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なぜ事業承継に失敗したのかを振り返る

地方の零細企業の跡取り婿として、13年、骨身を惜しまず奉公し抜いた結果、、、


『派手に事業承継に失敗』してしまった私。


振り返ってみると、

『客観的に考えて、うちの事業承継はうまくいくハズがない』

ということが、割と早い段階から予見できたと思われる部分が多かった。


せっかくなので、世の中の事業承継で悩む、または、将来悩む日が訪れるであろう跡継ぎ候補の方々に、

『こんな会社は事業承継につまずく』

というテーマで、しくじり先生をやろうと思います。


と、いうことで、


其の1 【企業理念がない、または薄い】

思い返せば13年前、「うちの会社を継ぐ気はないか?」と聞かれた際に言われたこと。

『跡取り息子が欲しくて子作り頑張ったが、最後の6番目の息子が一人前になるまで、自分が現役でやるのは年齢的に難しい。だから会社を畳もうと思った。』

『跡取りが現れたから、折角なので、勿体無いので続けよう』


要は、事業を継続する理由に、

『従業員の雇用を守ろう』

『自社の取引先を守ろう』

『自社の顧客を守ろう』


という、経営者以外の利害関係者を守ろう、貢献しようという心が、無い。

無いと言い切るのは言い過ぎかもしれないが、その優先順位が、低いのだ。


当然、経営者なのだから、自分たちの損得を優先するのは大事なこと。

だが、

『人の損得は知ったことじゃない』

『続ける続けないの選択肢が、自分の気持ちひとつ』


こういう創業者は、現場を跡取りに任せる際、何かトラブルがあると、すぐに撤退しようとしたり、資金を引き揚げようとする。

当然、リスク管理上、事業を存続するかどうか、投資資金が失われる前に確保しようとすることは大事だが、トラブルの中身を吟味したり、リスクを選別したり、対処法を検討しようとするまえに、脊椎反射的に事業から逃げようとする。


それは、事業を存続するための理念がないことが原因である。


会社経営者というのは、トラブル、困難の矢面に立たないといけないのだが、自分が現役でやっている時はできることが、人に任せた途端、恐くなるのだ。

企業理念とは、何かイレギュラーなことが起こった際に、社員みんなで原点に立ち返るためにあるのだと思う。

自社の存続が左右されるような時に、創業者と跡取りが、『同じ理念』を掲げ、『同じベクトル』を向いていないと、イザというときに歪みが発生し、そこから崩れていく。


其の2 【代表者にモノ言える他人がいない、または少ない】

経営上のリスクやトラブルが発生した際、また、今までのビジネスモデルが時代に合わなくなってきたと感じた際には、社内外問わず、情報収集をしたり、方針を協議したり、

『皆で知恵を出し合う』

ことが必要である。

確かに、「船頭が多すぎて船が進まない」ということになってはいけない。

時に、頑固なワンマン経営者のほうが、苦境に際しては力を発揮することも事例が多いだろう。

だが、モノ言う他人に慣れていないワンマン経営者は、

『忠言耳に逆らう』のだ。


私が経験した酷い事例を紹介したい。

とある取引先との商談。

私は、取引すべきでないと感じるものがあったので、理由を添えて契約を反対した。

ところが義父は、「あそこの会社は、○○さんの紹介だから大丈夫だ。」と、強引に契約を進めた。


後に、その取引先が破綻し、不良債権化した時に義父は、「なぜあんな会社と契約をしたんだ!」と、怒り散らしたのだ。

当時反対して止めましたよねと反論するが、言った言わないの応酬。

いつの間にか私が独断で勝手に取引を進めたことになっている。

しかも、反論したことが生意気で、責任転嫁だと怒られる。


この日以来、私は自分の意見を述べることをやめた。


もう1つ事例を紹介したい。

競合他社に取引先を連続で取られてしまうということが起こった時の話。


義父が、「条件次第でコロコロ相手を選ぶような相手とは付き合わない。うちを選んでくれる取引先を探してくるんだ!」と言い出した。

私は、なぜ競合に流れてしまったのかを分析し、自社に足りない要素をピックアップ。

業務改革、システム投資の必要性を訴えた。


が、義父は話せば話すほど不機嫌に。

過去の色褪せた栄光を語るばかりで、前向きな議論にはならないのだ。

もしかしたら、私の言い方が、義父の過去の功績を否定しているように聞こえたのかもしれない。

だが、私であろうと、顧問税理士の話であろうと、誰の話も聞かないのである。


『聞かない』のではなく、モノ申す他人が長年そばにいなかったため、『聞く能力が育たなかった』のかもしれない。


其の3 【役員会議、営業会議がない】

経営判断はブラックボックス(という名の創業者の気分)

営業会議を提案し、例えば先3年の利益計画を練ろうと提案しても、

『売上目標?多いに越したことはないじゃないか〜。どんどん頼むよ!』

→明言しようとしない。

『資金?銀行が出すと言ってるし、俺の資金もある。』

→といいながら、自分の資金は最後まで出さない。先に母ちゃんに出させようとする。

→銀行の担当者の態度が気に入らないからといって、急に借入金を半分繰上償還したりする。

→で、運転資金が尽きたからといって、新規取引を急に絞れと言い出す。

→売上ガンガン出せというから一生懸命営業したのに、その翌月にやっぱり取引を縮小してくださいと、取引先に謝って回るハメに。

→こんなことをしていれば、次の取引は無くなるのは当然である。


其の4 【経理情報、決算情報を跡取りに見せようとしない】

これは致命的です。

代表権を持たせ、借入金の個人保証をさせておきながら、経理情報、決算情報を跡取りに見せない。

行政への年1の届け出等を私にやらせることになり、やむなく決算書を見せざるを得ない状況になってからは、やっと見せるようになったが、それでも、期が終わる前後の、税理士との打ち合わせや、利益(または損失)をどうするのか等の席に、同席させない。

『お前は現場のことだけしっかりやっていればいいんだ。お金のことは心配するな。』とな。

仕方ないので、本社のパソコンを遠隔操作でハッキング(あ、でも俺代表者だから、代表者が自分の会社のパソコンをハッキングって、言い方おかしい?)して、毎月の試算表を確認していた。


其の5 【跡取りに対し、横領を疑う】

詳細はいずれ、「ブラック企業の跡取り婿なんだが、俺はもうダメかもしれない」で赤裸々に綴ろうと思うが、ある日突然支店に乗り込んで来て、

「もう全部分かってるんだからな!自分から話したほうが罪が軽くなるぞ!」

なんて言って来た日には、怒りを通り越してなんか笑ってしまった。


そもそも、お金の出し入れは全部、本社で行っていた。

支店には、毎月の経費や出張費の清算のための現金が、常時20万円程用意されているだけ。

こんな状況で、どうやって毎月50万円を横領しろというのか、さっぱり分からない。

と言ったら、

「横領というのはな、思ってもみなかった大胆な方法でやるものなんだ!本社で金を管理しているからといって、お前が横領をしていないという証拠にはならないんだ!」とな。


遥か宇宙の彼方から見下された気分。

じゃあ、その思ってもみなかった大胆な手口、教えてくださいよ〜。


常日頃から、「女はお金に手を付けない。横領するのは男なんだ。」と、ちょいちょい顔目掛けて危険球ギリギリの牽制球を投げて来ていたが、当てちゃダメだよお義父さん。

まあ、100歩譲って、疑うのはいい。

だが、相手に分からないように疑い、監視するのが、配慮ではなかろうか。

また、横領ができない業務フローを考えるなどの、知恵を発揮することが肝要である。


鬼の首を取ったみたいに騒いだ割には、よく分からないエクセルの計算書を持ち出してきて、

「俺の計算だとこうなる。毎月あと50万利益が出ているハズだ。どこへやったんだ?」

と、とても証拠とは言えない代物でゴリ押し。


私が認めないとみるや、

「お前ほどの真面目な男が、会社の金に手を付けるとは、余程のことだ。美人局に遭って、ヤクザに脅されているんだろう?俺はお前のことが心配なんだ。俺も若いころは色々誘惑があったんだ。」とな。

いやいや、隣に奥さん(義父にとっては実の娘)いるんだから、ヘンナコト言わないでくださいよ〜。


まさに、青天の霹靂とはこのこと。

私、自分でいうのもなんですが、真面目な性格です。

悪いことをしたら、巡り巡って自分に還ってくると思って生きてきました。

しかも、鬱になるまで自分を追い込んで、会社に、あなた方に、尽くしてきましたよ?

婿さんの苦労、分かって貰えていなかったようだ。


一体どんなスイッチが入っちゃったか知りませんが、想像力が逞しすぎるとしか言いようがない。


今思うと、もしかしたら義父、自分自身に何か思い当たることや、後ろめたいことが、過去にあったのではないだろうか。

人は、自分の心の中に思い描かないことを、他人に思い描くことはないと、私は思う。


義父自身の心の中に、横領の経験、もしくは、横領をしそうになった気持ちが、あったのではないかと思う。


最後に

ちょっと極端な話ばかりで、あまり参考にならなかったかもしれません(-_-;)

が、うちはちょっと行き過ぎた感がありますが、どこの中小零細企業でも、大なり小なり、似たような話はあるのだと思います。

そこに、自分自身の心を磨くことを忘れた、昭和のワンマン経営者がいる限り、有り得る話だと思います。


『会社であれ、何であれ、組織は、その経営者、運営者、責任者の器以上に大きくなることはない』


この言葉を、今の自分自身に向けながら、ただ義父の悪口をダラダラと言うだけの負け犬にはならないぞと、誓いを立てる。


自身の映えある未来に向けて、今日も資本主義の中心で、『人が輝くための資本主義を!』と、甘っちょろいことを叫ぶ。


今、事業承継について揉めている方、将来的に事業承継問題が発生することが予定されている方は、その会社を承継すべきかを見極めるために、参考にして頂きたい。



2019年10月25日

座右の銘は不撓不屈

座右の銘太郎

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ホームレス高校生→ブラック企業の跡取り婿→創業者一族の理不尽に反発して独立 苦労続きの人生をノンフィクションで綴り、あなたの励ましになりたい 過去を振り返りながら、人の優しさを思い出しています 人が輝く資本主義を体現する、力のある経営者を目指します 座右の銘は「不撓不屈」

コメント1件

なるほど。私が裁判漬けだった時代に少し似てます。終わりの見えない戦いでしたからね〜。
後で見たら天中殺でしたし、、。お疲れ様でした。
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