がれるよ、という曲です(意訳)

ウン……わかる、私も日頃からそう思ってる(自己肯定感エベレスト級の女)

しかし改めて、この言葉をアイドルという職業の男の子たちが、こんなに真剣に、優しい表情で伝えてくれていること、それを受け取れたことに私は歓喜した。

まだ若いのに、こんな全人類全肯定地球ソングを任されるこの子たちは一体何者なんだろう。

そして帰宅した私は、流れるように動画サイトを開き、King & Princeで検索を始める。第一印象は散々だったにもかかわらず、少女漫画も顔負けの心変わりである。

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岸くん、美しく健全な魂

様々なツールを駆使してキンプリちゃんのことを調べる中でまず思ったのは、歌が上手だということ。ジュニア時代の彼らのオリジナル曲は、血湧き肉躍り魂を震わす楽曲ばかりなので是非聴いていただきたい。
暫定の推しと定めた岸優太さんも、やっぱり歌がうまい。

岸くんの歌好きだなぁ、となると検索する、「岸優太」と。

すると次々に出てくる、岸優太さんのおもしろ発言の数々。入りました! で空気を救う岸くん、一生懸命演じているのに顔が間違ってると言われる岸くん…挙げればきりがない。いてもたってもいられず、Twitterのプロフィール欄に〈@お~い ストロングビーチ〉と書き込んだ。

とにかく、どんなにおかしなことを言っていても、本人は至って真剣。なぜ笑われているのか、わかっていないように見えることがほとんどである。
どんなことも一生懸命考え、発言する。例えズレていても。そして他人をばかにしたり貶めたりして、笑いを取ったりもしない。

それだけではない。
いつも忙しなく動き回り、不思議な言動を繰り返すが、スイッチを切り替えた途端、息をのむようなパフォーマンスを見せたり、時折驚くほど本質を捉えたコメントをしたり、独特の感性で美しく世界を切り取ってみせたり。

なにより、目尻を下げてくしゃっと笑うその様子を見ていると、ゆるゆると口角が上がるのを抑えることができないのだ。

いい子、かわいい、だいすき!(チョロ)

かくしてPrince Princessを聴いて一週間足らずで、もう岸くんから目が離せなくなっていた私は、毎日飽きもせずTwitterで「岸くん」と検索し、タイムラインを遡り続けた。岸担の皆様、本当にありがとうございます。

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ファーストコンサートという宝

地道に知識を増やすこと約1ヶ月。
ついに友人に、King & Prince First Concert TourのBlu-rayを借りる。

これは、伝説だ。

ちょいダサ演出とともに玉座に座って空から登場したのは、フィクションのような真っ白な衣装に身を包んだ王子たち。ここで私は初めて、彼らの圧倒的な顔面の力を体感した。やっとかよ!
割れんばかりの大歓声に隠しきれない喜び、前途への期待と少しの緊張、おそらくこれまでの努力に裏打ちされた“愛される自信”。
様々な感情が入り交じった彼らの姿は、おじさんの目を眩ませるのには充分だった。

未だ苦手意識のあった『シンデレラガール』(まだ言う)を、初めてフルで聴く。
なんだこのカッコイイアレンジの2番は…魔法には期限があることはわかっているけど、ぼくは何度でも君を好きになれるよってか…

それはこちらのセリフです!!!!!!!!!!!

そして畳み掛ける『YOU,WANTED!』に『Funk it up』――ハァハァちょっと待って、繰り出される煌めきの強さに、内側から発光するようなほとばしる美に、私はもうタジタジである。3曲目まで聴いて一度止めた。一度気絶した。気を取り直して進めるが、もう、白目だ。

そして問題のmy preciousソング『描いた未来~たどり着くまで~』から『Prince Princess』という流れ。
神が、お造りになられたのか? いや、奴は言っていた。この演出を考えたのはいわち、岩橋玄樹さんだと。

御簾の向こうで、天上の舞を舞うPrinceちゃんたちから降り注ぐ、救済の音楽。サァと幕が落ち、現れる城と子どもたち、そしてあの前奏。天使が降りてくる! 降りてくるゥ!――

ただただ泣いていた。出会えたことが幸せだと思った。生まれてきてくれたことに感謝した。友人曰くこれは「入信完了」という状態らしい。そうだね。

息も絶え絶えに映像を観終わったとき、この6人が6人でいる限り、King & Princeというアイドルでいてくれる限り、いつまでも、何年経ってもこの子たちを応援し続けようと自然と思っていたのである。それは私にとって衝撃的な体験だった。

以下は蛇足だが、ファーストコンサートでのメンバーそれぞれの印象をメモしていたもの。趣味丸出しだが、共感していただけるポイントがあれば嬉しいです。

平野紫耀
向かうところ敵なし。信頼のエース。曲中の決めどころではどうしたって平野紫耀にカメラが吸い寄せられてしまう。キュートなハスキーボイスで美しいビブラートを使いこなす。フルネームで呼んでしまうのは平野紫耀という字面も含めて最早「存在の勝利」だと確信するから。何でもすぐにできちゃうタイプなのかと思ったけど、ジュニア時代に彼が背負っていたものやその場数を考えれば一人成熟していたのも当然だったかもしれない。平伏。天下を取りましょう。
永瀬廉
唯一無二のエアリーボイス万歳。いい意味で芯のない声と素直な歌い方が心地よい。誰とでも馴染んでコーラスも上手。顔の話をすると負けたような気がするけど、その横顔はすべてを凌駕する造形美。どんな衣装でも襟元を抜いて肩を出したがるおてんば。リズムの取り方かわいすぎる。肩を上下させチョップしながらリズムを刻むのできっとハロプロには入れてもらえない。岸くんを見つめる優しい眼差しには魂を抜かれた。
髙橋海人
アカチャン。笑うと花が咲く。歌にニュアンスをつけるのが上手でユニゾンの核。すらっと細長い体躯にはどことなく女性的なラインがある。とんでもなくダンスがうまいけど、ドルみの強い首の動きは必見。目線のコントロールを習得している。だけどお手ふりタイムになると途端に所在なさげになるのはなぜなのマイスイートパピー。本人はかわいいじゃなくてかっこいいと言われたいらしい。は???こっちは力尽きるまであんたのことをかわいいと言い続けるぞ。
岸優太
My precious one たとえ世界中を敵に回してもぼくは君だけの盾となり剣となる。喉からCD音源どころの話ではなくコンサートの方が歌がうまい。伸び・ハリ・リズム感◎。ハモりやフェイクを任されることが多く、息のスピードを自在に操るユニゾンの要。手足の先に視線を送る丁寧なダンスが美しい。実は小顔、色白、脚長。お喋りすると不思議なことばかり言うけど、目尻を下げてくしゃっと笑う顔にはメンバー含め全人類がとろけてしまう。LOVE
神宮寺勇太
ウチの息子。ワルぶってた時期もあったけど好青年に成長しました。カメラに抜かれるような派手な動きが少ないのは、目の前のお客さんに丁寧に真摯に応えているからなんだね。芯があり真っ直ぐに伸びる歌声はキンプリちゃんでは貴重なタイプ。たぶんお調子者だけど、状況によってはみんなの様子を見守りながら適切なタイミングでヘルプを出す優しいやつ。いつも岸くんのことを守ってくれる。MCではいわちの彼氏面するのを忘れない。
岩橋玄樹
俺たちの姫でありミューズ。ツリ眉タレ目の二次元ビジュアル。セミマットな質感の白肌におじさんは胸の高鳴りを抑えられない。本人はまあるいフォルムがコンプレックスのようだけど、結局人間はそこへ還る。お喋りのときは意外とさっぱりしている。こちらに懸命に想いを伝えようとしてくれるので少し余裕がなさそうに見えるのと、ファンサービスが丁寧すぎるので心配になる。メンバーにステージドリンクを手渡す女子マネージャーのごときいわちにみんな恋する。

怖いくらい欲望に忠実でしたね。

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推しとともに時を刻む

その後は実にタイミング良く、ファーストアルバム発売、セカンドツアーと忙しい日々。

ジャニーズってやつぁ、なんて供給が多いんだ! こんなに頻繁に水を与えられたんじゃあ、溺れちまうよ!

ていうか、推しが生きてるってどゆこと?
私と同じ空の下、同じ時を生きてるの?

ツアーに馳せ参じたとき、私が真っ先に抱いた思いは、「あ、キンプリちゃんって実在するんだ」だった。
長いこと二次元を主食に生きてきて、“無いものは創る”という気概でやってきたものだから、リアルタイムで推したちの人生が進行し、その時の感情や今日の些細な出来事に至るまで、推し自身の言葉で伝えてくれることに、はじめは戸惑いもした。

日々アップデートして、毎回違う顔、違うパフォーマンスを私たちに見せてくれることの有り難さ。
それと同時に、「もし私がついていけなくなったら?」と怯えることもある。私が変わらなくても彼らは変わっていくのだというなんとも我が儘な感情と、当たり前の事実がぶつかり合う夜もある。

けれどそのスリルさえも人生だ。自分が様々なものに影響されながら先へ進んでいくように、彼らもまた、誰にも予想できない未来を選択している。
我々は一人の人間の人生を垣間見ているのである。彼らは常に何かを感じ取り、考え、決断しているが、我々に見えるのはそのほんの一部。一秒たりとも同じ状態はなく、全てを捉えることはできない――
こんなの一生飽きないじゃん!!!!!
こんなの見せてもらってええんか!!!!!

皆さん、このコンテンツ、一生遊べますよ。

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「King & Princeは、私の人生の軸です」

「あなたにとって、King & Princeとは?」と尋ねられたときのことを想像する(アナザースカイみたいに言うな)。
今のところ、自分の乏しい感性で引っ張り出せる答えはこれだ。

キンプリちゃんを好きになってもうすぐ1年。今でも1年前と全く変わらず、むしろ1分1秒、時を重ねる度に愛おしさが募っていく。
わりと飽きっぽいタイプの私が、よくここまで続いているものだとも思うが、これは単なる“ブーム”ではないから、当然である。

彼らの存在を糧として頑張る、というのはどこか違う。栄養に、したいわけではない。
私はキンプリちゃんを応援できて幸せで、キンプリちゃんを好きでいられる自分の人生を、丸ごと肯定して、愛することができる。だから、軸。

この答えをぽつり友人に話したとき、ああ、私のキンプリおじさん人生は第2フェーズへ移ったのかもしれないな、と独りごちた。

これから先、何があっても好き。

仮に、だけれど、例えば音楽性の不一致()があったとしても、血を吐きながらでも応援することに変わりはない。
生きているものを推すことに怯えるオタクは、期待と不安が入り交じった気持ちに翻弄されながらも、やっぱり彼らの笑顔に救われて、彼らの笑顔と幸せと健康と活躍を、心から祈らずにはいられないのだ。

ところで、私の人生に新たな光を与えてくれた友人は、ある日突然Sexy Zoneに堕ちた。曰く「天啓を受けた」と。その出会いはまさに劇的だった。

彼女からSexy Zoneを教えてもらううちに確信したのは、岸くんに出会っていなかったら、自分はSexy Zone一択だったのではないかということ。だってハロプロ大好きだし。
人生、本当に、何があるかわかりませんね。

◆ーーーーーーー

終わりに

はー長かった。

というわけで、人に語れるほど劇的な出会いではないけれど、ズタボロ人生を救われたわけでもないけれど、キンプリちゃんのおかげで毎日がもっと楽しくなって、自分のことをもっと好きになれた、ハッピーな人間がいたっていいよね、というお話。

君たちのやりたいことに、どこまでもついていかせてね。一生「好き」とEnterさせてね。幸せになってね。(重)

オタクというのはいつだって自分勝手で、本当に厄介な存在である。けれども私は、キンプリちゃんとともに前に進んでいく自分の人生が楽しみで仕方がないし、キンプリちゃんのファンとして、恥ずかしくない人生を歩んでいきたいと思う。

まあ、早速、自分勝手で厄介なオタクの妄言を晒してしまっているわけだが…もしも自分から自分へ、King & Princeの引継書を書くとしたら(?)、私はその最後にこう記すだろう。


「最後に、ここに書いてあることは8割妄想なので注意すること! 実際に業務にあたる際は、その都度自分の価値観と相談しながら、適切に進めていってください。良識をもって節度ある行動をお願いします。」

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